第9話
今回は少し長いです!
「はぁはぁっ、二人ともごめん… 巻き込んで。ここは私がなんとか時間を持たせるから、逃げて。ギルドにこいつのことを知らせて欲しいの。少しはもつと思うから!」
「だ、ダメよ!私も、私も戦うわっ!!」
「だめッ! アリスは隣にいる人とギルドに行って! 」
「でも、私はあなたを置いていけないっ!分かってるのっ!?トロールは人型モンスターなのよ!?殺されるだけではすまないっ!ゴミのように孕まして殺すして飽きたら捨てるようなやつらなのよっ!そんな屈辱な辱めを受けるのっ!そんなの見たくないわっ!!」
「分かってるわよっ!!私だってしたいこと山程あるわよっ!でも、こうしないとどっちも死んじゃうの!アリスには幸せになって欲しいのよっ! だからお願い…早く逃げて」
「!〜〜っ!」
…俺が会話に入れる隙がねぇー
たぶん俺一人で余裕で倒せると思うんだけど、言いだせる雰囲気じゃない…どうしようか、いやここは…
ここは…出番が来るのをじっと待つ!
ーーあっ!アリスの友達がトロールに向かって走ったぞ
よし、ここで来るであろう状況に対応すべく準備でもしておきますか。
まず、自分に疾風を使っておこう。
「全能のカード 疾風」
これで、ALEが上がったはず、ステータスはどうなってるか…おぉ上がってる上がってる
あとは…
「アリス、アリス! 剣をちょっと貸してくれないか?」
「うぅ… 戦ってくれるんですか?私の友達を助けてくれるんですか!?」
「あぁ、任せておけ!」
「私が強かったら… いえ、ごめんなさい、私の友達をお願いしますっ!!」
アリスから西洋風の剣を受け取った。
やっぱり、西洋風の剣より日本刀の方がかっこいいなー
今度武器屋に置いてないか探してみるか!似たようなものがあるかもしれないし!金は無いけどね!
「はぁっ!! えっ!きっ、切れないっ! はっ!!」
アリスの友達はトロールに剣を振るったが、トロール独特の質である皮と筋肉に剣が阻まれ傷一つ与えることが出来なかった。その事実に驚きと恐怖でアリスの友達の体が膠着した瞬間、トロールは自らが持つ棍棒をアリスの友達に向かって振りかぶっていた。
さて、あいつ片付けるとしますか!
俺は全力でアリスの友達の方に向かって走った。距離も短く、疾風を使っているため、棍棒が当たる前にアリスの友達を助けることができた。
ふぅ〜、もし間に合わなかったらどうしようと少し思ってたけど、良かったー
アリスの友達は自分が生きてる状況と何故自分が颯にお姫様抱っこをされているのかという疑問で脳がショートを起こしアタフタしている。
(こんなシチュエーションで言ってみたかった言葉を言える時がついなは来てしまったかっ!)
「俺に任せろ(キリッ)」
ーーふぅ、キマった。
「えっ?あ、あの、そ、その///」
…漫画のようにはいかないらしい
彼女、全然落ち着いてないしね〜
俺がカッコつけたのがダメだったのだろうか…
はぁ、もういいや、取り合えずトロール倒そう…
べっ別に悔しくなんかないんだからねッ(涙目)!
やつは振り下ろした棍棒の先に獲物がいないことに気づき、俺たちがいる方向に体を向け、攻撃を仕掛けようとしている
「全然のカード 記憶操作」
(トロールの全ての記憶を消去っと)
次の瞬間、トロールは動きを止め、前向きに倒れた。
(やっぱりな、全ての記憶を消すことは『動く』ことを忘れてしまうということの予想は正しかったようだ)
さて、記憶をなくしてもやつは生きているからな、何が起こるか分からないし止めを刺すとするか。
颯はうつ伏せに倒れたトロールの首元に近づき、自分が持つ剣に雷魔法を纏わせてやつの首を撥ねた
(モンスターとはいえ人型を殺したのに何も感じないな…世界が変わると自分の性格も変わるのだろうか、それとも前からだったのか…まぁいい、この世界はモンスターがかなりの数存在する。いちいち動揺していたのでは自分が危険にさらされるし、これはありがたい)
うわっ、でも首を切ったから血がすごいな、思いっきりかかったし…
服買わなきゃな…依頼料だけで宿、飯、服か、足りるだろうか…
そういえば、Levelアップの音が聞こえたよな。ステータスを確認するか!
