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会話ができるのは

「ん……俺は……死んだのか?」


 人間が起きたようだ。いや、死んでないし。


「生きてるよ。私はドラゴン。あなたの看病をしていたの」


 私が話かけると、声のする方向を探しているのか人間はキョロキョロし始め、上、上、と指示するとようやく私を見上げた。そして、私を見るなりカパッと口を開けて目を見開き、動かなくなった。


「おーい。聞いてる?」


 目を開けたまままた気絶したのかと人間の前で手を振れば、攻撃されると思ったのか剣を探して手が腰や周囲を探り始めた。私と目を合わせたまま。

 ボロボロではあったものの、人間は剣も持っていたし、今も剣を探している。多少は慌てているとは言え相手から目を離さないと言うことは、冷静ならば一応まぁまぁ出来る剣士か何かと言ったところか。

 軍の人間ならお粗末だが。ドラゴン相手とはいえ、攻撃してこない相手に対して軍人が気絶しちゃダメでしょ。


「剣なら危ないから外させて貰ったよ。後でちゃんと返すから心配しないで。危害は加えないから。せっかく看病した相手に怪我させたり殺したりするわけないでしょ」


 ドラゴンの力は強いので、細心の注意を払って人間を寝かせると、今度は抵抗されなかった。


「ドラゴンが人間を助けるなんて聞いたことないが……」

「そうかもね。でも、他のドラゴンには会ったことないから、私にはこれが普通なの。人と交流出来るドラゴンがいたっていいじゃない」

「そういうものか……?」


 納得しきれないものの、人間もあまりドラゴンに会う機会はないのだろう。強く否定はされなかった。

 まぁ、本当は私が元人間で人間の時の感覚が残っているということが大きいのだけど。これは言っていいのか、まだ分からないので言わずにいよう。


「俺はどれくらい寝ていたんだ?」

「そうだなぁ、5日位かな?魔物たちも既にボロボロだったから攻撃しなかったって言ってたし」


 私が食べると思ってとっておいたと言うことは、私の名誉の為にも伏せておく。


「魔物たち……?ドラゴンは魔物と会話出来るのか?」

「力ある魔物たちとはね。弱い魔物はまず私に近付けないし、会話する力もないみたい。強い魔物たちとは会話できるよ。魔力の量が関係するみたいだね」

「魔力の量が関係する……。聞いたことないな。魔物と会話が出来るなんて」

「デキルゾ。ワレハ、ニンゲンノハナスコトバガワカル。ニンゲントアッタトキニカイワスルカハ、マタベツダガ」


 突然、豹型魔物が会話に加わった。


「うわぁっ!魔物がっ!」


 会話が出来ると言っているのに、聞いたばかりでちゃんと認識していないのか、まだ魔物に会ったら襲われるという意識が消えないのだろう。


「ダイジョウブ。オマエ、クワナイ。ニンゲン、ドラゴンノモノ。ドラゴンノモノ二テヲツケルバカハイナイ」


 犬型魔物がお座りをして尻尾を振り振り、会話に繋げる。

 しかし、なんと言っていいのか……。これは、私が助けるから食べないだけでそうじゃなければ食べると言っているも同然だ。

 まぁ、いいか。人間があまり魔物たちと慣れ合っても良くないし。人間が魔物を恐れなくなっても困る。


「ニンゲン、オモシロイ。ドラゴンガキニスルノモ、スコシワカル。サッキカラ、ハネタリ、シリデイドウシタリ、カワッタウゴキヲスル。ミテイテアキナイ」


 熊型魔物に至っては、娯楽扱いだ。人間としては、生命の危機を感じているんだろうからかわいそうな話である。


「こらっ!オモチャじゃないの。つついて無理矢理動かそうとしない!」


 熊型魔物が理解が追いつかない人間をつついて、(魔物的には)面白い行動を促そうとするのを止める。


「は……はは……。魔物と言っても様々なんだな」


 人間は、ようやく魔物と意思疎通が図れることを認識したようだ。


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