親離れ
ダスマンは指令書を読み溜息を吐いた。
「お国の考えてることはいつもよくわからんが、要するにトラが暴れる前に懐かせ利用せよと、そういう事か・・・」
一言そう漏らしまた、溜息をついた。
「はぁ・・・なんで俺が・・・」
何度溜息を吐こうが状況が好転するはずがなく、ダスマンは考える事を止め、ただいつも通り仕事を熟す事にした。
月日が流れ、ダスマンはグレイスの成長に何時も驚かされていた。
「お前、もう心の結晶(セルツァベーク)を発現させたのか?!」
「うん、これも師匠の厳しい特訓の成果だな。」
「しかし、俺でも13歳で発現したというのに11歳とは、まぁ・・・」
心の結晶とは、その名の通り心の結晶でありその形状はさまざまで剣や槍、鈍器といった感じで発現者によって違いグレイスの心の結晶は黒に紫のラインが入った片刃の短刀で鍔部分がNの字のような形状をしている。結晶には強力な魔力が含まれており、主に武器として使うことが多く、その威力は通常の魔法強化した武器をも凌駕する。
しかし、一度壊れた心の結晶は修復することができず、
能力者の戦力を落とすことになる。
基本的に1つしか発現せず、発現年齢は主に15歳~20歳とされているが、発現条件などは未だ不明のままである。
「この調子だと、魔法ももうすぐ使えるようになるんじゃないのか?!」
「えへへ」
そして、5年後・・・
「グレイスももう魔法技術学校の生徒となる日が来たんだな・・・」
「ああ、師匠の今までの修行を活かし頑張ってくるよ」
「まあ、頑張って来い、お前のためにも・・・」
「力をつけ、必ず自分の出生の秘密を見つけてみせるよ。」
「それで、国に刃向うようなことがなければいいが・・・」
「大丈夫だよ師匠、師匠はいつも心配性だな、ハッハッハ」
「そうだな、ハッハッハ」
「それにしても、もう16年か・・・長いようで早かったような・・・
最初、お前を育てろと言われた時は死んでもイヤだと思ったが、
16年も経てば親心というものもできるもんだな~」
「何、懐かしんでるんだよ、師匠らしくないぞ」
「ああ、悪い。気を付けて行くんだぞ。」
「はい!!行ってきます!!」
グレイスは元気よく返事し光の国の首都にある魔法技術学校に向かうのだった。