____________________________
Level 8→18
名前:市島 颯
種族:人族
年齢:16歳
性別:男
職業:冒険者
HP 390→780
MP 330→710
STR 300→630
DEF 290→610
ALE 300→640
INT 350→700
LUCK 100
スキル: 武の才能 魔法の才能 全能のカード 全言語翻訳(会話) 全言語翻訳(読み書き) 剣技Lv.5 鑑定 限界突破(全能力) SP操作 健康 魔力回復(2倍)火魔法Lv.2 雷魔法Lv.1 土魔法Lv.1
称号: 異世界人 神の孫 天使に祝福されし存在
SP: 50
所持金:0
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おぉ〜!Levelが一気に10あがってる!
各能力も2倍くらいに増えてるし!
やっぱり自分の能力が数字として分かるって何か嬉しいよねっ!
そういえばこの世界にきて人のステータス見てなかったな。
比較しなきゃ今どんくらい強いか知ることできないし、あとであの二人のステータスを拝見するとしますか!
それより、今はSPでどのスキルを取るか強化するかだな
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火魔法Lv.3 : 15P Lv.4 : 20P Lv.5 : 40P
水魔法Lv.1 : 5P Lv.2 : 10P Lv.3 : 15P
風魔法Lv.1 : 5P Lv.2 : 10P Lv.3 : 15P
土魔法Lv.2 : 10P Lv.3 : 15P Lv.4 : 20P
回復魔法Lv.1 : 10P Lv.2 : 15P Lv.3 : 20P
氷魔法Lv.1 : 15P Lv.2 : 20P Lv.3 : 25P
雷魔法Lv.2 : 20P Lv.3 : 25P Lv.4 : 30P
闇魔法Lv.1 : 15P Lv.2 : 20P Lv.3 : 25P
光魔法Lv.1 : 15P Lv.2 : 20P Lv.3 : 25P
幻魔法Lv.1 : 20P Lv.2 : 25P Lv.3 : 30P
付与魔法Lv.1 : 20P Lv.2 : 25P Lv.3 : 30P
時空魔法Lv.1 : 30P Lv.2 : 40P Lv.3 : 50P
召喚魔法Lv.1 : 30P Lv.2 : 40P Lv.3 : 50P
ーーーーーーーーーーーーー
まず、火魔法を中級者レベルにあげとこう。Lv.4にしておくか。
今後モンスターと戦っていくことだし、回復手段もあった方がいいよな…回復魔法取っておくか
あと5Pあるが、これは次Levelが上がった時に使おう
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Level 8→18
名前:市島 颯
種族:人族
年齢:16歳
性別:男
職業:冒険者
HP 390→780
MP 330→710
STR 300→630
DEF 290→610
ALE 300→640
INT 350→700
LUCK 100
スキル: 武の才能 魔法の才能 全能のカード 全言語翻訳(会話) 全言語翻訳(読み書き) 剣技Lv.5 鑑定 限界突破(全能力) SP操作 健康 魔力回復(2倍)火魔法Lv.4 雷魔法Lv.1 土魔法Lv.1 回復魔法Lv.1
称号: 異世界人 神の孫 天使に祝福されし存在
SP: 5
所持金:0
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こんな感じになった。
所持金が0だからもの寂しいな…
さっさとこのトロール持ってギルドに行くか!
売れるかもしれないしなっ!
アイテムボックスにこいつを放り込んで、と
「あのっ!」
アリスの友達が俺に近づいてきた
ん?どうやら俺がステータスのことを考えているうちに現状を把握したようだな。
「あ、あの、ありがとうっ!助けてもらって…」
「あぁ、それより大丈夫か?血が流れてるぞ」
「うん大丈夫… アリスっ!私に回復魔法使ってくれない?」
「! う、うん!! すぐ行く!すぐ使う!」
アリスは現状を理解しているようないないようなといった表情と友達が助かって良かったといった安堵の表情が混じった表情で急いで俺たちがいるところに駆けてきた。
「カイヒール!」
アリスが魔法を唱えると、友達の怪我をしている箇所が緑色に優しく光り、徐々に傷ついていたところが治っていく。
おぉ、これが回復魔法か!
