情報筋
前回の『なんだよ!2(仮)』・・・
小説の軌道修正のためシスター・ジルを訪ねた俺(主人公)は、暴走するエロボケ司祭のおかげで危うく本来の目的を忘れるところだった。そんな中、シスターは俺にある人物を紹介する・・・
「ケント様、こちらが修道僧のブラザー・ジェームスです」
修道服?というんだろうか、なんかパーカーの長いの・・・ああ、そうそう有名なスペースオペラでジェ○イの騎士が着ているような服。
そのフードを目深にかぶった男をシスターが俺に引き合わせてくれた。
「お目にかかれて光栄です、勇者ケント様」
ブラザー・ジェームスが俺の前にひざまずいた。フードから出された深々と下げた頭は見事な七三分けだった。
ん?
こいつ・・・
丸い眼鏡を掛けてはいるが・・・
「あんた・・・城の給仕じゃねえか?・・・」
ジェームズこと七三給仕は、俺の言葉を聞いてそそくさとフードをかぶり直して俺から顔をそむけた。
「はい?きゅ、キュージとは何の事でしょうか?ゲロゲーロ・・・」
ゲロゲーロじゃねぇ!
どこからどう見ても、あんた城にいた給仕だよね。
王都の街中で、俺の良からぬ噂をある事無い事拡散してたあのオッサンですよね!
「いや、えっと、その・・・ワターシハ、コノキョーカイノ、シュードーソーのジェームスデース」
急に声色変えたってダメだ!
てか、あんた確か諜報員だったよな、あのスケベ王の犬でしたよね?
あ、手に持っているのは聖書じゃなくて、例の手帳じゃねーか!
「えっと、あの・・・あっー!そうだ!シスター・ジル!司祭様がお探しでしたよ!あなたを!」
「わたくしを?そうですか、探していたアレが見つかったのでしょうか?・・・」
シスターは俺とジェームスに断りを入れて部屋を出て行った。
「さすが勇者様、私の完璧な変装を見破るとは・・・」
いやいやいや、変装って・・・
ただ、パーカーのフード被って丸い眼鏡掛けただけだろ!
「あんた、何やってんだ?こんな所で・・・」
「任務につき、詳細はお話しできません」
まぁ、さしずめ教会をスパイしているんだろうが・・・
「どうか、私の正体は内密に願います」
「・・・って言われてもなぁ、シスター・ジルには恩もあるし・・・」
そう、このオッサンの事は信用できん・・・俺の悪評を街中で吹聴するような奴だし・・・
おもむろにジェームスは、あの手帳をぺらぺらとめくってニヤリと笑った。
「本日は、カレン様はご一緒ではないのですか?」
「ん?ああ、あのアホ魔女っ娘は妄想大活劇執筆中につき、置いてきたが・・・」
「そうですか、先日お会いした時に探し物をされていたので・・・」
探し物?
「ええ、可愛らしい猫の絵の入った下着が見つからないと・・・」
あ・・・
「あれは、たしかポシェットの形をした魔導具の中にあったような・・・ニヤッ」
いや、あのキ○ィちゃんパンツはカレンが四次元ポシェットに勝手に入れて忘れてて・・・それに、あの時奴は返却を拒否っただろ!
で、まぁ、そのままポシェットの中に、まだある訳だが・・・
「ああ、あと黒い下着も一枚行方不明だとか・・・ニヤッ」
はっ!・・・
あのバカ女がズサンに管理していたパンティーがもう一枚ポシェットに紛れ込んでいたのは事実だ・・・
だが、俺がそれに気づいたのは最近の事だし・・・そもそも、何故あんたがそれを知っている?
「まったく、カレンにも困ったものだ、下着をポシェットの中に入れ忘れるなんて・・・うっかり取り出してしまった俺の身にもなれって、あははは・・・」
「そうですねぇ・・・あれ?でも、あのポシェットは取り出したい物を思い浮かべて使用する魔導具でしたよね・・・ニヤッ」
うっ!・・・
いや、別に、カレンのパンティーを思い浮かべてなんか・・・
たまたま、そう、たまたま出て来たんだ、黒い・・・そう、黒い三角定規を想像したらアレが出て来た・・・んだ・・・
「まぁ、勇者様もお年頃、夜な夜なあの下着を取り出してナニをしていたかなど聞くほど私も無粋ではございません・・・ニヤッ」
「な、何もしてねーし!」
そうだ、やましい事は何も・・・ない・・・はずだ・・・
てか、その『ニヤッ』ってのムカつく!
「そういえば、以前勇者様が働いていたあの宿屋ですが・・・」
?・・・なんだよ!あの『私のお部屋は空室よん』がどうした?
「しばしば下着泥棒の被害に遭っていたとか・・・」
いやいやいや、それは本当に俺じゃないぞ!
あ、いや、カレンの下着の件だって・・・その不可抗力というか・・・
「わ、わかった!わかったから・・・」
「はい?なんです?勇者様・・・ニヤッ」
「はじめまして!ブラザー・ジェームス!」
「はい、お初にお目にかかります、勇者ケント様・・・ニヤッ」
クソーッ!脅しに屈するなんて・・・
いや、決して脅迫に折れたのではない、大人の・・・そう、大人の対応というヤツだ・・・
だって、俺はやましいことなど何一つないからな!ほ、本当だぞ!
「お礼・・・というわけではありませんが、私のとっておきの情報を一つ勇者様にお教えしましょう」
とっておきの情報?
「勇者様がいつもイヤラシイ目付きで舐め回すようにご覧になっているシスター・ジルですが・・・ニヤッ」
舐め回してねーし!
その『ニヤッ』ってのムカつくからヤメロ!
「実は、男性経験があるんです・・・ニヤッ」
そ、その話は・・・
「やめてくれ・・・その話は知っている・・・」
「なんですと、さすが勇者様、そっち関係の情報力はいつもビンビンですな」
「てか、シスター本人から聞いた・・・」
「で、では、シスター・ジルの『初めての人』が誰かもご存じで?」
「ああ、知ってるよ!いや、本当は知りたくなかった!今でも、忘れたいくらいだ!」
「しかし、驚きですよね、あの聖女様とあのお方が・・・」
その時、俺と七三ジェームスの背後から声がした。
「ああ、確かにワシがシスター・ジルの『初めての人』じゃが・・・何か?」
そこには、エロボケ司祭のマルコが立っていた。
次話予告
遂に明かされた衝撃の事実・・・
男は過去を大切に【ブックマーク】するが
女はそれをフォルダーに振り分ける・・・
あ、そのフォルダーは・・・開けちゃダメ!ネットで拾ったエロ画像が・・・
次回「脳筋」
「のうすじ」ではありません、「のうきん」と読みます・・・




