気弱なボロ切れ
想像通りというか、想像よりはというか。
着いてみると、想像通り人間は既にボロボロだった。しかし、ここに来るまでに既にボロボロ度合いが酷すぎて張り合いがなかったらしく、人間を囲んではいるものの魔物たちは大人しかった。
「ドラゴンカ。コノニンゲン、スデニコノアリサマダッタ。タタカッテモオモシロクナサソウダカラ、ドラゴンヲマッテイタ」
さいですか。私待ちでしたか。魔物たちは張り合いがなさすぎて、むしろ手を出さなかったようだ。
「ドラゴンハニンゲンガキニナルノダロウ。モッテカエルカ?ワタシガサバイテヤッテモイイガ」
違った!別の意味で私の為だったようだ。しかし、何やら誤解が生じている模様。私は人間は食料にしないですよー。さりげなく魔物たちの誤解を解いておく。
「ありがとう。でも私は人間は食べないよ。食べないけど、助けたいから連れてくね」
「タベナイノカ。ワタシガタベテモイイカ?」
「いやいや。食べちゃダメ。助けるの」
男は殆ど気を失いかけていたが、なぜか自分に攻撃して来なかったはずの魔物たちが、今度は自分を食べようとしたことに気付いたようで青ざめて動かない体で逃げようともがいていた。
「なんてことだ!ドラゴンまで現れたと思ったら、魔物たちが俺を食べる気だ……!ドラゴンは魔物たちの親玉なのか……!」
ブツブツと呟きながらも逃げようとする男に対し、私は安心させるためにニッコリ笑って宥めるために声を掛けた。
「大丈夫だよ。魔物たちには食べないように言ったから。怪我も治せるものは治すし、今から助けてあげるからね」
しかし。
男はひぃ!と悲鳴をあげたと思ったら、今度は本当に気絶した。
失礼な!
そんな気絶するほど怖い顔はしてないやい。