天使と悪魔
「ふう・・・死ぬかと思った・・・」
俺は白い砂浜の上で兜のバイザーを上げた。
空から落ちて行く途中で『伝説の鎧』が【緊急自動装着】した・・・
ゾンビでも、アンデッドでもない・・・生きているちゅーの!
――以下、主人公回想――
「ぎゃぁぁぁ!落ちる!死ぬぅぅぅ!」
キュィ~ン!!!
ん?ベルトのバックルが!光って回転してる?
『ジャ~ン!チャカチャカチャー♪チャカチャカチャー♪チャカチャカチャー♪』
「なに?このBGM?」
そして、ベルトから流れる特撮ヒーロー的ナレーション。
『伝説の勇者のベルトは、猛烈な風を受け伝説の鎧へと変身するのだ!』(CV.小山〇也)
ガシャン!ガシャン!ガシャン!
変身ベルトが『伝説の鎧』に変形。
「鎧装着しても、落ちたら『中身』グチャグチャだろ!?」
ブーンと例のドローンが俺の頭上に飛んで来た・・・
「そうか!コイツにつかまれば!」
ガッシャーン!!
「痛っ!!!」
ドローンが鎧にパイズラーオン!
兜に変形しなくていいから!飛んで!
「くそ!もう、課金でもなんでもするから、【飛行機能】だ!」
視界に広がる幾つものウインドウ、鎧のOSが俺に囁く。
『ざんね~ん、無理よん』(CV.二階堂有〇子)
「なんでだよ!不二子ちゃ~ん!」
『今、メンテ中。ウフッ』
ウフッじゃねー!
「ぎゃぁぁぁ!落ちる!死ぬ!」
『大丈夫よ、鎧だけは・・・』
「だから!中身は?」
『壊れないわ、鎧だけは・・・』
「生身の中身も守って!」
慌てふためく俺を襲う衝撃波!
ブンッ!
下からの波動?極悶島から?
うわっ!体が跳ね上がった!?
あれ?でもまた、落ちる!
あああああっ!
ズボッ。
頭から砂浜に突っ込む俺・・・
――回想終了――
で、砂浜の横にクレーターがあるわけだが・・・
あそこに一度落ちたのか?俺・・・
「何を戯けた事をぬかしておるのじゃ、小僧」
ん?この声は!
振り向くと幼女姿のリリスちゃんが立っていた。
「あの窪みは、妾の波動で出来たものじゃ」
見た目は可愛らしいリリスちゃんだが・・・
この口調は、超メジャー悪魔・・・
「リリス!どうしてここに?」
「白と黒の愚か者どもが、無理矢理、妾を船に乗せやがったのじゃ」
「カイコさんとアベオか・・・」
「そして、低級魔物が船ごと呑み込むなどという不遜な振舞をしおっての」
「クーちゃんか・・・」
「眠りを邪魔された妾は、ヤツの腹を引き裂いて外に飛び出したのじゃ」
「呑み込まれた他の船は?」
「さぁな・・・人の心配より、己を憂いだほうが良いのではないのかのぉ」
「?」
ニヤリと笑うリリスの指さす方、海へ振り返った俺・・・
巨大な波がこちらへ押し寄せて来る!
「ひぃいいい!」
「妾は寝起きが悪くてのぉ、不機嫌に背伸びをしたら、辺り一面吹き飛んでしもうた。あの大波もその反動じゃな」
その波動のおかげで助かったのはいいが、あんな大波に巻き込まれたら・・・
ザッパ~ン!
