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魔法世界の怪獣王国〜魔力ゼロで底辺奴隷だった僕ですが、自然の摂理を超越したマイペースな怪獣たちの王様になりました〜  作者: 同歩なり


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第12話 村の解放(進撃)

 僕とエレナ、そして少し離れた場所で待機するピグ太。

 うっすらと空が明るくなり始めた頃、作戦を開始する。


 先発は僕だ。

 そこで、まずは怪獣形態に変身する。


 ボワンッ!


 怪獣形態となった僕は村の北側から、ゆっくりと歩みを進める。


 ズズーーーンンン……、ズズーーーンンン……。


 いつものように、ただ歩くだけで大地が裂け、大きな足音が村中に響き渡る。

 さらに威圧感を出すため、巻き舌気味に咆哮も上げてみる。


「グルオオォォォンン!!!」


 その唸り声に反応して、村を支配するエルフたちが慌てた様子で飛び出してきた。

 思ったより反応が早い。


 そして、僕の動きに連動して、西側からピグ太が行動を開始する。


「ブモゥッ! ブモゥッ!」


 まるで鼻歌を歌っているかのように、軽快な足取りで村へと元気に近づいていく。


 ズズン、ズズン、ズズンッ……。


 ピグ太の足音も僕に負けないくらいの爆音だ。


 突如として現れた二体の巨大怪獣に、村は大混乱となった。

 自分で言うのもなんだけど、僕みたいな巨大で怖そうな怪獣が現れたら、混乱するのも無理はない。


 その騒ぎに乗じて、エレナが村へと侵入する。


 村は木の塀に囲まれてはいるが、造りは簡素だ。

 もともと外敵など想定しておらず、人間の逃亡を防ぐための最低限の囲いで、当然ながら警備も甘い。


 村へ侵入したエレナには、村人たちと接触し、「あの怪獣は、エルフを追い払うために現れた」と伝えてもらう。

 これはパニックを避け、安全に避難させるためだ。


 ここでも見知らぬ人の言葉に耳を傾けてくれるかはわからないが、僕が慎重にエルフと戦っていれば、徐々に信用してくれる村人も増えていくだろう。


 一方でピグ太には、エルフ兵たちをおびき寄せ役目を任せてある。

 村の外周をぐるぐると走り回り、派手に目立ってもらう作戦だ。


 その作戦通り、ピグ太がバタバタと走り回っていると、周囲にエルフ魔導兵が集まりだした。

 村の守備隊が、動き出したようだ。


 ピグ太は周りにエルフが集まってきたことに気がついて、どこか嬉しそうに見える。


 僕はというと、村の建物を壊さないよう注意しながら、慎重に足を進めていく。


 しばらくすると、村を囲う柵の外に、エルフ魔導兵たちが現れた。

 見たところ、数名の小隊といったところだろうか。


 もともとこの辺境の村には、多くのエルフ魔導兵が駐留しているわけではない。

 僕とピグ太のところに集まってきた人数を考えると、内部に残っているエルフ魔導兵はかなり少なくなったことだろう。

 これでエレナも動きやすくなったに違いない。


 そんなことを考えながら突っ立っていると、僕の周りにいるエルフ魔導兵たちが魔導矢を構え始めた。

 先日の精鋭っぽいエルフ魔導兵たちの魔法攻撃でも無傷だったので、辺境の村を守備する小隊程度であれば、問題はないだろう。


 ただし、前回の爆炎魔法パイロクラズムとかいう高威力の魔法だけはやめて欲しい。

 僕は無傷でも、村が燃えてしまったら、取り返しがつかない。


 そう心配して、僕は後退りしながら距離をとる。

 ずるずると後退りしていくと、エルフ魔導兵たちが追ってくる。


 後退する僕を見て、エルフ魔導兵たちは、僕が怖がっていると勘違いしたようだ。

 すっかり調子に乗っている。


「ははっ、デカいくせにビビってるぞ!」

「デカいだけか、コイツ!」

「見た目だけで雑魚かよ!」

「さっきは驚かしやがって。本当は弱かったのか! このゴミカスが!」


 エルフたちの声の中に、なにやら聞き覚えのある響きが混じっていた。


 周囲を改めて確認すると──。

 エルフ魔導兵の後方で、集落から逃げ出したエルフリーダーが騒ぎ立てていた。


 またアイツか、いつものようにイキっている……。


 そうして僕がエルフリーダーに気を取られているうちに、エルフ魔導兵たちの攻撃準備が整ったようだ。


「よし、フリギーダ、一斉射撃だ!」


 エルフ魔導兵たちが攻撃してきた。


 青白い光を纏う矢が一斉に僕へと向かってくる。

 例によって避けるほど素早く動けないので、僕は為されるがまま、全ての攻撃を全身で受ける。


 さて、今度は一体どんな魔法攻撃だ?


 着弾と同時に魔導矢に込められていた氷結魔法フリギーダが発動する。

 すると、僕の身体が一瞬のうちに凍りついた。


 なるほど、氷魔法か。

 エルフとしても火災を心配して、守備隊は氷魔法が得意なのかな。


 もっとも、この氷結も僕にとっては薄皮一枚、冷んやりして気持ちいいくらいだ。

 僕が軽く身震いをすると、表面を覆っていた氷がバリバリと剥がれ落ちる。


 その光景を見て、エルフ魔導兵たちが驚愕する。


「魔導矢に氷結魔法フリギーダだぞ、そんなバカな!」

「な、なんだ、コイツは!?」


 聞き覚えのあるセリフだなと思いつつ、僕は尻尾でエルフ魔導兵たちを軽く撫でる。

 あくまでも、軽くのつもりだったのだが――。


「う、うわぁぁぁっっ」

「ダ、ダメだぁぁっ!」


 二本の尻尾がブルンッと動く衝撃は強烈で、エルフ魔導兵たちが吹っ飛んでいく。


 後方からその様子を見ていたエルフリーダーは、すっかり無言になり、どこかへ逃げ出していった。

 今度は判断が早い。


 再び情けなく逃げていく姿を見て、思わず追いかけ回したくなったが、今はエルフリーダーなど相手にしている暇はない。


 僕はピグ太の戦況を確認する。


 ピグ太は、体表を凍らせながらもグルグルと楽しそうに走っていた。

 まだまだ元気いっぱいだ。


 それに対してエルフ魔導兵たちは、肩で息をしながらピグ太を目で追っているだけだった。

 すでに魔導矢を放つ魔力も残ってはいないようだ。

 これは、ピグ太の楽勝だ。


 さて、これで村の外は片づいた。

 そろそろ僕自身も獣人形態になって、村へ入るタイミングだろうか──。


 内部の様子を確かめようと、エレナへ念話を送る。

 すると、思いがけない返事が返ってきた。


『レオン様、村人が決起しました。エルフを追い払おうとしています』


 これは、まさかの展開だ。

 村人たちが自ら立ち上がるとは、予想していなかった。


 長く続いた支配と洗脳教育。

 それでも、心の奥にあった不満は相当なものだったのだろう。

 僕たち怪獣の出現が、その不満という火種に火をつけたのかもしれない。


 もしかしたら村の解放は僕のエゴかもしれない、と不安もあった。

 けれど、住人たち自身の意思で立ち上がったと知り、胸の奥がじんわりと熱くなる。


 こうして、僕とピグ太がエルフ魔導兵を蹴散らし、最後は村人たちの決起がダメ押しとなり、村を支配していたエルフたちは残らず逃げ出していった。


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