やっぱり中の人は
でも、あれーぇ?
男性だと思ってたんだけどなぁ?
「助けて頂いて、本当にありがとう」
美少女は深々と頭を下げた。いやーぁ。なんのなんの。
「主様!」
何故か護衛さんたちが慌てていますが。
「いいのです。お礼で頭を下げる位どうということはありません。こちらは命拾いをしたのですから」
んん?商人の格好はしていても、実は偉い人の変装とかですか?偉い人に対するマナーなんか知らないよ?ドラゴンだからってことで、許してくれないかなぁ。
「本当ならば十全にお礼をしたいところですが、緊急の用事があり急ぐ身です。後日改めてお礼をと申したいところではあるのですが、ドラゴン様」
「は、はいっ!」
「後日こちらが出向くか、ドラゴン様にお越し頂くことになるかと思うのですが。すみません。お礼と言いながらも、こちらが出向く場合は私は来られず、ドラゴン様にお越し頂くのはお礼をする身では大変失礼にあたりますが……」
「いえいえ!おかまいなく!」
びっくりしちゃうよ!偉い人と関わったら、ろくなコトにならないと私の第六感が告げている!
「しかし、それではあまりに……」
「いえいえ。急ぐんですよね!どうぞどうぞ!」
それにしてもこの人、ドラゴンと話してるのに、全然動じないなぁー?変わってる。
「それでは、御言葉に甘えて。おい!行くぞ!急がねば間に合わなくなる」
後半急に言葉を荒げた美少女の声は、確かに男の人の声だった。どうなってるんだ……。確かに少女にしては声が低いとは思ったけどさ!背もちょっと高かったけどさ!反則でしょ!
「あ、因みにドラゴン様」
美少女(だったもの)が突然振り返って告げたことには。
「私、男性でございます。成人もしております」
今度こそ、私はびっくりした。なんで私の考えたことが分かったんだ。そして、やっぱり男性だったんだね。動きで男性と判断した私の目に狂いはなかった。