カンケツ
セバスチャンこと諜報員ジェームスの回想・・・
今朝、ご主人様を送り出し、リリス様とお茶をしてまったりしていた時の事でございます。騎士のカイコ様が屋敷に来られました。
「御免、勇者殿はおるか?」
「これはどうも騎士様、生憎ですが、我が主は今しがた大聖堂へお出になられてしましたが・・・」
「そうか、行き違いか・・・」
「何用でございましょう?」
「うむ、用と言う程の事ではないのだが・・・おう、そうだ、執事殿、貴殿は中々の博識だと聞き及んでおるが」
「いえいえ、わたくしの知識など取るに足らぬものでございます」
「そうか、貴殿は『ブラジャ』には詳しいか?」
「人並み程度には、知識を有しております」
「やはり、『女体知識のデパート』である勇者殿に訊いた方が良いのだろうか?」
「ええ、我が主は、エロい知識だけは他の追随を許しません。童貞ですが、ニヤッ」
【おいおい!なんだよ!その会話!】
あ、すみませんケント様、今は私の独白タイムでございます。
回想の中に入って来ないでいただけますか?
「騎士様、我が主の足元にも及びませんが、わたくしも『ブラジャ』にはある程度の造詣を有しております。なにせ、わたくしも『ブラジャ愛用者』でございます故」
「おお!そうか!ならば話が早い。私も『ブラジャ』を着けてみたのだ。見てくれ!執事殿」
女騎士様は、そう申されてシャツを脱がれました。
それはそれは、美しく見事な谷間でございました。
あまりの神々しさに、わたくしはメモを取る事も忘れ、思わず拝んでしまいました。
「なんまんだぶ、なんまんだぶ・・・」
【おばあちゃんかよ!てか、良い思いしやがって!】
ご主人様、回想中でございます。「私の中に入ってこないで!」でございます。
カイコ様は、そのはち切れんばかりの爆乳を自ら持ち上げて申されました。
「しかし、『ブラジャ』とはこんなに窮屈なものなのか?」
「サイズがお合いになってないのでは?」
わたくしは、止めどなく流れる鼻血を拭う事なく女騎士様に申しました。
【拭えよ!拭けよ鼻血!】
「しかし、店で一番大きいサイズの『ブラジャ』を買ったのだが」
嗚呼、素晴らしきかな爆乳!なんまんだぶ、なんまんだぶ・・・
「聞く所によると、『ブラジャ』には『正しい着け方』があるそうだが、執事殿は知っておいでか?」
「はい、執事として当然の知識でございます」
「そうか!」
すると、カイコ様は背中に手を遣り、なにやら もがいておられる様子でした。
「あの、騎士様?どうされました?」
「ん?『ブラジャの着け方』を指南して貰うのだから、外さねばならぬだろう」
「ぶぶぶ『ブラジャ』をでございますか?」
「うむ」
「いいいい、今、此処で?でございますか!」
「ああ、だが、この背中の『ホック』とやらが外し難くてな、すまぬ執事殿、貴殿が外してくれないか?」
「わわわわ、わたくしがでございますか!騎士様!」
「厄介を掛けるが、頼む」
「よよよ喜んで!」
諜報員生活二十五年、こんな機会に恵まれたのは初めてでございました!
おやっ?ケント様、ツッコミは入れなくて宜しいのでございますか?
わたくしの中に突っ込まなくて宜しいのですか?
【変な言い回しはいいから!早くその先を聞かせろ!】
美しく清く気高いカイコ様のお背中。
白く滑らかな肌を横切る『ブラジャ』の紐。
わたくしの鼓動は早鐘の如く鳴り響き、未知なる世界への憧憬に震える手が『ブラジャ』のホックに・・・
あ、ケント様、ページ数など大丈夫でしょうか?