でも、俺が使えるのはヒールだけだ。アリスはカイヒールってのを使ってた、ということはアリスは少なくともLv.2以上の回復魔法を取得しているということか。
うん、回復魔法絶対必要だな
何もしてないまま死ぬのは嫌だからな、死ぬならこの世界を楽しんでから死にたい
「ありがとう、アリス」
「ううん!私こそ助けられなくてごめんなさい!」
「いいのよ、相手はBランクのトロールだもの。一人が時間を稼ぐしか無かったのよ」
「ありがとうっ!」
そして、アリスは泣き始めた。
それを見てアリスの友達は仕方が無いなという風に彼女の頭を撫でている。
「その、本当にありがとう、私たちを助けてくれて」
「気にするな、とは言わないが、代わりにさっきのトロールもらっていいか?」
「勿論よ!あなたが倒したんだから私たちに決める権利はないわ!」
「ありがとうな、ちょっと懐具合が悪くてな、Gランクは依頼料が安くて困ったよ」
「えっ!! あなたGランクなの!?トロールを一撃で倒したのよ、明らかに強過ぎるでしょ!」
まぁ、カード使いましたから
「うん、そうだよ。ハヤテさんは今日ギルドに登録したばかりだけど、すごく強いんだよっ!昨日だって私がレッドタイガーに殺されそうになってた所を助けてくれたんだから!」
「えっ、じゃあ今日街を出る時に言ってた人ってこの人なの!? 」
「うん!ハヤテさんっ!その節はありがとうございましたっ!それに、今日のことも…なんと言ったらいいんでしょうか」
「気にするなよ、アリス。昨日ちゃんとお礼してくれたじゃないか。それに、今日のこともたまたまだしね」
「あ、ありがとうございましたっ!」
そう言ってアリスは膝に頭がくっつきそうなくらい頭を下げた。
「うん、いいよ、ほら頭をあげて」
「はいっ、ありがとうございます!」
「えっ?ちよちょっと!昨日のお礼って何!?」
アリスの友達は何やら顔を赤くして慌てたように言った
「俺は昨日あの街に来たばかりでな、困ってた時にアリスが家に泊まって下さいと言ってくれて、俺を泊まらせてくれたんだよ」
「えぇーー!! アリスの家族は良かったの?」
「うん!私が昨日あったことを話して、お母さんがハヤテさんとお話しをしたら、すぐに泊まって言って下さいって言ってくれたよ?」
「っ! 親公認…」
「? どうしたの?」
「…ねぇ、アリスとハヤテはその、付き合ってるの?」
……えぇーーー!!!どうしてその発想に至った!?
まぁ俺は嬉しいんだけどね!アリスみたいな美少女と付き合うことができたらどれだげ楽しい人生になるのだろうかっ!
「ちっち違うよっ! つ付き合ってないよ!その、私がハヤテさんと付き合うなんて…///」
…ですよねー、分かってました!
現実はそんなに俺に優しくないってことはなっ!
ほらみろ、アリスの顔を!!
俺と付き合うなんて誤解されたことで顔を真っ赤にして怒ってらっしゃる。まさに怒り心頭といった感じだ。
…そんなに、そんなに嫌なのか…
この世界での目標の一つ、ハーレムを作ることは疎か、彼女一人作ることはできないのだろうか…
「ちょちょっと、ティナこっち来て!」
アリスの友達、ティナっていうのか…
アリスはティナを連れて、俺から少し離れた所に行き、なにやら話し始めた。
ー ちょっと、ティナ!ハヤテさんの前で変なこと言わないでっ!
ーえっ?じゃあ付き合ってる訳じゃないの?
ーだ、だから違うよ! ハヤテさんは転移トラップにかかってここに無理矢理転移されたの、だからお金を持ってなくて、宿に泊まれなかったの。恩を返そうとしたんだけど、ハヤテさんは気にするなって言ってくれて…だからせめて助けて貰ったお礼として家に泊まって下さいって言ったの!
ー そうなんだ〜。でも、アリス今顔真っ赤だよ?彼のこと好きなんでしょ!?
ー 〜っ! …そうよ、出会って1日しか経ってないし、自分でも何でかわからないけど、ハヤテさんのこと考えると心がポカポカしてくるの。
ー そっか… 確かに彼カッコイイもんね…しかも強いし、仕方ないか
ー そ、その、ティナだって好きな人くらいいるでしょ!?
