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二人しかいない部だとこうなる





どうしよう。

今、このドアの先に先輩がいる。

なんていうか、こんなにドアを開けにくい日はない。


でも、いつまでもこうしてはいられない。

うん、開けよう。開けるぞ!開ける!

僕はドアノブを手で掴んで、思いっきり押す。

すると、勢いよくドアが開いて、朝のひかりが僕の目に飛び込んでくる。

ま、眩しい!


「お、おはよう……」

「お、おはようございます……」


ドアを開けた先にいた先輩が顔を赤くしながら言ってくる。

それが、昨日の告白のことを思い出させる。


「…………」

「……い、行きましょうか?」

「あ、ああ。」


な、なんか気まずい。

どうも昨日の記憶が脳にちらついて、恥ずかしくなってしまう。

先輩もそうなのか、ちらちらとこちらの顔を見てはいるけれど肝心の会話はない。


「「あ……」」


気まずい空気をどうにかしようと口を開くと、ちょうど先輩とかぶってしまう。


「じゃ、じゃあ先輩からどうぞ。」

「あ、ああ。その……ボク達、付き合ってるってことで、その、いいんだよね?」

「え、ええ。僕はそういう認識です。」

「そ、それでいいんだよね?あれは夢とかじゃ……」

「無いと思いますよ。あれは現実です。」

「そ、そうだよな。うん。良かった。じゃ、じゃあ、零君の話は?」

「実は、先輩と同じです……」

「そ、そうか。」


会話終了。

え?ど、どうしよう……


「せ、先輩。今日のお弁当は、なんですか?」

「あ、ああ。今日の弁当は、から揚げと……」


よかった。一応会話のネタが出来たぁ……

これで、気まずい沈黙から解放される。









「おはよう。」

「ああ、おはよう零。」


一輝はそう言うと、椅子をずらして、僕の方を見る。


「まずは、おめでとう。」

「へ?何が?」

「先輩と無事付き合うことになったんだろ?」


まあ、そうなんだけど。

なんでこいつは知っているんだろう。

この情報能力が頼もしいけど、こういう時は怖い。


「さすがだね。なんでわかったの?」

「会長に聞いた。」

「ああ、なるほど。」


余計なことをしやがって。と、心の中で文句を言っておく。

まあ、直接は言わないけど。


「まさか、こんなに早く付き合うことになるとはな……びっくりだ。」

「確かに。僕もまさかこんなに早く付き合うことになるとは予想してなかった。びっくりだよ。」

「そりゃあそうだ。ただ、これは友人から聞いた話なんだが、『付き合ってからが勝負だぞ?特に出合ってから時間が経たずに付き合った場合は注意が必要だ』ってな。」

「……肝に銘じておくよ。」


なんか、一輝のこういう話は洒落にならない気がする。

これがフラグとかにならないといいけど……


「零様!」


ああ、また来た。

後ろから感じる重みと、不快な感触。

思わず、舌打ちが出る。


「おはようございます。いい朝ですね!」

「今一瞬にして最悪な朝に変わり果てた。桜と一緒に散ればいいのに。」

「そんなに照れなくてもいいですのよ?」

「うざい。離れろ。」

「だから、もっと私にデレてくれても……」


はぁ……こっちの話も聞いてくれよ。

まったく……本当にうざいな。

いい加減殴り飛ばしたくなるけど、こっちから手を出したら負けだ。誰か助けてくれよ。本当に。


「零様、早速私の両親に連絡を……」

「少し、どいてくれないかな?」


聞こえてきたその声に、何故か背筋が伸びる。

確かに誰か助けてくれとは言ったけど、よりにもよってお前か。


「僕は、琴木零君に話があって来たんだけど。」


会長、深星夜空。


「あら、会長の深星夜空さんでしたか?今、零様は私とお話の途中ですの。」

「そっか。でも、僕は『生徒会長』として『美しい言葉を探そう部』の部長と副部長に用があるんだ。君の『個人的で一方的な用事』はどうでもいいんだよ。じゃあ、借りていくね。」

「「「っ!!?」」」


会長以外三人の驚愕が重なる。

今、何が起こった!?さっき、僕は確かに後ろから抱き着かれていた。

でも、今は会長に左腕を掴まれた状態で立っている。

僕は会長が現れてから、一瞬も気を抜かなかった。

なのに、何故?


「ほら、古都さんが待ってるよ。」

「……わかりました。」


先輩の名前を出されたら、従うしかない。

途中でバカ女がくっついて来ようとしたけど、また会長の妙技が発動した。

本当に意味が分かんない。会長もバカ女も。


それからどうにかして、生徒会室にたどり着く。

ああ、なんかここはアウェイ感がすごいんだよな。

っていうか、最近生徒会室に来る回数が多い気がする。


「会長、どうして僕を……」

「まあまあ。焦ってもいいことないよ。ちゃんと説明するから、ほら入って。」


会長はそう言って扉を開けて、僕を先に部屋に入れる。

中に入ってみると、先輩が何処か警戒した様子でソファーに座っていた。


「ほら、古都さんの隣に座りなよ。」

「言われなくてもそうしますよ。」


僕は先輩の隣に腰かけると、先輩の手を取る。

うん。やっぱり落ち着く。あったかいし、柔らかいし。


「こうやって改めて見ると、二人ってお似合いだね。」


うん。だからどうしたと言いたい。

でも、一応会長だし、ここはぐっと飲みこんでおく。


「会長。関係ない話は……」

「関係ない話じゃないんだよね。これがさ。

 実は、お似合いのカップルである二人に折り入って願いがあるんだ。」

「嫌です。」

「ちょ!零君!?話くらい聞いても……」

「先輩。会長の話を聞いたら最後。YES以外の選択肢が無くなりますよ?」

「あはは、信用が無いんだね、僕は。」


色々やらかしてるんだから当然だと僕は言いたい。


「でもさ、これに関しては大いに関係ある話なんだよね。」

「えっと、どういうことでしょうか?」

「古都さん、よく聞いてくれたね!実は、来週の終わりにとあるイベントがあるんだ。」


うわあ、悪い予感しかしない……


「そのイベントは、全部の部活動と生徒会が出場するんだ。」

「あ、もしかして……」


先輩はそう言うと、顔を青くして少し後ずさる。

え?どんなイベントなの?

そんなになるくらい嫌なイベント?


「あの、『地獄天国祭?』」

「うん。古都さんは去年見てたから分かるよね。よくわからないであろう零君の為に説明すると、このイベントは、豪華景品をかけて部活動と生徒会ごとに争う行事なんだ。」

「は、はぁ……」

「で、その争う内容っていうのが、『男装女装パフォーマンス』ってやつで、各部活動から代表を二人ずつ出して……」

「ちょ、ちょっと待ってください!二人ですか?じゃあ、僕たちの部は……」

「うん。強制参加☆」

「まじですか……」


先輩が顔を青くして後ずさった理由が分かる。

これは最悪だ……






更新を一月以上開けてしまい申し訳ございませんでした

付き合い始めたのはいいんですけど、その後の展開が思いつかなくて……

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「絵が好きな君と絵を描かない僕」
面白いよ!(たぶん)

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