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目の付け所が以外でしょ?





「じゃあ、考えてきた案をお互いに発表しようか。」


放課後の部活。

『美しい言葉を探そう部』の部室で、椅子に座ったまま僕たちは向かい合っていた。



「そうですね。じゃあ、僕からでいいですか?」

「うん。」


先輩から許可をもらったので、授業中ずっと考えていたアイデアを発表する。


「まず、僕は会長が言っていた『お似合いのカップルである二人に折り入って願いがあるんだ。』という言葉に目をつけました。

 これはつまり、『カップルだからこそできることをしろ』と言っているように聞こえませんか?」

「確かに。でも、会長にそんなヒントを出すメリットが?」

「いやまあ、僕たちをその気にさせるために言ったとも考えられるんですけどね。でも、今の問題はそこじゃないです。

 僕は、その言葉からヒントを得て、一つ思いついたんです。

 みんなの前で思いっきりイチャイチャすればいいんじゃないかと!」

「却下!」

「何でですか!?」


僕の渾身のアイデアは、何故か却下された。

その驚愕のあまり、思わず座っていた椅子から立ち上がる。


「そもそも、みんなの前でイチャイチャするためにカップルになったわけじゃないだろ!?」

「それくらい捨て身じゃないと賞は貰えませんよ!」

「それとこれとは別!!」

「じゃあ、先輩は何を考えてきたんですか!?」

「ステージの上で、歌って踊る。」

「ありきたりすぎますよ!そんなの!」


そんな、誰だって思いつきそうなもので賞が貰えるわけがない。

だって、相手はあの(・・)会長なんだから。


「ありきたりでもいいじゃないか!ステージの上でイチャイチャするよりもいいだろう!」


先輩は椅子から立ち上がりながら大声でそう言うと、机をバンと叩く。

それに対抗心が芽生えた僕は、負けないくらい大声を出す。


「じゃあ、先輩は僕とイチャイチャするのが嫌なんですか!?」

「そうは言ってない!イチャイチャはしたいけど、みんなも前でするのは恥ずかしいという話だ!!イチャイチャしたいなら、ボクと二人っきりの時にすればいい!

 ボクに優しくするキミを見て、もしキミに惚れるやつが出てきたらどうするんだ!」

「そんなこと言ったら、歌ったり踊ったりする先輩の美しさと可愛さで男が先輩に惚れたらどうするんですか!!可愛い先輩は僕の為だけに居ればいいんです!」

「だったら、優しくするキミはボクの前だけで見せてくれたらいいんだ!!」

「はぁ、はぁ……」

「はぁ、はぁ……」


僕も先輩も大声で叫んでいたので、息が切れる。

乱れた息を整えるために数回深呼吸すると、やっと冷静さが戻った。


……あれ?なんか話の趣旨がずれてる気が……


「……話がずれてきてませんか?」

「……ずれてる。」


僕と先輩はお互いにクールダウンして椅子に座ると、同時にふぅっと息を吐く。

やっぱり、脱線していたのは気のせいじゃなかったみたい。

っていうか、なかなか恥ずかしいことを叫んだような気がする。

何故か先輩は、両手で顔を覆っているし……


「……先輩……」

「ちょ、ちょっと待ってくれ……今、自分の発言の恥ずかしさと、キミの発言の嬉しさに混乱しているところなんだ……」


あ、うん。とってもわかります。その気持ち。

なんか、すごく叫びながらお互いを褒めあってたし……

うああ、思い出したらすごく恥ずかしい……











「じゃあ、次は『美しい言葉を探そう部』かな?」


僕は、『男装女装パフォーマンス』の資料を配るために、部活棟を歩く。

……やっぱり暗いなぁ……ただ、明るくする予算はないしなぁ……

こういうことを考えないといけないから、会長は面倒くさい。

まあ、平穏の為に必要なんだけど……

あ、いつの間にか部室の前に着いてた。

一瞬通り過ぎるところだった。

何の部室かわかりにくいところも、改善点だね。まあ、去年も同じことを言った記憶があるんだけど。

さあ、二人は何してるかな?何かいかがわしい事でもしてないか心配。

ま、あの二人のことだからないとは思うけど、証拠を押さえるために一応録音しておく。

材料はいくらあっても困らないしね。


「却下!」

「何でですか!?」


急に、部室の中からそんな声が聞こえてきた。

ああ、何を出すか話し合ってるのか。

でも、部活棟って声響くから、もっと静かにしたほうが……


「そもそも、みんなの前でイチャイチャするためにカップルになったわけじゃないだろ!?」

「それくらい捨て身じゃないと賞は貰えませんよ!」

「それとこれとは別!!」

「じゃあ、先輩は何を考えてきたんですか!?」

「ステージの上で、歌って踊る。」

「ありきたりすぎますよ!そんなの!」


さらに、そんな会話も聞こえてくる。

……どうしよう、今ここで扉を開けてこれを中断したくない。

なんか、面白い!


「ありきたりでもいいじゃないか!ステージの上でイチャイチャするよりもいいだろう!」「じゃあ、先輩は僕とイチャイチャするのが嫌なんですか!?」

「そうは言ってない!イチャイチャはしたいけど、みんなも前でするのは恥ずかしいという話だ!!イチャイチャしたいなら、ボクと二人っきりの時にすればいい!

 ボクに優しくするキミを見て、もしキミに惚れるやつが出てきたらどうするんだ!」

「そんなこと言ったら、歌ったり踊ったりする先輩の美しさと可愛さで男が先輩に惚れたらどうするんですか!!可愛い先輩は僕の為だけに居ればいいんです!」

「だったら、優しくするキミはボクの前だけで見せてくれたらいいんだ!!」


……やば、これは駄目だ。面白すぎる。

何?このカップル、喧嘩っぽい感じでお互いを褒め合ってる!?

何このイチャイチャ!録音して正解だった!

後で、千雪にも聞かせよう。

あ、あとで本人たちに聞かせても面白そう!





次回更新は未定です!

……本当にすいません……

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「絵が好きな君と絵を描かない僕」
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