第11話 再会と次なる作戦
怪獣形態での圧倒的な威圧。
それにより、エルフリーダーたちは顔面蒼白になって逃げ出していった。
彼らの一連の言動に「あれだけイキっていたわりにヘタレだな」とも思ったが、よくよく考えれば、今の僕は体長およそ四十五メートルの巨大な怪獣。
こんなのが迫ってきたら、逃げ出さないほうがおかしいだろう。
エルフリーダーの件で満足した僕。
集落の様子を確かめようとしたところで、エレナから念話が届く。
『レオン様、子どもたちはみんな無事です。エルフのノエルさんも一緒です』
エレナのことだ、こちらの様子を伺っていたのだろう。
良いタイミングの報告だ。
そして報告によると、みんな無事らしい。
これでほっと一安心だ。
胸を撫で下ろした僕は、人間形態へとすぐに戻る。
それから集落へ入り、声をかける。
「おーい、みんな大丈夫だった?」
すると、物陰から奴隷仲間だった子どもたちがガヤガヤと集まってきた。
実際は十日ちょっとしか経っていないのに、なぜだかとても久しぶりに感じる。
「えっ! レオン!? レオンなのか!?」
「なんだよ! レオンの方こそ、生きてたのかよ!」
「レオン君も怪我してないね。良かったぁ」
労働のあとで少し疲れている様子ではあるけれど、それでも僕を気遣ってくれる。
「エレナとリアナに助けてもらったんだ」
僕は二人を簡単に紹介する。
エレナとリアナがにっこりと微笑んで手を振ると、子どもたちも笑顔で応えた。
すでにすっかり打ち解けているようだ。
その後、みんなで和やかに話しているうちに、話題は自然と怪獣のことへ移っていく。
「あれが怪獣か。初めて見た!」
「さっきの怪獣、人間の味方なんだろ。スゲェ」
「怖かったけど、カッケェなぁ」
「あの怪獣、消えちゃったけど、どこに行ったんだろう?」
「怪獣って不思議だねー」
怪獣の正体が僕だとバレても仕方ないと思っていたが、どうやら誰も気づいていないようだ。
人間が怪獣に変身するなんて普通は考えないし、実際に目撃でもしない限り気づけなくて当然だろうか。
ただ僕としては、正体を明かしてスッキリしたい気持ちもある。
けれど今は、僕が怪獣だとは言わないことにした。
奴隷仲間だったみんなのことだ。
もし打ち明けても変な目で見たりはしないと思う。
むしろ「俺もなりたい」とか言い出しそうだ。
だから、そのあたりの不安はほとんどない。
僕が気になっているのは別のところだ。
もし神聖エヴァリス王国に、怪獣の正体が僕だと知られたら、みんなにまで危険が及ぶかもしれない。
今のところ正体を明かすメリットはないし、ここは慎重に動いた方が賢明だろう。
そんなことを考えながら、僕も雑談に加わった。
エルフの監視がなくなったせいか、以前よりずっと自由な雰囲気で、みんなもどこか楽しそうだ。
その流れの中で、僕はこう提案する。
「エルフもいなくなったし、村へ帰ろうよ?」
このあと僕は故郷の村も解放するつもりだ。
できれば一刻も早く、両親の元へ帰って欲しいと思っている。
僕は良い反応が返ってくるだろうと期待していたのだが、みんなは少し戸惑った顔を見せた。
「でも勝手にここを離れたら怒られない?」
「そんなことして大丈夫かなぁ?」
なるほど。
転生者である僕とは違い、みんなは生まれた時からずっとエルフの支配下で生きてきた。
エルフに逆らうこと自体に不安を感じるのかもしれない。
これがエルフによる洗脳教育の結果だと思うと酷い話だ。
少し困った様子の僕を見て、リアナが明るく言ってくれた。
「さっきの怪獣が村のエルフを追い払ってくれるよー」
続いて、ノエルさんがきっぱりと言い切る。
「私たちよりリーダーが怒られるだけだから大丈夫だよ。それに怪獣を信用してみようよ!」
リアナの明るさと、信頼されているノエルさんの言葉で、場の空気が一気に良くなった。
「そっか、アイツが怒られるなら行こうぜ!」
「あの怪獣、強そうだったしな!」
「それなら私、お父さんお母さんに会いたい!」
「行こう! 行こう!」
みんなが一斉に乗り気になってくれた。
これで決まりだ。
「よし、村へ帰ろう!」
僕はみんなの反応を見て気合いを入れ直し、まずはエレナと一緒に偵察という形で先行することにした。
そして、リアナとノエルさんには少し休んでもらい、夜明けを待って子どもたちを率いてきてもらう。
真っ暗な闇夜の中、さっそく僕とエレナが村へ向かって出発する。
僅かな星の輝きを頼りに闇夜を歩くと、しばらくして遠くにぼんやりと村の明かりが見えてきた。
僕らはその明かりが確認できる場所に陣取り、朝を待つことにした。
そして、東の空が白んできた頃合いで、村を強襲する予定だ。
強襲と言っても、実際に村を破壊するわけではない。
村を支配しているエルフたちを威圧して、追い払うだけだ。
それから村の強襲はピグ太にも頼んである。
予定どおりなら、ピグ太も今ごろ闇夜の中、村の近くで待機しているはず。
確認のため、エレナが念話を送る。
『予定通り、準備は良いですか?』
ピグ太から返ってきたのは「万全」という心強い返答だった。
仕事を任されたことで、ピグ太はすっかりやる気になってくれている。
僕とピグ太、二大怪獣で故郷の村を支配するエルフたちを追い払う。
さて、ピグ太との連携、うまくいくかな?




