うれすじ
前回までのあらすじ・・・
七つ集めるとどんな願いもかなえられるという聖器。
魔術師たちによる聖器戦争が勃発する世はまさに『大魔術師時代』、美しき正義の魔女っ娘カレンは一人の英霊を召喚した。しかし、その英霊勇者は、ただのヘタレどころか超弩級の変態だった。
魔術師高校の劣等生である兄に助けを求めたカレンだが、イケメン兄の通う学校が統廃合の危機に瀕している事を知り、学校を救うため学内でアイドルグループを結成し『ラヴラヴライブ』全国大会出場を目指すのであった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「・・・おい、カレン、なんだこりゃ?」
「はい?」
「この訳の分からん文字の羅列は何だと聞いているのだが」
「冒頭に書いてある通り『前回までのあらすじ』ですけど」
「全くのデタラメじゃねーか!」
「どうせ元々ストーリーなんて無かったですし、ハナから誰も読んでませんでしたから、ここは心機一転面白い要素をギュッと詰め込んでこれからの展開に備えようかと・・・」
「いやいやいや、滅茶苦茶な文章で意味わからんぞ」
「そんなことないですよ、色々なヒット作からヒントを得た読者が喰いつく内容じゃないですか」
「やはり、パクリか・・・」
「失礼ですねケントさん、オマージュですよ、オマージュ」
「お前、『オマージュ』の意味わかって使ってる?」
「はっ!ケントさん・・・もしかして『オマージュ』って言葉からエッチなこと想像しちゃいました?」
「するか!」
「いいですか、ケントさん、ヒットする作品には共通する点が多々あるんです」
「はぁ・・・」
「いわゆる『ヒットの法則』みたいなものです」
「ほう、たとえば?」
「物語冒頭で美少女が空から落ちてくるとか」
「美少女が?空から?」
「ええ、このパターンを使うとほぼほぼ100パーの確率でヒットする鉄板演出です」
「そうなのか・・・」
「ただ、物語冒頭というのが必須条件ですから、本作では使えません。パート3で使いましょう・・・そうなると、美少女の私が空から・・・う~ん・・・堕天使設定ですかね・・・・」
パート3の事はいいから、パート2をどうにかする事を考えろ・・・
「他には、越える事のできない強いライバルの死とか・・・この場合、目標にしていた憧れの兄とかでもこれに当てはまります」
「ああ、それは何となくわかるぞ」
「本作の場合は、登場人物があまりいませんし・・・う~ん・・・憧れでもライバルでもないですけど、ケントさん、死んでみますか?」
「なんで俺なんだよ!主人公ですけど、主人公!」
「それから、どの作品にも『三本柱』なる物語の主要三要素的なものが存在します」
「ああ、『努力、友情、勝利』とかいうヤツか」
「そうです、最近のなろうだと『異世界、チート、ハーレム』ですかね」
「三本柱か・・・」
「ケントさんの三本柱は『エロ、変態、童貞』ですか?」
「うるへー!元来俺はそんなキャラじゃねー!」
「やはり、これからは新主人公のカレンちゃんを前面に押し出して『魔法、美少女、ちょっぴりエッチ』なビンビン三本柱で行くのがベストですね」
「こらこら、俺は死んでねーぞ!主役殺すな!」
「あとは、ヒロインや登場人物の女の子がカワイイというのもありますが、これは、私がいる事で楽々クリアしていますから問題ありませんね」
ビジュアルも大事だが、俺的には性格のカワイイ子がいいんだが・・・うん、魔女っ娘死亡で天使交代という展開もありか・・・
「もういっそのことパート2は強制終了して、心機一転新たに『異世界に堕天した美少女が可愛いすぎる』をスタートさせましょう!」
「・・・」
「異世界で魔王を倒すため旅を続ける私にイケメンの仲間が増えていって・・・いいですね、今流行りのイケメンアイドルアニメのなろうバージョン的な、大ヒット間違いなしですよ!」
「・・・」
「まぁ、ブサメンのケントさんには魔王軍にでも寝返ってもらって、雑魚キャラ程度の待遇はしてあげますから」
だめだ・・・やはり、この女に任せていたら話が進まない・・・
「それから、『グルメ、子供、動物』のヒット要素も加えて・・・あと『温泉』も!サービスショットにもなりますしね、ああ、創作意欲が沸々と湧いてきましたよ!」
ここはやはり、気乗りしないが、あの人に頼むしかないか・・・仕方ない、あの人に会いに行こう・・・
次話予告
誰だ?『あの人』とは・・・
誰だ?誰だ?思わせぶりな主人公が会いに行くのは?
誰だ?誰だ?誰だ?空の彼方なんかで踊っている奴は?
地球は一つ、割れたら二つ
いよいよIntermissionも終了か?
次回「ほんすじ」
果たして、本当に本編に戻れるのか?
本末転倒どころか作者不在の本作の行方は?




