ルーとラー
「うぉおおおっ!カレンちゃん!」
「泣けるぜ!カレンちゃん!」
「あんた、海賊の鑑だ!キャプテン・カレン!」
海賊港の荒くれ者たちが号泣している・・・
カレンの冒険譚を聞いて感動している・・・
「夢だぜ!ロマンだぜ!」
「大切にするんだぞ、その麦わら帽子!」
そりゃ、感動するわ・・・
カレンは、あの超大ヒット少年漫画を丸パクリしてるんだから。
最初は、一人か二人だった観客が何十人にも膨れ上がり
ただのホラ話が「泣ける冒険譚」として紙芝居で語られる。
『ゴ〇ゴ〇のぉ~オッパイ!』
「うぉおおお!出た!カレンちゃんの必殺技!」
なんだよ!その技?
「ゴム最高!俺はナマが好きだけど、ゴム最高だぜ!」
おいおい・・・
また、何気に絵が上手い・・・
どうせ魔法で出したんだろうが、中々迫力のあるタッチだ。
だが、人物登場時に『どん!』という擬音を背景に描くのは
さすがにパクリすぎだぞ!カレン!
『パイレーツ・キングに、俺はなる!』
「おおおっ!カレンちゃんサイコー!」
「オレも仲間に入れてくれ!」
海賊どもが拍手喝采。やっと終わったかパクリピース・・・
「じゃあ、次!新章突入だよ!」
まだ続くのかよ!
「おおっ!『珍世界編』だ!」
「早く、続きを見せてくれ!」
なに?このスゴイ盛り上がり?駄作者に分けてあげたい・・・
「みんなぁ~!『新章』観たいかぁ~!」
「おおっ!!」
「『珍世界編』聞きたいかぁ~!」
「おおおっ~!!」
「極悶島へ行きたいかぁ~?」
「イェーイ!!!」
「ゴ〇ゴ〇のぉ~・・・」
「オッパイ!!!」「おっぱい!!!」
息ピッタリかよ!
それはそれは、夏フェスばりの盛り上がりだった・・・
と、俺たちがそんな事をしている間に、海上は魔王城へ向かう船で埋め尽くされている。
『世はまさに、大○○時代・・・』みたいなヴィジュアルになってんな・・・
何百もの帆船が極悶島へ疾走する光景は壮観そのものだ。
ガチャ。
あれっ?望遠鏡が見えなくなった・・・
「おじさん、これ見えなくなったんだけど」
「ああ、1分間1Gだから、まだ見たいのなら金入れな」
望遠鏡に貯金箱がくっついているのが不思議だったんだが・・・
そういうことか・・・海賊のくせにセコイ商売すんなよ!
「もういいよ、金払ってまで見たくない」
「兄ちゃん、セコイな・・・」
そのまんま、お返しします!
ザッパ~ン!!!
ん?なんか沖の方で跳ねたぞ・・・
なんだ?あの超デカい水しぶきは!
「あ、あれは!?兄ちゃん、早く金入れてくれ!」
「自分で入れろよ!オッサン!」
てか、なんでそんなに青ざめてんだ?
「あれは、伝説の白鯨・・・」
まさかの、モビィ・ディック?
「・・・クーちゃんだ!」
ザッパ~ン!!!と沖合で超巨大ゆるキャラクジラがその姿を現した。
カワイイ!が、とてつもなくデカい!
魔王城が浮かぶ極悶島と同じくらいデカくね?
待てよ?この展開は?
義足の船長とか出てきて、話がややこしくなるパターンか?
などと、俺がいらぬ心配をしていると、
超巨大クジラがあんぐりと口を開け
全ての船を呑み込んだ!
「え、ええ~!!ナニあれ!?」
「幸福をもたらす伝説のクジラ。その姿を見た者は宝くじが当たり、病気も治って、彼女ができるというが、実際は全てを呑み込むモンスター。ヤツの腹の中に入って帰ってこれた者はいない・・・」
ええ?国王軍全滅?騎士も冒険者も帰還不可能?
どーすんだ?これ!?
「ケントさ~ん!」
カレンが泣きながらやって来た。
「せっかく私の『ゴ〇ゴ〇のオッパイ』でみんなをビンビンにヤル気にさせたのに!クジラのせいで中折れしちゃいました!」
なんか言葉が卑猥だぞ、カレン。その揺れる乳も・・・
あれだけ盛り上がっていた海賊たちも、すっかり意気消沈。
誰一人船を出そうとする者はいなかった。
そりゃそうだよね。俺だってあんなのに呑み込まれたくない。
しかし、これじゃ魔王城に辿りつけないぞ・・・
「まいったな・・・」
「どうしましょう、これじゃケントさんの初体験が、また延期に!いや、もう一生童貞かもしれませんよ!」
何の心配だ!
「可哀想なケントさん!『伝説の勇者』なのに!生涯童貞だなんて!」
だから!何の心配だ!
「あら、お兄さん、只者ではない・・・」
「と思ってたけど、『伝説の勇者』だったのね」
ん?このお姉さん方はさっきの女海賊・・・
「安心して、私たちがあなたたちを・・・」
「極悶島まで連れて行くわ」
相変わらず棒読みのセリフを二人でシェアしている女海賊。
でも、可愛いから許しちゃう!
「ホントに!船を出してくれるんすか?」
「いいえ、船は出さないけど・・・」
「私たちの転移魔法で連れてって・・・」
「あ・げ・る!」
う~ん、ちょっとイライラする・・・
でも、美人だからいいや!
「え?お姉さんたち魔法使いなの?」
「いいえ、私たちは魔法使いではない・・・」
「わ」
どんな分割じゃ!でも、エロいから許す!
「私の名前は『ルー』・・・」
「わたしは『ラー』・・・」
「これが、私たちの真の姿・・・」
「よ!」
だから、そこで分ける?
ぽわん!とピンク色の煙が出て、二人の美女は変身した。
背中にトンボのような羽をはばたかせ宙を舞う小さな体・・・
「うわぁ、ケントさん!妖精さんですよ!カワイイ!!」
うむ、確かにカワイイし、魔王城へ連れてってくれるのはありがたいが・・・
「あれ?ケントさん、人間の姿の時の方がエロくて良かった、なんて思ってます?」
「い、い、いや!何を・・・き、君は何を言っちゃってるのかなぁ~」
「それとも、この姿でもオカズにできちゃいます?」
するか!こんなファンシーな姿にイヤラシイ想像なんか・・・
いや、でも露出多めで、エロいかも・・・
「ラー、聞いた?」
「ええ、聞いたわ、ルー」
「さすが、伝説の勇者ね」
「妖精に欲情するなんて・・・」
「ええ、聞きしに勝る変態・・・」
「だっちゅーの!」
妖精になっても語尾それなの?
てか、妖精さんにまで変態扱いされる俺・・・
安易な名前とご都合主義の展開・・・
それでも物語は続いて行く。
余計な登場人物が『どん!』しなかっただけ進歩なのか?
次回「極悶島上陸!」
ええ、今回はすんなり行きます。イカせます!




