木を植えちゃった男
「・・・で、そのオッサンがどんぐりをここに植えたんだな・・・」
俺は今、美人と会話している。
「そうよ、『ノル・ウエノ』という羊飼いが勝手に植えたの」
リアル峰不②子のような超セクシーな美女だ。
この辺りは、元々荒れた土地だったらしいんだが
魔王城に近いので魔力が充満しているのだそうだ。
で、育った木にも魔力が宿ってしまったようで・・・
「つまり、俺が今見ているのは、木の魔力が見せている幻影なのか」
「ピンポ~ン!正解よん!」
にこやかに俺に微笑む美女。
どうやら彼女は鎧のOSことロト11が擬人化した姿らしい。
俺が見ているボン!な胸も、キュッ!ウエストも、ボン!なヒップも全て幻・・・
たとえ、『触ってもいいわよん』と言われても、触れる事など・・・
ムニュ。
「あ・・・」
俺は幻美女のエロい乳を鷲掴みにしていた・・・
なにこれ?幻なのに柔らかい!
って、ナニやってんだ?俺!
いくら幻でも・・・いや、幻なら問題ないか・・・
ほら、胸揉まれてる鎧OS不二子ちゃんも笑ってるし・・・
いや、顔は笑ってるが、こめかみにプンプンマーク!
ボコッ!
俺の顔面にグーパンがヒット!
あの!幻なのに痛いんですけど!
幻のパンチ受けて鼻血出たんですけど!
「ああ、今のが『幻の右』だね」
って!アンタ誰?
「え?僕の事知らない?僕さぁ、ボクサーなの」
スミマセン!ティーンエイジャーはG石松さんの事は、あまり・・・
「うん!OK牧場!」
有名な元プロボクシングWBCライト級チャンピオンで、スピルバーグ作品にも出演した世界的俳優さんだなんて、俺たちの世代ではあまり知られてませんけど!
あ~、びっくりした・・・
幻影の森恐るべし!
鼻血を拭く事も忘れてた・・・
えっと・・・ティッシュかハンカチないかな・・・
ムニュ。
「あ・・・」
また、乳を鷲掴みに・・・
あ、いや、わざとじゃないんです、わざとじゃ・・・
ドスッ!!!
「ぐへっ!!」
ローリングソバット!!
OS不二子ちゃんの華麗な技が炸裂!
伝説の鎧の胴部にヒット!
幻なのに、鎧越しなのに痛い!
「痛覚なんて元々人間の作り出した幻みたいなものですから」
なんだ、カレンか・・・
俺はてっきり、初代タイガーMが出て来るんじゃないかと思ったが・・・
って!なんで水着着てるの?
ここ森だよね?ビキニは海で着るものですよね・・・でも、エロくて良い!
ザッパ~ン!
え?波をかぶった・・・
全身びしょぬれの海パン姿の俺・・・
あれ?ここは海?
おおっ!ビキニ姿の女子二人、カレンとカイコさんが水を掛け合ってキャッキャ、キャッキャしてる!
良い!
うむ、俺の求めていたのはこれだ!
夏、定番、お約束の水着回。
この作品に足りなかったのはこれだ!
幻サイコー!
「ねぇ、オイル塗ってくれないかしら?」
キターッ!お約束中のお約束、キングオブお約束イベント!サンオイル塗り!
日焼け止めならまだしも、今時サンオイルを浜辺で塗る女子など絶滅危惧種。
ビキニのブラを外して背中に塗ってくれなど言われる事はリアルではありえない。
宝くじに当たる確率か、ハニートラップか?
非モテ男の妄想の中だけに生息する超レアシチュエーション!
そう、この横紐も何もない背中にオイルを塗ると・・・
「あん・・・」と思わず声を漏らす・・・アベオ・・・
って、なんで男の背中にオイル塗らなきゃいけないんだ!