【いいから!早く続きを!】
わたくしの手が、『ブラジャ』に触れた瞬間、火花が散り爆発が起きました。
【はい?】
カイコ様曰く
「防犯機能付きの『魔導具ブラ』と店の者が言っておった」そうでございます。
此度の『マダム・ラ・ブーフォン事件』を受けて、男性が触れると電流が流れ爆発が起こるように魔法が掛けられた『ブラジャ』だそうです。
その名も『ノーロープ有刺鉄線電流爆破ブラ』。
【大日本プロレスかよ!】
華奢なわたくしの体は吹き飛んで、窓を突き破り屋外の路傍へと転がりました。
【それで、その大ケガか】
いえ、その時の傷は大したことはございませんでした。
ただ、あまりの衝撃にわたくしは気を失ってしまい・・・
「大丈夫か!執事殿!」
気が付くと、わたくしを助けに来たカイコ様の胸の谷間に顔を埋めておりました。
諜報員生活二十五年、ご婦人の胸がこんなにも柔らかく暖かいなんて初めて知りました。
実に幸福な目覚め、至福の時間、このまま時が止まれば良いと・・・
ですが、女騎士様の『乳圧』は凄まじく、わたくしは息をする事が出来ず・・・
本当に、わたくしの時間が止まるかと思いました。
再び薄れゆく意識の中、わたくしは藁をもすがる思いであの爆乳を掴んでおりました。
【ウソつけ!確信犯だろ!】
「あ~ん!」
女騎士様の淫靡な声に意識を取り戻したわたくしへ、カイコ様は瞳を潤ませて申されました。
「流石、勇者殿の執事!主と同じく肩こりのツボをこれ程的確に押さえるとは!」
「あ・・・騎士様、恐れ入ります」
「ああ!そこ!そこはダメ!効きすぎるぅ!」
往来で人目も憚らずカイコ様は歓喜の声を上げられました。
わたくしは思いました。
「諜報員生活二十五年、わが生涯に一片の悔い無し!」と。
以上です。
【回想おわりかよ!リリスちゃんどうなった?】
「リリス様は、そのモンダモンダの間に連れ去られて・・・」
「すったもんだ。だ・・・」
「いえ、揉みましたが、吸ってはおりませんので」
「もういいから、そうゆうの!で、リリスちゃんは誰が連れ去った?」
「誰か分からないのですが、置手紙が残されておりまして」
「置手紙?」
「こちらでございます」
ジェームズは現場に残されたカードを取り出した。
菱形のネコのイラスト入りって、犯人は美人三姉妹かよ!
『リリスちゃんをちょっとだけ借りるわよ(ハート)』
「これは・・・ん?」
俺はカードの隅っこの小さい文字に気付いた。
『魔王城の結界破壊に働いてもらうの(ハート)あなたのアベオより』
「名前書いてあるじゃねーか!」
「諜報員生活二十五年、老眼のわたくしには、そのような小さい字は・・・」
「で、その傷は、カイコさんにボッコボコにされた訳?チ○コ切り落とされた?」
「いえ、これはわたくしが独り路上で余韻に浸っている時の事でございます・・・そう、あの時・・・」
「って、また回想入るの?長ぇ~よ!」
「ですが、この不可解な事象についてもお伝えしておかないと・・・」
「回想いいから、もっと簡潔に話せよ!」
「簡潔に?でございますか?」
「うん」
「承知いたしました。では、簡潔に・・・」
「うん」
「この作品は次回で『完結』致します!」
「へえ~・・・えっ!なにそれ!」
「以上です」
「いやいやいや、主人公の俺も聞いてないよ~!」
「ダチョウかよ!このようなツッコミで宜しいでしょうか?」
「そんなのどうでもいいから!もっと詳しく!」
「では、次回、ご説明させていただきます」
「いやいやいや!終わっちゃうんだよね!」
「次回『遂にカンケツ!』乞うご期待でございます」
あ~あ!次話予告やっちゃった・・・
次話予告
えっと・・・そーゆー事です・・・
次回「遂にカンケツ!」
魔王何処行った?リリス何処行った?




