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俺は王様  作者: 網野雅也
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鞘神楽 武君の場合。

 

 コール君がまさか、日没までに彼女連れてくるとは、思わなかったな・・・

さてと、また暇になったし、次のターゲットを絞るか。


鞘神楽 武君


プロフィール

高校2年、夏休み、真面目、地道、2枚目

地味、趣味はサイクリング、チャレンジ精神旺盛。諦めない。嘘がつけない。


何をさせるかの?


武智山にいるとされる山の精霊と会って、その証拠写真を撮って来い。


宿賃と、交通費、小遣い、王宮から支給。

期限 夏休みが終わるまで。

懲罰なし。


鞘神楽 武君の場合。


俺は鞘神楽武。高校2年生。

なぜ選ばれたかは知らないけど、俺の家に王宮から命令が書かれた文書が届いた。

武智山…、知らない山だ。でも少し退屈してたし、夏休みの良い思い出として

行ってみるのも、それはそれで良い気がして、今日旅たつ事にした。

家族にはもうその事は全て話していて、了解はとってあるし、後は、場所を確かめるだけだ。

王宮から場所が書かれたパンフレットが、一緒に同封されていたので、それを見てみることにした。

なるほど、JX線、武智駅。

山の名前がそのまま駅の名前として、使われているらしい。

取り合えず、王宮から指定されている宿への電話をしてみるかな・・


プルル、プルル…。


 「はい、民宿、向日葵です」


 「私、鞘神楽武と言います」


 「今日の夜から、そちらで宿泊する予定になっている者ですが」


 「王宮から、御連絡言ってますでしょうか?」


 「はい〜、来てますよ」


 「そうですか、分かりました」


 「失礼します」


ガチャ、ツーツー…。


話はきっちり通っているようだ。

俺は荷物に、必要最低限の服装(4日分)と王宮から出ている小遣い。

日焼け止め、カメラ、その他色々を大きな旅行カバンに入れると、母に出発を告げる。


 「武、気をつけてね」


 「うん」


 「なんだか母さん心配だわ・・」


 「大丈夫さ」


 「お金も持ったし、宿も手配されてるし」


 「何も心配はいらないよ」


 「毎日一度連絡頂戴ね」


 「分かった・・じゃ行ってくるよ」


俺は心配そうな顔をした母に、軽く微笑みを浮かべ手を振ると駅に向かうバスに乗った。


……JX箕神楽駅前


ここで降りなきゃな…。


神楽駅の構内で切符を買うと、機械に通して、駅に向かう。

昼前という事もあって、それほど人はいないが、やはり夏休み。

子供達がそこそこ構内には居る様だ。

駅にある椅子に座り、俺は目的の電車を待つ。

しばらくすると、JX東都宮線と言う文字が、電光掲示板に映し出される。


…来たか。


俺は大きなカバンを肩から提げ、足を強く踏ん張り立ち上がると

電車の入口が前に来る、白い三角印のすぐ後ろに移動する。

後ろを振り向くと、同じ位の年頃の制服をきた女の子が立っている。


…学校の帰りだろうか。


しばらくすると、電車が俺の前をゆっくり通過したかと思うと

スピードを弱め、停止し始める。

完全にその動きを止めると、俺の前にほとんどずれる事無く

開閉式のドアが現れた。

ドアが開くのとほぼ同時に、電車に乗り込み、バッグを頭上の荷物棚に

力いっぱい持ち上げ置くと、2人用の席の窓側に深く腰をかける。

JX線、武智駅はこの電車の終着駅の一歩手前の駅だ。

さっきの後ろに並んでいた女の子が、立っているな。

席はどこでも空いているのに、たぶん、家が近くなんだろうか。

なぜ、俺がこんなにこの女の子に、興味を示すのか

たまたま、同じ電車に乗り合わせただけの見知らぬ女の子じゃないか


……その理由は実はすごくシンプルなものであった。


 先週、俺のきつい言葉が発端でケンカ別れした彼女に

あまりに似ているから、ただそれだけの理由。

だけど、全くの別人であることは間違いない。

お下げ頭で、顔は比較的整っているけど、黒髪に、二重の目、広いオデコ

化粧はしていないかな、どこにでもいる地味なかんじの女の子。

そんな彼女に、俺は心底惚れていた。

歯に衣着せない言葉、素朴な顔立ち、性格。

その全てが、俺の嗜好に合っていたんだろう。

その彼女と似た女の子が同じ電車に乗っている。

俺はその子の横顔を、気づかれない程度に何度も見てしまう自分に、嫌悪感を抱きながらも

まだ別れた彼女に、未練が残っている事を痛感せずにはいられなかった。





























 


 


 






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