「ひでぶ!」
俺がアベオの後頭部を踏み潰していると、後ろから声が聞こえる。
「こっちもお願いね、ボウヤ」
振り向いてジェームスやリズ姫の婆やだったら、この島ごと海に沈めてやる!
と、聖剣に手を掛ける俺の視界には、ビキニ姿のリアル峰不②子!
もとい、擬人化された鎧OSロト11!
うつ伏せに寝そべり、背中に掛かる長い髪をまとめる仕草が色っぽい!
すでに背中の紐も外してあり・・・
「ごくり・・・」
塗っていいのか?いいんだよな、頼まれたんだから・・・
塗ってもいいんですよね、サンオイルを・・・
この、横乳に!
『横乳に塗っちゃダメだよ、ちゃんと背中に塗らないと』
お前は!俺の心の中の天使!
「ですよねー、では、失礼します!」
OSロト子の背中にオイルを垂らす俺。
「あん・・・」
と吐息を漏らすロト子の白く滑らかな背中に手を滑らせる俺。
「はぁ・・・」
と、ロト子のエロい声を聞きながら横乳ガン見の俺。
『おいおい、幻相手にナニ躊躇してんだよ』
お前は!心の中の悪魔!
『横乳とかセコイ事言ってねえで、ガバッと行っちゃえよ』
うむ、確かに『手が滑った!』ってのもお約束だしな・・・
『滑っちゃダメだよ』
俺の中の天使が囁く。
だが、横乳に日焼けムラが出来てしまうのでは?
『日焼けムラよりも、ムラムラしている心が問題だよ』
おい天使、シャレのつもりか?
この横乳にムラっとしない思春期の男がいたら会ってみたいものだ。
『ひでぶ!』
俺は心の中の天使の後頭部を踏みつけ呟いた。
「ダークファンタジーに良心の呵責は要らねぇ」
さてと、エロい横乳にサンオイルを・・・
「おい、小僧、妾にも塗れ」
おおっ!大人ヴァージョンのリリス!
モチロン!ヨロコンデ!
「勇者殿、私にも塗ってくれないか?」
カイコさん!
「ケントさん、魔女の呪いは封印してありますから、私にも塗り放題ですよ」
カレン!マジか!
よし!みんなまとめて全身ムラ無く塗ってやるぞ!
「えっと・・・どうしたものかしらね?魔女っ娘ちゃん・・・」
「どうしましょう?アベオさん。この森は楽勝で通過できるはずなんですけど・・・」
「うむ、この幻惑除けの仮面を着けていれば、なんの問題も無いな」
「ええ、でもケントさんは仮面を渡す前に、幻世界にイッちゃってましたから・・・」
「どんな楽しい幻を見ているのかしらね」
「どうせエロい幻ですよ、さっきから『ヨコチチ』って呪文のように繰り返してますし・・・」
「うむ、木に抱きついて笑いながらヨダレ垂らしているな」
「まぁ、幸せそうなんで、放っておきましょうカイコさん」
「仕方あるまい」
「そうね、じゃ、先にイッちゃうわよ、ケント」
こうして俺は、パーティーメンバーに森に置き去りにされた・・・
本日の死亡者・・・ケントの心の中の天使一名。
又、勇者一名が森から脱出不能につき、戦線離脱。
【次話予告】
森に置き去りにされた主人公の運命や如何に・・・
というストーリーだが
作者は此処で一つの疑問と対峙する事となった。
重要かつ深遠な疑問である。
果たして『放置プレイ』とは【SM】にカテゴライズされるものなのか?
という、根源的な問題。
物理学で例えるなら、熱力学第二法則の真偽を論ずるような基本原則に対する問であろう。
曲がりなりにも小説というものを書く者として、その解は物語の中で明かしてゆく事こそ何よりも明白な『真』な筈だ。
次回「ご褒美と罰ゲーム」
あ~あ・・・久々に更新したと思えば・・・
こんな衆目に晒せない文を・・・