ーうん、今まではいはかったよ
ー えっ! 今まではって、まさかティナもハヤテさんのことを!?
ー うーん、好きかどうかは分からないけど、気になってはいるよ。
ー っ! そ、そっか…
ー でも、今は気になってるだけだから、これからのことはわからないけどね
ー ティナ、もしハヤテさんを好きになっても私、負けないからね!
ー その時は私も負けないわよ!
ー 『ふふっ』
…やっと戻ってきた。
どうせ、俺のこと好きでも何でもないとか、そういう話をしてたんだろう…
どこか二人ともスッキリした表情を浮かべている。
なんか泣きたくなってきた…
「ハヤテさん!お待たせしましたっ!」
「おう」
「あ、あのどうかしましたか?悲しそうな表情をしてらっしゃるのですが」
あっ、やべっ!表情に出てたか
「い、いや、何でもないよ。ティナさんでしたよね? 初めまして、俺はハヤテと言います」
「うん!初めまして、ティナよ!よろしくねハヤテ! あっ後私のことはティナでいいよ」
「そうか、よろしく!ティナ」
それにしても、ティナも美少女だよな… アリスとはタイプが違って、快活そうな性格の美少女だ。髪と目の色は赤く、ショートのサイドテールだ。目もぱっちりしている。身長はアリスと同じくらいか、ややアリスの方が小さいな。
「ハヤテ!トロールの血を浴びて全身真っ赤だよ!このまま街に入ったら皆びっくりするよ。アリス、回復魔法使ったばっかりで辛いかもしれないけど、水魔法でキレイにしてあげてくれない?」
「うん、分かった。 じゃあハヤテさん頭の上から水を出しますね」
「よろしく頼むよ」
正直、このベトベトした感じと、モンスター特有の血の匂いには参っていたから、かなりありがたい
「ではいきます! ウォーター!」
ザザー!
あぁ、気持ちいい
服に染み付いた色以外は取ることができた。
服の色が赤いし、全身びしょ濡れだけど仕方ないか。
街に向かって歩いてたらある程度乾くだろ。今は着心地悪いけど
「ありがとな、アリス」
「は、はい!このくらいは当然です///」
「そうか… さて、俺は依頼達成をギルドに申請しなきゃいけないし、街に戻るとするよ。 アリスとティナはホーンラビーの討伐依頼だったよね?」
「そうよ。私もホーンラビーを討伐できたし、私たちも帰るとしますか!」
「えっ?討伐してくれてたの!? 私何もしてないよ」
「いいのよ!全然見つからなかったんだから。こんなこと珍しいんだけどね」
「そうだよね…トロール、レッドタイガー…このモンスターはこんな街の近くにいないはずなんだけど… これはギルドに報告しなきゃいけないですね」
「やっぱりそうなのか?」
「当たり前よ!こんなモンスターがいたらDランク以下の狩場が無くなってしまうわよ!」
「てことは、これは異常だな。すぐに帰って報告した方がいいな」
「そうね、じゃ、帰りましょうっ! ってその前に、ハヤテ、アイテムボックス持ってたわよね!? あれめちゃくちゃ高いのよ!? どうやって手に入れたのよ?」
やっぱり、予想どおりアイテムボックスは売ってたか。高いというのも予想どおりだな。そりゃ、こんな性能のあるアイテム誰でも欲しがるよな
スキルの能力で手に入れた、なんて言えないし、ここは適当に話を作っておこう
「あぁ、これは俺の親戚が冒険者をやっていてな、その人は独り身だか息子もいないし、お金もあると言って、アイテムボックスが3つ手に入ったから1つ俺にくれたんだ」
「えぇーーーっ!どんだけ、その人に甘やかされてんのよっ!お金があるといっても、あげると言って簡単にあげれるようは価値じゃないわよ!?アイテムボックスって色々種類があるけど、最低でも上金貨1枚はするわよっ!?」
…… えぇーーーっ!!!
確か、家族3人が一年間普通に過ごすために必要なお金(住む場所に必要なお金は含まない)は金貨1枚と上銀貨5枚だったな。単純なは計算すると1人当たり、上銀貨5枚(50万円)か… かなり、ここは物価が安いな。俺としては嬉しいんだけどな!
