エピローグ
エピローグ
あの一件から数ヶ月が過ぎ、辺りには桜の花びら舞い踊っている。僕はある人との待ち合わせの為、美南と初めて会った場所屋上に足を運んでいた。あの一件以来特に何もなく普通の高校生活を送っていた。あぁ、そういえば、一つだけ変わったことがあったっけ……
「翔君~また瞑想してる。あの時と何にも変わらないね?」
僕こと、天野翔と白河美南はあの一件の後から付き合っています。
あの一件があったおかげというのも何か変だけど、僕達の絆は前よりもずっとずっと固く結ばれている。今では前みたいに四人で遊ぶこともある。四人で遊んでいる途中で抜け出したり殆んどが二人で出かけているのと変わりがないのはここだけの秘密。
そうそう、栞と暁彦が付き合うことになったんだ。何かお似合いな二人って感じで、ちょっと複雑な気分ではあるんだけど。奈穂何かは付き合い始めたって聞いたら私だけ一人ヤダーとか言って騒いでたっけ。
「うりうり~目を開けないと~キスしちゃうぞ?」
栞の病気も手術によって良くなって今日退院出来るらしい。その出迎えをしようと美南と待ち合わせをしてるんだけど、まだ来てないのかな?
ゆっくりと目を開けるとすぐ目の前に迫っている美南の唇が目に入った。
「あわわわっっ」
僕は変な声と共に慌てて後ずさりした。その声を聞いて美南も閉じていた目を開け、クスクスと笑っている。
「変な声出さないでよ?驚いちゃったじゃない」
だって、それは……ねぇ?
「あーもしかして、私とキスしたくないだーふーん」
栞はわざと機嫌を損ねたふりをして、僕からキスをしてもらうのが好きみたいで。度々このようなことがあった。
でも、今回はしないよ?うん、絶対に……
「へーそんな態度取っちゃうんだ、いーよーだ、もう知らない!!一人で栞さんの迎え行くもん」
『もん』ってあーもう、可愛いなぁ、我慢なんて出来るわけないよね?美南の行動一つ一つが可愛くて愛しくて、この笑顔を一生見ていきたいって。仲間の大切さを、人を愛することの素晴らしさを教えてくれたこの子に誓いの意味を込めて……
「美南!!」
僕はゆっくりと美南を抱き寄せる。
「大好きだよ」
この言葉とともに僕は、桜舞い散る屋上で、キスをした……