何故僕らは出会ってしまったのか
二か月近く空けての更新です。
土下座してお詫びします
「ふぅ、まさか会長がいるとは思いませんでしたね……」
僕と先輩は会長に見つからないように移動した後、近くにあった喫茶店に入る。
「まぁ、想像するほうが難しいし。」
「ですよね。というか、なんでこんなところに……」
「女装用の服でも見に来たのかな?」
「ああ、その可能性はありますね。」
僕はコーヒーを少し飲んで、一息つく。
どうして会長を見ただけでこんなに疲れるのか……
なんかあの人苦手なんだよな。声が聞きやすすぎるっていうか、完璧すぎて怖いっていうか……
「まぁ、服は買えたし、いいと思うよ?」
「そうですね。目的は達成したのでよしとしましょう。」
確かに、今日の目的は達成している。
しているんだけど……会長に会う気はなかったのに。
はぁ……まだ水曜日なのに疲れた……
災難ってやつだなぁ……
「じゃあ、仕切り直してデートにしましょうか?とはいえ、もう五時半なんですけど。」
「うーん、じゃあもう今日は外食で。」
「ああ、そうしましょうか。とはいえまだ少し早いので、少し時間をつぶしてからにしましょう。」
僕がそう提案すると、先輩は頷く。
とはいえ、時間をつぶすといっても何をすればいいのかわかんないなぁ。
っていうか、普通のカップルはこういう時どうするんだろう。
誰か、身近に彼女いる人は……
「すいません、もう一人いるんですけど、相席いいですか?」
思考に割り込んでくる高めの声。
顔を上げてみると、先輩と同じくらいの身長の高校生らしき女の人が僕たちにそう尋ねてきていた。
あれ?この人何処かで見た覚えが……
「あ、どうぞ。」
先輩はそう言うと、正面の席から僕の隣に移動する。
周りを見てみると、確かに席が満席で、四人掛けのところに二人で座っているのは僕たちしかいなかった。
「ありがとうございます!
おーい、席あったよ!」
「別に、そこまでして喫茶店はいらなくてもよかったのに……
これくらいのコーヒーなら、僕でも淹れられる……あ。」
そう言って二人分のコーヒーを持ちながらやってきたのは、最近僕がよく見る、会いたくないランキングで上位に食い込む会長だった。
……そっかぁ、だからこの人に見覚えあったんんだ。そりゃあそうだよね。さっき会長の隣歩いてたもんね。
「こんにちは会長。奇遇ですね。」
「うん、そうだね。」
会長もこれは想定外だったのか、少し頬を引きつかせている。
あ、やっぱり会長も僕らに会いたくなかったんだ。
「あれ?知り合い?」
「うん、僕の後輩。」
女の人からの質問に会長がそう答えると、その人は僕と先輩のほうを見る。
「初めまして、夜空君の彼女の秋川千雪です!
えっと、二人は琴木君と古都ちゃんで合ってる?」
「え、えっ!?」
何故か僕たちの名前を知っていたことに対して、古都先輩は驚きの声を漏らし、僕は固まった。
「あ、急にごめんね。
わたし、去年まで夜空君たちと同じ高校に通ってて、そこの卒業生なんだ!
で、古都ちゃんのほうは見たことがあったから、その彼氏君かなぁって思ったんだけど、違った?」
「い、いえ、合ってますけど……」
「だよね!夜空君に学校での話を聞くと、二人が面白いって話よく聞くんだ!」
「「会長?」」
僕と先輩が同時に会長を呼ぶと、会長は「ごめん」というジェスチャーをする。
いや、それで許さないし。っていうか、面白いってなんだよ面白いって。
もはや意味わからん。
「ああ、そういえばこの前は二人が怒りながら褒め合う音声を「「はぁ!!?」」……え?どうかしたの?」
秋川さんの思わぬ発言に、僕と先輩の声がハモる。
ちょ、ちょっと待て!!その音声って、会長がニヤニヤしながら僕たちに聞かせてきたアレだろ!!?
そんなのを自分の彼女に聞かせるなんてどうかしてるのか!?
「会長!なんてことを!!」
「まぁまぁ、減るもんじゃないし。」
「こっちの精神力が減りますよ!!」
会長に文句を言うが、当の本人は関係ないよとばかりにコーヒーを飲む。
そういう態度も嫌いだ!もうヤダこの人!!
「はぁ、仕方ありません先輩。今日のところはもう帰りましょう。
そろそろ夕飯の時間ですし。」
「あ、そうだ!
今から、わたしたちの家に来る?夜空君、すごく料理上手なんだよ!」
「ちょ、千雪!」
名案だとばかりにそう言う秋川さんに、会長は慌てた様子を見せる。
なんか、こういう会長は新鮮だ。
っていうか、『わたしたちの家』?
たちってことは……
「え?会長、同棲してるんですか?」
「……やっぱりばれたか。」
「あっ!!秘密だった!!」
秋川さんは、少し抜けた人なのかもしれない。
っていうか、悔しそうにする会長が新鮮すぎて「お前は誰だ?」って感じなんだけど……
「はぁ、千雪、二人は今デート中なの。邪魔しちゃ悪いよ。」
「あ~、確かに……
二人とも、なんかごめんね。」
「あ、いえ。僕は全然。」
「でも、古都ちゃんのほうは……」
そう言う秋川さんの視線の先には、僕の手を握って黙ったままの先輩。
先輩って、実は人見知りだよね。
いやもう、ほんとすいません。
「今はこっち書きたいし、時間かかるから後でいいか」を繰り返していました……




