カミノコダワシ
「はぁ・・・どうすんだよ・・・」
俺は煤だらけの真っ黒な顔でぼやいた。
「本来は、あの水晶玉を使って勇者殿の記憶を映し出す予定だった訳ですね」
七三エセ修道士の顔も煤で真っ黒・・・眼鏡の片方は割れて、もう片方は曇っていた。
「まぁ、壊れてしまった物はどうしようもなかろう・・・」
エロボケ司祭のマルコの顔も真っ黒・・・しょぼい白髪はちょっとしたアフロヘア―になっていた。
いや、マルコの髪だけじゃなく俺の髪もチリチリパーマに・・・
エセ修道士に至っては七三に分かれたアフロだ・・・
何が起こったかというと・・・
怒りに燃えたシスター・ジルがカミナリを落とした。
比喩ではなく、リアルな雷を魔法で俺たちの頭上に落としたのだ。
マルコ曰く、「シスター・ジルの稲妻系攻撃魔法は、マスタークラスじゃからのぉ」だそうだ・・・
魔物たちに【ライティング・ボルト】と恐れられた高レベルの電撃を喰らって、俺たちは昭和コントのオチのような姿となった訳だ。
シスター・ジルは感情に流された自分を責め、懺悔室に引き籠ってしまったらしい・・・
彼女が軌道修正の頼みの綱だったのに・・・
「つまりはじゃ、じゃじゃ、時間を遡って過去を見る事が出来ればええの、ええの、ええのじゃろろろろ」
マルコ司祭は、まだ電気にしびれてる様子で上手くろれつが回っていない様子だ。
まぁ、確かにそうだが・・・
ブラウン博士みたいな風貌だからって、デロリアンでも出すのかよ・・・
「しかし、かし、かし、司祭様、時間遡行魔法は、何人ものののの賢者が挑戦したものの未だだだだ成功しておりませんが・・・それにしても、このこのこの電撃のごごごご褒美は、後からビリビリじわじわと来ますねぇぇぇぇ」
ごごごごごとか、だだだだって随分【奇妙な】しゃべり方だなエセ修道士。
てか、なんで嬉しそう?ご満悦感ありすぎだろ!
「うむ、そんな高度な魔法は、ワシだって使えんえんえん」
「じゃ、じゃ、じゃあ、ドドドドドどうすんだよ!」
あれっ?俺もしびれてる?
マルコはおもむろに両手を合わせ祈った。
「神よ、ドドドドドどうか哀れな僕をお助けください」
神頼みかよ!
スタンド風に噛まずにツッコめたのはいいが、驚く事に俺たちの頭上が光り輝いて後光を纏った人影が現れたのだ。
「呼んだか?」
光の中から、マルコに負けず劣らずのよぼよぼの爺さんが現れた。
え?神様?
「あ?あんだって?」
耳遠いのかよ・・・
「えっと、あなたは、神様ですか?」
俺はゆっくりと大きな声で聞き直した。
「あ?とんでもねぇ、あたしゃ神様だよ」
・・・俺はどうリアクションすればよいかわからなかった。
「あれ?登場時にこのボケをすると受けるはずなんじゃが、鉄板ネタなんじゃが・・・」
スミマセン、ネタが古すぎてわかりません・・・
「おう、偉大なる我が父、神よ!顕現していただいたことを感謝いたします」
やっぱ、この爺さんが神様なのか、なんか安っちいいな・・・
「勇者殿、物事を見た目だけで判断するものではないぞ」
あれ?爺さんだったはずの神様が少年の姿になった?
「神だからなぁ、どんな姿にでも・・・なれるわよ」
おお!今度は少年がほぼ全裸の美女に!ああ、女神さまっ!
巨大な貝殻の中に立つ女神を見て、エロ司祭は慌てて魔法薬をぐびぐびと飲んだ。
そして、あの白髪オールバックな筋骨隆々ジジイに変身した。
何アピールだ・・・
で、七三えせ修道士はというと、「女神さまぁぁぁ!」と号泣しながら、またブラインドタッチでメモを取っていた。
なんだかなぁ・・・
「さすが私の選んだ勇者。神である私に欲情するなんて・・・ウフッ」
よ、欲情だなんて滅相もない・・・
ああ、長い髪の毛と手で隠れて、肝心なとこが見えない・・・
はっ!スミマセン!確かに俺は邪な考えを・・・
だって、絵画と違ってリアルなんだもの!
俺だけじゃなくて、残りの二人も充分にエロいこと考えてると思いますけど。
なんか、まるで神社の巫女さんにエロい妄想して、罪悪感に苛まれてるみたいだ・・・
次話予告
いつの間にか、しれっと『INTERMISSION TOO LONG』なる章のようなものが設置されているのはご存知だろうか?
いわゆる「ご休憩」というヤツだ。
第一章も終わっていないのに休憩をはさむとは、小説界に於いてある意味【冒険】と言えよう。
その【奇妙な】【冒険】もドドドドドと最終回を迎える!
次回「フリダシニモドル」
正月だからって【すごろく】ネタ?