俺は家をもってないから、宿代がだいたいいくらか分からないけど1年金貨1枚上銀貨5枚かかるとして、そこに生活でかかる費用を合わせると金貨2枚くらいが1年で必要な費用か。
…このアイテムボックスがいくらの価値かはわからないけど売ったら最低でも上金貨1枚は得られる訳か…5年は何もしないで生活できるな!
ま、今のところ売る気は無いけどね〜。
もう一枚でたら売ろうと思っているが!
「そんで、ハヤテのアイテムボックスはどのくらいものを入れれるの?
3つ?5つ?まさか20個入れれるとは言わないわよね?」
えっ? 現状710個ものを入れれるんだけど…もしかして、めちゃくちゃすごいんじゃ?
少し、小さめの数字を言っておこう
「んで?いくつ入るのよ?」
「…100個、かな」
「……はぁーーーーっ!?ハヤテ!何言ってるか分かってんの!?街を統治している貴族達や高ランク冒険者でさえ20個入るものを持っているかどうかというところなのよ!? それをあなたは、100個って! それ、この国の王が持ってるようなアイテムじゃない!!
価値なんて、王金貨1枚は下らないくらいするわよ!」
すみません、本当は700個以上入ります。それにもっと増えていきます。
てか、王金貨って!俺やべぇな!
一生遊んで暮らせるじゃん!
ま、今は冒険をしたいから、そんなことはしないけど、それにこれだけの物をそこいらの店が買ってくれるかもわからないしね。
「はぁはぁー、なんか驚き疲れたわ。ね、アリス」
「はい… ハヤテさんはすごい人なんですね!」
「まあ、俺というより親戚の人がくれたんだけど…それより、アイテムボックスのことを聞いてきたけど、どうしたんだ?」
「あ、うん、私たちホーンラビーを倒したのはいいんだけど、荷車でこれから運ばなきゃいけないのよね。ま、討伐証明部位だけでいいんだけど、せっかく倒したんだから全部活用したいじゃない? だから、その、アイテムボックスに入れてくれないかなーっと」
「ティナ!助けていただいたのにその上にまた迷惑をかけるようなことを言って!ごめんなさいハヤテさん」
「いや、別にいいよ、それくらいなんともないし、アリス達なら問題ないよ。他のやつだっら拒否するけどね」
「ありがとう!ハヤテ!ほらね?アリス良かったでしょう?」
「ハヤテさん…///」
「…おーい、アリス帰ってこーい!…まぁいいわ、さっ!二人とも街に戻りましょう!」
「了解」
そして、颯は荷車とホーンラビーをアイテムボックスの中に入れ、アリス、ティナと共にグアレスの森を出た。
今回も昨日と同じく、道中何事も起こることはなく、陽が沈みそうな時間に街に辿りつくことができた。
そして、身分証を門番に見せ、急いで冒険者ギルドに向かった。
街の住人にこの服の色をみて驚かれるかと思ったが、一瞬こっちを見て何事も無かったかのようにすれ違う。
どうやら、冒険者が身近にいるためこういったことには多少慣れているようだ。
やっと冒険者ギルドに着いた。
冒険者はあまり中にいないようだが、すぐに報告しなきゃいけないことがあるため好都合だ。
まずは依頼達成を報告してからだな。
「じゃあ、まず依頼の達成をそれぞれ報告しよう。その後に2人は俺が報告している受付まで来てくれないか?依頼達成を報告後、3人であのモンスターやグアレスの森について報告しよう」
「分かったわ! アリス行こう」
「うん! それではハヤテさん後で」
2人は空いている受付に向かった。
さて、俺も行くとするか!
ちょうど受付が2箇所空いていたので、すぐにすみそうだ。
アリスは一番右の受付にいったようだ。俺はじゃあ、左端の受付だな。
「すみません、依頼の達成を報告したいのですが」
「はい、あっ、朝の!ハヤテさんでしたよね?もう3つ終わったんですか?」
「はい!依頼事態は2時間くらいで終わったんですが、少々トラブルというか色々ありまして…」
そう言いながら依頼の物を取り出し、受付嬢に渡す
「そうですか、早いですね!……確かに、依頼の物を受け取りました。これで、3つの依頼を達成したことになりますので、Fランクに昇格です。おめでとうございます!ギルドカードの内容を変更するのでこちらに渡していただけますでしょうか?」
「はいっ」
俺はギルドカードを受付嬢に渡す。
「少々お待ちください」
そう言い残し、受付嬢は奥に向かっていった。
ふぅ、これでFランクに昇格か!Fランクからは討伐依頼があるというし、依頼達成料も危険に応じて高くなるらしい。しっかり稼ぐとしますか!
