たいせつ
「「つっかれたあ」」
二時間ほどしてリビングの机に伸びたレーヴェとユングフラウの姿があった。
「お疲れ様」
シュティーアが二人の前にマグカップを置く。中身はホットココアだ。
「何かわかったか?」
トイレから戻って来たツヴィリンゲが二つ隣に座った。
「特には」
「毎回同じです」
「もうすぐ二年か。そろそろ新しい情報が欲しいよな」
さっきまで飲んでいたマグカップをすすったツヴィリンゲはいきなり吹き出した。
開いた口からポタポタと飲んでいたココアが垂れてその状態で固まっている。
「汚―い、どうしたの?」
「あ、毒ですね。青酸系?」
マグカップの中身を覗き込んだミィオーセスが言った。
「こんの……アラクラン! ヴェルソー! どこだ!」
キャッキャと笑い声が聞こえる。ヴェルソーの私室の方だ。
見つけた! お前はあ!」
ツヴィリンゲはアラクランの頭を拳で挟んでぐりぐりした。イタズラのお仕置きはいつもこれだ。
一分ほどしてアラクランは解放されるとシュティーアに泣きついた。
「よしよし。アラクランも懲りないねえ。あ、後ろにヴェルソー」
「言わないでくださいよ!」
「てめえ、待て!」
ヴェルソーもアラクランと同じ刑に処された。
「ったく」
リビングに戻ると「毎回大変ですね」とヴィッタ―が話しかけてきた。
「共犯のくせによく言う」
「共犯? 俺がですか?」
「俺が万が一飲みこんでもいいように防御力を付与したろ」
「……いやー、俺はー」
ヴィッターはわかりやすく目を逸らした。
「よーし、しらばっくれるなら目と耳二倍の刑に処してやろう。見た目も見え方も気っ持ち悪いぞ? そんで脳がとんでもなく疲れるぞ?」
数秒の沈黙の後、「すみませんでした!」とヴィッタ―の腰が九十度に折れた。
「やっぱ共犯か!」
「あ! カマかけましたね! 卑怯ですよ!」
「しらばっくれたお前が言うか!」
ヴィッタ―も他二人と同じ刑に処された。
やり取りだけみればかなり和やかだ。まるで兄弟喧嘩のようだが、ここにいる全員血は繋がっていない。大人もいない。子供だけで生きていくしかないからだ。
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