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僕の“初めて”



十分ほど苦戦して何とか交換に成功した僕たちは、そこそこ人が多い電車に乗っている。

結構人が多いので、何か先輩に変なことをしようとする輩がいるかもしれない。

それで先輩に何かしらの悪影響があれば、僕の知識欲が満たされることはない。

だから僕は少し警戒していたのだが、特に先輩が何かされる様子もなく、電車を降りる。


「先輩。家はどっち方向ですか?」


僕は改札を出たところで先輩にそう尋ねる。

出来れば家が同じ方向なら楽なのだが、そうそう上手くいくことなんかないだろう。


「ボクは西口のほうだな。キミは?」

「奇遇ですね。僕もですよ。」


本当に一緒だったことに僕は内心では驚愕するが、驚いた姿を見せても仕方がないので表には出さない。


「本当に?ボクに気を遣って言っているんじゃないの?」

「違いますよ。僕がそんな気を遣う男に見えますか?」

「まだボクはキミのことを名前くらいしか知らないからね。人を見た目で判断するのは愚かだと思うよ。」

「正論ですね。ですが人間とは見た目に騙される生き物なんですよ。」

「もっと人は本質を大事にすればいいと思うんだけどね。」

「世の中がそんな人ばかりなら世界は平和でしょうね。」

「ふふっ。確かにね。」


僕と先輩を撫でていくように、少し暖かい風が吹く。


「本当にキミはボクの知識欲を掻き立てるね。とても興味深いよ。」

「先輩も僕からすればとても興味深いと思える数少ない存在です。」

「ふふっ。それは嬉しいね。」


先輩はそう言うと顔を綻ばせて笑う。

その姿に僕は思わず足を止める。


「……ん?どうしたの?」


数歩歩いたところで、僕が止まったことに気が付いたのか、先輩も止まってこちらを見る。


「……先輩にとっての『美しい』とは何ですか?」

「宝石とかって言ったら違うって言うよね?」


その言葉に、僕は無言でうなずく。


「うーん。そうだな。『美しいモノはない』が答えだと思う。だって『美しい』っていうのはそこの過程とか背景とか個人の価値観を含めたものだからね。だから、美しいと定義できるモノはない。でも、ボクなりに美しいと思うモノは絶対にある。」

「……それは何だと思いますか?」

「キミとボク。二人で、『美しい言葉を探そう部』で考えて、消して、また考えて、最終的に出来上がった言葉だと思う。その言葉はほとんどの人が美しいと思うモノではないかもしれない。でも、ボクは絶対にそれを『美しい』と思う。でも、それだけじゃ足りない。キミもそれを『美しい』と感じて初めてそれが『美しいと定義できるモノ』になるんだ。ボクはまだそれを見たことが無い。だから……」


先輩は僕に初めての満面の笑みを見せてきた。

その姿は――






















「キミがボクに『初めて心の底から美しいと思えるモノ』を見せてくれる?」




――心の底から美しいと感じた


































「……僕は、『美しい』の自分なりの基準を持っていません。だから、僕は先輩に『美しさ』を見せることはできません。」


気が付くと、僕の口からは、心からは、言葉が溢れていた。


「そうか……」

「でも!」


残念そうに目を伏せた先輩に、僕は思わず大声を出していた。


「でも、先輩となら……僕と先輩でなら、『美しい言葉を探そう部』でなら、それを見つけられると、そう思います。」


――初めて、美しいと思わせてくれた先輩となら


「先輩なら、僕にも『美しい言葉』を見せてくれると信じます。だから、僕と一緒に『美しい言葉』を探しましょう。“二人で”僕が『美しいと思える言葉』を探して、“二人で”笑い合いましょう。」


――その時の笑顔は、今よりも輝いて見えると思うから、僕はそれを見てみたい。そう思った。




「そんなの当たり前じゃないか。」



そう言った先輩の表情は、さっきよりも美しく輝いて見えた。





またブックマークが増えてました!

これならランキングも夢じゃない!

……すいません。調子乗りました。


次回からは(少し)恋愛っぽくなります。


2020年4月9日追記:

改めて読み返したりした結果、ここから先の展開は強引に書きすぎたと思いました。ぶっちゃけ続きが書けません。

修正するにしてもどこから直せばいいかもわからずどうしようもなくない状態です。

当初の予定ではここで終わる短編の予定だったので、申し訳ありませんがここで話は終わりとさせてください。

ここから先の話も消しはしませんが、読むのであれば自己責任で、完結しないことを前提にお読みください。

申し訳ありませんでした。

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