そんなことをぼーっと考えていると、受付嬢が何やら慌ててこっちに向かってきた。
「あ、あの!ハヤテさん!こ、このカードに記されていることって本当ですか!?」
そう言って、Fランクと表に書かれたギルドカードと一緒に何かが書かれた紙を見せてきた。
「この紙は、ギルドに登録してからハヤテさんが討伐したモンスターの名前と数をギルドカードから情報を書き出したものです! それで、これは本当なんですか!?」
そこには、ゴブリン 2体、トロール 1体 と書かれていた。
あっ、そういえばギルドカードにそんな機能が付いているって言ってたな。ギルドのトップの人だけに伝えようと思ってたんだけど、まぁいい、どうせ直ぐに伝わることだろう。
「はい、本当です」
「そうですか!! ハヤテさん冒険者なりたてなのにどれだけ強いんですか!?」
「ま、まあ落ち着いて下さい」
「はっ! す、すみません!余りの驚きに少々慌ててしまいました。…それではこれをどこで?」
「グアレスの森の外から30分ほど中に向かって歩いたところでですよ」
「えッ!? ちょっと待って下さい!そんな近くでですか!?」
「ええ」
すると、アリスとティナがこっちへ歩いてきた。
「ハヤテさん、もう話されましたか?」
「あぁ、ちょうどさっきね」
「ソニアさん、これについて報告しておきたい事があります。ギルド長に会わせていただけますか?」
「はっはい!分かりました!直ぐにギルド長をお呼びします!」
今度は走って受付の奥に向かっていった。
やっぱり、結構大事なんだな。受付嬢、確かアリスはソニアって呼んでたな、そのソニアさんの慌てた表情を見れば分かる。
2分ほどして、ソニアは走ってこっちに向かってきた
「み、皆さん!ギルド長がお会いするとのことです。すみませんが、私に着いてきて貰えますか?」
「はい、分かりました」
3人は受付の奥に入り、ソニアの後に付いていく。いくつか部屋が見られたが一番奥の部屋がどうやらギルド長がいる場所のようだ。
コンコン
ー入ってくれ!
「失礼します。先ほど申し上げた3人をお連れしました」
「あぁ、すまない。下がっていいぞ」
「それでは、失礼しました」
バタン
そう言ってソニアは部屋から出ていった。
「まあ、3人とも話は聞いた、そこの椅子に座ってくれ」
「「「失礼します」」」
俺は椅子に座り、ギルド長の方を見た。
筋肉な体に目の下に大きな傷がついた厳つい顔、歳は40中盤といったところか。
…彼を見たら小さい子供は泣きだすのではないだろうか。
めちゃくちゃ怖いよ!?
「そう硬くなるな、気を楽にしてくれ」
いや、その原因はあなたですけどね!?
横に座っている二人もどうやら俺と同じことを考えているらしい。今ツッコミしてますよって表情をしている。
ツッコミしてますよってどんな表情だよ!って言われても、そんな感じの顔だとしか言えない、そういった表情だ。
「この、内容は本当か?」
厳ついギルド長は静かに問いてきた
「はい、本当です」
「ギルドカードに記されているし、確かに本当のことだろう。倒したトロールの討伐証明部位はあるか?」
「あります。どれが討伐証明部位かわからないですが、一応トロール丸々持って来てるので」
「! アイテムボックスを持っているのか! それはいい。もし、ギルドで売るんだったら後で俺が案内する場所にトロールを置いてくれ、トロールを倒してくれた礼を合わせて買わせてもらうからな!」
「はい、ありがとうございます!」
「それじゃ、取り敢えずトロールの件も含めてグアレスの森について知っていることがあれば教えてくれ。場合によってはそれなりの対応に動かなければならないからな!」
「分かりました。それでは、俺が知っている限りのことをお伝えしようと思います」
俺たちはギルド長にグアレスの森で起こっていることについて説明し始めた。