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俺は王様  作者: 網野雅也
11/31

鞘神楽 武君の場合終了!

 

 その後は、気まぐれに川の向こう岸へと足を運んだ。

歩くたびに揺れ動く古い吊橋を渡って向こう岸へまで来ると、そこから川へ繋がる石階段を下りて川傍でその流れを岩に座って眺めていた。

これといって、楽しいわけじゃないけど、川から飛んでくる水しぶきが、顔や手に

当たる心地よさに時を忘れて、大自然の中に自分を溶け込ませる。

時折、岩魚が弧を描いて撥ねる姿を見ると、櫛に挿された岩魚を食べる姿を

思い浮かべ、その度に一時の食欲の高揚感に駆られていた。

…しかし、一人旅もいいけど、少し時間がありすぎるのと、これといった目的がないから

暇すぎるな…。

明後日までこういった、仙人のような時間を過ごすのは、都会生まれでデジタル製品に囲まれ暮らしている高校生の俺にとって、退屈でないと言えば嘘になる。

とにかく、時間を繋ぐ何かを探そうと周りを練り歩くも、あるのは青々と茂る木々や

日に照らされ表面を煌びやかに飾る田んぼ、そこを行きかう虫達の息吹だけだ。

そんな退屈な日々が取り合えず何事も無く過ぎて行ったかとと思うと、もう彼女と山へ出かける日に移り変わる。

この日のためにだけに、この場所にやってきたんだ。きっちりカメラにその精霊か神様か幽霊かは分からないけど、その姿を納めないと。

正直言うと、初め小雨ちゃんの事が、前の彼女と重なって、気になってはいたが、その気持ちは今、かなり薄いものへと変化している。顔立ちは同じでも、彼女の霊感体質とも言える、不可思議極まりないあの様子を目にしてからは、どこか近寄り難い存在に思えて、この2日間

軽く会話を交わす事はあっても、深く関わる事を避け続けて今日まできた。

これから武智山へ彼女と行くわけだけど、それもまた雲を掴むような目的だし

面倒くささすら感じていた。

…もう帰りたい気分だ。取り合えず撮るものとって帰るか…。

そんな気楽ささえ漂わす投げやりな心持は、裏を返せば、武智山で起こるであろうな未知への出来事に対する、不安や恐怖から逃避したい気持ちの顕れでもあった。


 夜7時夕食を運ぶ彼女の姿が俺の前にあった。岩魚の塩焼き、刺身、芋の煮っ転がし

御餅。この宿の最後の晩餐に出された食事を味わいつくすと、ゆっくり彼女に話しかけた。


 「今日さ、ずっと考えてたんだけど」


 「やっぱり行くの止めるよ」


 「怖くなった…」


当等胸に秘めていた言葉を彼女に打ち明けると、俺の旅は終わった。

そう俺の心は恐怖に負け折れてしまった。

次の朝、さっそく帰ることを彼女の母に伝えると、俺は家路へと着く。

王宮の指示する写真は撮れなかったが、懲罰なしと言うことで

適当に向こうで取った景色を加工して、葉書の後ろに印刷して済ませる。


もう二度といかねぇよ……。





                               Fin


彼が屁垂れてしまったのでこの話は終了です。


追伸 


俺は前の彼女と仲直りしました!

帰ってきて、なにげにメール見たら、また話し合いたいって入っていたので

こっちもまだ未練が残っていたので、正直な気持ちで接したら

また寄りを戻す結果に。

今俺最高に幸せです。



作者がヘタレたわけじゃありません、彼がへたれたんです!

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