薄い頭と薄い壁
ああ、なんとか今日中に投稿できました。
なにせ、今日は六月九日。
『シックスナイ・・・・(以下自粛)
魚辺に六九と書いて『あいな・・・・(以下自粛)
こんな前書き、ある意味ROCKだぜ!
「この部屋ね」
鼻息荒くドアの前に仁王立ちするカレン。
入るのか?
ドアを開けるのか?
乱入しちゃうのかぁ!
美女三人で、百合の花が絡み合っちゃうんですかぁ!
嗚呼、思春期男子の妄想力が留まる所を知らない・・・
「まずは、隣の部屋から様子を伺いましょう」
あれっ?隣って・・・そこは、確か・・・
ああ、やっぱりそうだ。
以前、俺とカレンが「お泊り」した部屋だ。
本当に単なる「素泊まり」で、何も無かった思い出のスィートルーム・・・
ああ、懐かしいなぁ、当時のままだ。
円形のベッド・・・
総鏡張りの壁・・・
ベッド脇に置いてある不気味な人形・・・
その人形のコスプレをした店主のオッチャン・・・
「おい、オッサン、こんな所で何やってんだ?」
「ひ、ひえ~!めっかった!」
「うわっ!ブードゥー人形が動いた!」
いやいや、カレン、ドア開けた瞬間最初に目が行くだろ!
「ワイの完璧な変装を見破るとは!兄ちゃん只者やないな!」
だから、鬼目立ってるって!
「さすがはケントさん!変態の洞察力が意外な所で役に立ちましたね」
だから、秒で気付くって!
「見つけたわよ!セクハラ犯罪者!この正義の魔女っ娘カレン様が・・・」
「誰が犯罪者じゃ!ワイは、この世界のご婦人方の救世主や!ブラジャーの母ことマダム・ラ・ブーフォンや!」
うわっ!オッチャンがカレンの後ろに回り込んでナイフを突きつけた!
「姉さん、すまんがワイの身の安全に協力してもらいまっせ」
大仰に見得切るもんだから、隙だらけでまんまと人質になってしまったカレン・・・
「兄ちゃん、ワイを此処から上手い事逃がさへんと、この姉さんの綺麗な顔に傷がつくで!」
「ケントさん!早く鎧を装着して、こんな奴ぶち殺してください!」
「アホ、どないな装備かまそうが、あんなひ弱そうな兄ちゃんにワイが倒せるかい!」
「貧弱でアホ面した童貞かもしれないけど、ケントさんはただの変態じゃないんだからね!」
「なんやと?まだチンチンの皮も剥けてへんような見るからにショボいガキやんか!」
「確かに、恥垢とか溜まりまくっているような顔ですけど、ああ見えて伝説の勇者なんだからね!」
「で、伝説の勇者やと!ワイには、こっそり女子のリコーダーを舐めて喜んどるような奴にしか見えん」
「女子の体操着盗んだり上履きの匂いを嗅いで喜んでそうに見えても、ケントさんは伝説の勇者です!」
「ほんまけ・・・」
俺は身に覚えのない罵声に毅然として立ち向かった。
「言っておくが、俺は、体操着にも上履きにも、そして、リコーダーにも萌えたりしない!あと、今日は変身ベルト巻いてきてない・・・」
「もー!役立たずにも程がありますよ!鎧装着できないケントさんなんて、粉々に折れたシャー芯みたいなもんじゃないですか!」
あのな、あっさり人質になったのは誰だ?
人に頼ってないで、魔法でなんとかしろ!
まったく、この魔女っ娘は・・・
ん?魔女っ娘・・・そうだ!
「オッサン、アンタが人質にしている女、そいつは魔女っ娘なんだぜ」
「魔女っ娘やと?だから、なんや?」
「魔女の呪いって、知ってるよな・・・」
「カエルにされてしまうっちゅうアレか、それがどないやねん」
「それ以上そいつに抱きついていると呪いが発動するぜ」
「そうですよ!私はちっちゃな頃から魔女っ娘で、十五で不良と呼ばれた女。触るもの皆呪っちゃいますよ!」
「アホか、そんなもん迷信やろ」
「そう思うなら、そいつの胸を揉んでみろよ」
「ちょっと!ケントさん!」
「伝説の勇者である俺でさえカエルにされちまったんだ」
「な、なんやと!そないな事が、ホンマに・・・」
「さぁ、揉んでみろよ!アンタの得意技だろ?」
「確かに、見事なお椀型の乳。男なら誰でも一度は揉んでみたいオッパイや・・・」
「ほら、揉めよ!」
「こら!バカケント!なに煽ってんですか!」
「わ、ワイは・・・」
セクハラ乳揉み魔の手がカレンの胸に・・・
「ちょっと!ダメ!」
「あ、アカン・・・」
オールバックハゲは、魔女っ娘の胸を揉む事無く、その場に崩れ落ちた。
「呪いなんぞ恐ない・・・けどな、カエルはアカンて、カエルは・・・ワイは恐いもの知らずの浪速の漢やけど、納豆とカエルだけはアカンのや・・・」
「くっそー!『ミナミの冥王』と呼ばれたワイも魔女っ娘と伝説の勇者が相手じゃ、お手上げや!グリコや!もう、煮るなり焼くなり好きにせい!」
オッチャンが回るベッドの上で大の字になった。
「さぁ、殺せ!八つ裂きに・・・」
「しーっ!」
駄々っ子のようなオッチャンを物凄い形相で黙らせると、カレンは壁に耳を近付けた。
すると、壁の向こう側から、女子のエロい声が・・・
『あ~ん!騎士様!そこ!いい!そこぉぉぉ!』
異世界の建物の壁は、かなり薄いようだ・・・
次話予告
立ち塞がる壁
それを越えてこそ、人として成長する
乗り越える、ぶち破る、突破する、穴を開ける・・・
さぁ行こう!新たなる世界、壁の向こう側へ!
次回「壁を越えて」
ただ、不正解だと粉まみれや泥だらけになる可能性あり・・・
ウルトラクイズかよ!




