会話方式
あれから2日程経って漸く、ユージーンとまともに会話できるようになった。
「世話になった。それにしても、ドラゴンと会話が出来るとは不思議なものだな」
「魔力の量が関係してくるみたいね。ユージーン達が普段相手にしているのは、私やそこにいる力ある魔物たちからしたら弱い魔物なんだけど。あれ位だとまだ会話は出来ないみたい」
「そうなのか。通りで聞いたことがないはずだ。しかし、ドラゴンは人間と密かに接触していたのか?人間の言葉が随分と上手いが」
「人間と会ったのはアランと会ったのが初めてだよ。私の口をよく見たら分かるけど、私は口から言葉を発していないんだ。魔力を通じて自分の意思を相手の頭に直接送り込んで会話してるの。力ある魔物たちも同じやり方。だから、私たちには人間の言語は関係ないから国が違っても問題ないんだよ。違和感ないように出来るようになるまで、随分苦労したんだから」
嘘ではないが、私の場合は人間だったときの知識がいきている。魔物たちは元が動物なので、どうしてもスムーズに話せない。
それを考えると、木の精霊のお爺さんはスゴいと思う。私が違和感を感じない位、滑らかに会話ができるからだ。
それとも、精霊はやり方が違うとか?よく分からないや。
「アランは町にあの生き物のことを伝えに先に戻ったよ。ユージーンが生きていると分かれば、喜ぶと思う」
「こんな体になっちまったがな。これでは、もう前の仕事には戻れないな。それでなくても、護衛対象をみすみす殺させちまった上に自分は逃げて生き残ったってんだから戻るのは無理だが」
「ごめんね。切断するよりなかったんだよ、ユージーンの左足……」
「ドラゴンのせいじゃないさ。自分の過信で招いたことだ。命があっただけ、儲けものだ」
「人間の領域の近くまで、魔物たちに送らせるね。片足じゃこの森を歩くのはキツいでしょ。私はこんな体で大きいから、人間の領域に近付いたらすぐに見つかっちゃうからさ」
「何から何まですまないな。頼むよ」
ユージーンは頼むよ、のくだりで魔物たちへ向かって頭を下げた。
「ユージーンを食べちゃダメだからね。人間の町やその周りの人間を食べるのもダメ」
「ナラバ、ベントーフタツデテヲウトウ。ゼンカイノブントアワセテ、ミッツダナ。スベテニクダゾ。マァ、ヒトツクライハサカナデモイイガ」
ちゃっかり要求を上乗せしてるし。まぁいいか。このところ、アメーバモドキと戦ったり、アランと番をさせたり、商人やユージーンを探したり、と色々と手伝って貰ったからお礼も兼ねて腕によりを掛けて作ろう!