#03.新規メモリ
勝手にテンション上がって書いてます(笑 これがいつまで続きますかな?笑
机の上に何の考えもなく置かれた、リモコン。巻き戻し、という文字が目に入った。
この先5日間の記憶。今日の夜食った飯だって覚えている。妹が作った飯はうまいからな…
一体俺はどうしたんだ?
今、限り無く理解不可な状況に陥っている。これについて考えることは、昔起きたことを思い出すようだった。走馬灯のよう。
テレビに、1時を回った事を知らされた。
考えても仕方あるまい、5日後に何か分かるはずだ。
俺の一年は375日。
それでいい。
生憎、難しい事を考えれる脳の持ち主じゃないんでね。
さぁて…今からどうしよう。
と、考えるのをやめた時、ベッドの頭もとに置いてあった携帯がなった。
「……」
俺は黙ってそれを手にとり、発信者名を見た。
「090……」
見覚えのない番号だった。
通話、と示されたボタンに親指を乗せたまま、しばらく黙る。
切れる気配はなかった。
俺は緑に光り、アピールしきっているボタンを押し、小さな穴を耳元へ。
携帯って…
便利だよなぁ。
「もしもし」
と、声を出したのは俺ではなく、相手が先だった。慌ててこちらも口を。
おかしいな…あの時は電話なんて…?
「も…もしもし?」
「窓から外を見るんだ」
女の声…?いや、どこかがおかしい…変声機か?
「え?」
「いいから窓から外を見るんだ」
何のことだ?いきなりそう言われちゃっても参る。頭の中、整理させろよ。
「早く」
声に急かされて、俺は仕方なく窓から顔を出した。従わねばならない気がしたのだ。よくわからないが、そう感じた。
俺から見て左、商店街から突き抜けた交差点の下。ミラーの影に人がいる。
赤いニット帽を被り、黒いジャケットとジーパン。なんて服装だ…ギャングかなんかか?
「あれ…アンタか?誰なんだよ」
「残念ながら私じゃない。ただ、その男に気をつけなさい………」
そう言うと、ブツッという音をたて、通話が終わった。
2分17。
一度目の今日には、こんな電話はなかった。
二度目の今日に、初めて掛かってきた電話だ。
その時は気付かなかったが、携帯を握り窓に背を向けた俺の手は、微かだが、震えていた。
気をつける。
何をどう気をつければいいんだ?
急に携帯が鳴り、誰かもわからない奴に指示された。
意味わからねぇ。
どうせイタズラだろ。俺もよくやってた。じゃんけんで負けた奴が、自分の携帯から適当な番号にかけ、なぞのセリフを残すという、今思えばなんてガキじみた遊びだったんだろうか。
俺は体の震えに気付くことなく、部屋を出た。頭の中には何も考えられてなかった。
「あれ、兄。寝てたの?」
ソファーに座り、テレビを眺めていた妹がいった。
テレビでは『痩せるブロッコリー』という話題を取り上げた番組があっていた。ブロッコリーが痩せるのか?
「あぁ…二度寝してた」
「で、やっぱり今日どっか行くの?」
「本屋行ってくる。すぐ帰るよ」
ジーッと俺を見ながら、ふーん、と呟く妹。
そんな視線を背に感じながら、俺は玄関へ向かった。
見慣れた場所、踏み慣れた靴。
靴紐の長さが左右で一致しないが、気にしない。
いってきまーす、と小さく呟き、太陽の光が差し込む世界へ歩き出した。
一度送った日々、これとまた違う日々を改めるのも楽しいだろう。
ゆっくり踏み出す、右、左。