再起動!伝説の鎧
巨大化した悪魔の真下で『伝説の勇者の鎧』は何事も無かったように立っていた。
「え~と・・・」
鎧の傍らで上を見上げる俺・・・
「う~ん、やっぱり蛇が邪魔だ・・・」
「ケントさん!なに、悪魔の股間を見上げているんですか!」
「少年!早くその鎧を装着しろ!」
あ、そうだった・・・鎧のコントローラーを・・・
じゅっ・・・
「熱っ!」
触った指が焦げた。
「ダメだ!熱くて触れない!」
火事の炎に熱せられたのだろうか?
とてもじゃないが、熱すぎてAもBもボタンを押せない・・・
「ケントさん!変態なんですから、熱いのくらい平気でしょ!
ろうそくの火だとか、熱湯風呂だと思って我慢してください!」
無茶言うなよ、カレン・・・
「仕方あるまい、私の大技を使うか・・・」
「ちょっと、カイコ、あんたまさか『あれ』をやる気?
鎧壊れちゃったらどうすんのよ!」
「鎧が壊れれば、私の技が究極の境地に達したという事だ。
そんな技なら、リリスどころか魔王だって倒せるはずだ」
裸の美人騎士のお姉さんは、長く美しい両刃の剣を上段に構えた。
おお、葉っぱに隠された胸がプルンっと揺れる!
「離れろ!少年!」
キレイなエロい足をぐっと踏ん張って、カイコ姉さんは剣を振り下ろした!
「氷の刃!」
鎧に向かって、細い氷の道が走る。
まだ燃えさかる宿屋の炎を背に、キラキラと輝く氷の粒。
それらが幾つもの大きな鏃となって伝説の鎧に突き刺さった。
シューッ・・・
真っ白な冷気が立ち昇り、辺り一面見えなくなった。
「どうだ?」
剣を振り下ろしたままの格好で鎧を見据える女騎士。
ああ、そのポーズ・・・たまりません!
冷気の霧が薄れ、その中に浮かび上がる伝説の勇者の鎧。
無事だった。
火に焼かれ、氷が突き刺さったのに、中身の丸太まで健在だ。
「さすが、伝説の勇者の鎧だ・・・」
「勇者の彼!早くその鎧をハメちゃって!」
う~ん、なんかこのオカマ騎士の言葉は、どこかしらイヤラシイ・・・
「えっと、BおしながらAっと・・・」
めちゃめちゃ冷たい。てか、指の皮がボタンにへばりついたぞ・・・
ガシャン!ガシャン!ガシャン!
鎧がベルトの形に戻った。
全裸で変身ベルトを装着する俺・・・
まさか、ホントにこんな格好をすることになるとは・・・(※1)
ガシャン!ガシャン!ガシャン!
鎧装着完了。って、やっぱ、重くてまともに動けない・・・
だから、四次元ポシェットの中の物を取り出す時以外は、コイツを装着しなかったんだ。
「どうした?少年!何故、パワステを使わぬ?」
「ぱわすて??」
俺の言葉に反応したのか、鎧の胸の部分が丸く光り出した。
ウィィィ~ン・・・
小さなエンジン音のような響きと共に、鎧が振動し始めた。
「なんですか?あれ・・・ケントさんの鎧に
光る乳首みたいなのが出てきましたけど・・・」
「あら、魔女っ娘ちゃん、知らないの?あれが、パワーステーションよ。
鎧を動かすための補助動力みたいなものかしらね・・・」
「そ、そうですか。物知りなんですね!アベオさんって!」
おいおい、カレン、目がハートマークになってるぞ!
確かに、そいつは超の付くイケメンだが、女には興味無いぞ、きっと・・・
ウィーン、ガシャ。ウィーン、ガシャ。
「おお、動く!動けるぞ!」
「なんか、できそこないのロボ〇ップみたいですよ・・・ケントさん」
うるへー!サキュバスに揉まれたFカップが!
でも、これ、なんか楽しい。
【一人マトリックス】遊びができるんじゃないかな?(※2)
グガガガガガッ・・・
また、巨大悪魔が唸り出した。
「いかん!また、リリスが!」
「あら、いよいよ本格的に覚醒モードかしら・・・」
「まだ、大丈夫・・・だと思います。
最近は平気で金保留でハズしますから・・・」(※3)
「少年!今のうちに早く【パイズラー】を装着しろ!」
「ぱ、ぱいずらー?」
ん?また、俺の言葉に鎧が反応した?
なんか、胸の所の光ってる部分が点滅してる・・・
「なんですか?その一字違ったらAV用語みたいな名前は?」
「アレよ、魔女っ娘ちゃん」
イケメン騎士が指さす先・・・
俺の頭上に、どこからともなく、なんかドローンみたいなものが飛んできた・・・
「パイズラー・オンと叫べ!少年!」
「ぱ、ぱいずらー・・・おん?」
ドローンが落ちてきて、俺の頭に突き刺さった。
「痛っ!」
この無駄にデカくて邪魔な鎧の詰襟と合体して、兜に変形したようだ。
一瞬、目の前が真っ暗になったが、すぐに視界回復・・・
てか、何これ?
視界の中にいろんなウィンドウが現れた・・・
「伝説の勇者・・・認識。【ロト11】起動しました」
色っぽい女性の声がそう言った。
おい、色々と大丈夫か?そのネーミング・・・
「チュートリアルを開始しますか?」
なんだろう峰不〇子みたいな声だな・・・
この鎧の機能説明か・・・よし、『Yes』だ。
「それじゃあ、始めるわね・・・初めての坊やにも、や・さ・し・く、教えてあげるわ」
おおっ・・・頭の中に、トリセツが流れ込んでくる!
「・・・これで、全てよ。私のあんなトコや、恥ずかしい姿まで見せちゃったけど、ちゃんとお勉強できたかしら?」
鎧のOSと理解していいんだよな・・・この声・・・
「わからない事があったら、いつでも聞いてね、や・さ・し・く、教えちゃうから・・・」
チュートリアル終了・・・
ま、まぁ、これでこの鎧の機能は、俺にインプットされた訳だな・・・
ん?
使い方が・・・全然わからん・・・
「あら、学習能力のない坊やね。ムチとろうそく、どっちが好きなのかしら?
選んでくれたら、それを使いながら、、や・さ・し・く、教えちゃうわ」
いや、そんな趣味はないので・・・
とりあえず、OSのナビキャラ変更の方法から教えていただけますか?
【注釈】
(※1)PART1『明るい家族計画』を読めば、さらに楽しめます。
(「次話予告」下部にリンクあり)
(※2)『エビケン』で検索してみてネ!
(※3)いわゆるパチンコネタです・・・
次話予告
無敵のヒーローにも弱点がある。
海の中では、ヘタレちゃう
三分間しか戦えない
尻尾を握られると力が抜けてしまう
変身するとき裸になる・・・いや、これはむしろ長所か・・・
次回「活動限界です!」
唯々、駄文を垂れ流し続けた一週間。
連日投稿もそろそろ活動限界か?
しかし何故、こんな愚行を?
きっと、「夏のせいかしら」・・・