あっという間に俺は大波に呑み込まれた・・・
超ビッグウェーブにも微動だにしない伝説の鎧。
だが、開けっ放しのバイザーからは、海水が鬼の様に流れ込む・・・
ぐびび・・・ゴホッゴホッ・・・
大量の海水を飲み、気絶する俺・・・
大波の上で宙に浮かぶリリスちゃんが、こちらを見ている事など知る由もなかった・・・
「ふむ・・・世話の焼ける小僧じゃ・・・」
ん?なんだ?これ・・・
唇に柔らかくて暖かい感触が・・・
きっと、キスってこんな感じなんだろうな・・・
初チューも無しで死んだのか、俺・・・
「ゲホッ!!」
口から水を吐いて、俺は意識を取り戻した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・ああ、苦しかった!でも、生きてる!!」
「全く、情けない小僧じゃ」
「ああ、無事だったのかリリスちゃん」
そういや、宙に浮かんでたっけ・・・
「空飛べるなら、助けてくれれば良かったのに・・・」
「助けて・・・やったじゃろ・・・」
あれ?なんか超メジャー悪魔が頬を赤らめて・・・
ん?
「俺を、助けてくれた?の・・・」
「ふん、覚えておらんのか、この朴念仁が・・・」
「えっと・・・もしかして・・・」
「そんな事より、あそこに裸の女子がおるぞ小僧」
「え!裸の女子?どこ?どこ?どこ?」
いたー!
全裸で浜辺に打ち上げられていたのは・・・
「カイコさんじゃないですか!」
うつ伏せで気を失っている?
「今、助けに行きま~す!」
全力で砂浜ダッシュの俺。
「ふん、相変わらずエロの亡者じゃな・・・」
あきれ顔のリリスの事はガン無視で美人騎士救出に向かった俺。
秒で現場に到着した俺の目に映ったのは・・・
「なんだよ!これ!ありえない!」
カイコさんの胸と尻に、コンブだなんだ海藻がまとわりついている・・・
その横には、仰向けでチ〇コ丸出しのアベオが大の字で気絶している。
おい、コンブ、巻き付くならアベオのデカチンにしろ!
うむ、二人とも息はあるようだが、この状況は一刻も争う事態。
すぐに、じ、じ、人工呼吸を!
いや、その前に、体を締め付ける海藻を取ってあげなければ!
『人工呼吸は必要ないよ』
ん?お前は、俺の心の中の天使!
『海藻も取っちゃダメだよ』
ですよね~・・・いや、でも・・・
『こんなチャンスは滅多にないぜ!』
お前は!心の中の悪魔!
『バ~カ!誰も見てね~んだ、あれやこれやヤリ放題じゃねーか!』
だよな!
『だめだよ!リリスが見てるよ。それに、男としてサイテーだよ』
『関係ねーよ!どうせ【変態】だの【不浄の種馬】だのって呼ばれてんだ。今更、【卑劣なレイプ魔】の二つ名が加わっても大差ねーだろ!』
いや、さすがに最後のは・・・
『元々、男としてサイテーなんだよ!俺は!てめぇは引っ込んでろ!』
『うわっ!暴力反対!』
ああ、俺の中の悪魔が正しい心をボコボコに駆逐して行く・・・
「ふむ、吹っ切れたようじゃの、小僧」
遠目で笑うメジャー悪魔に目もくれず・・・
俺はカイコさんを仰向けにして、胸にへばり付く海藻に手を・・・
「う、うう~ん・・・」
あれ?起きちゃった?
ぱっちりと瞼を開けたカイコさんと目が合った・・・
美人騎士の胸に巻き付いたコンブを両手でつまんでいる俺・・・
「うん?ケント・・・か?」
ヤバい!怒られる!チンチン切り落とされる!!
「いや~ん!久しぶりぃ~!」
え?抱きつかれた!しかも、全裸で!嬉しそうに?
ん?どういうことだ・・・
心は漢のカイコさんも、遂に俺の魅力を理解したのか?
魔王城の階段上る前に、大人の階段登っちゃう?
【次話予告】
ありがとう!カレン!
色々と世話になったが、もう君は必要なくなった。
次回から『お色気担当』はカイコさんにお願いするから
ビッチなエセ天使は、天界でもアキバでも好きな所へ帰ってくれたまえ。
次回「転校生」
わかりました、ケントさん。
退職金は、『私をオカズに一人Hした回数×一万円』で勘弁してあげますね。




