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たたかい

「貴様は個体名【蟹座】だな。能力は斬撃強化」

「僕はラーク。【蟹座】の星落ち子」

ラークは鈍色に光っているナイフを取り出した。

「能力は斬撃強化」

話しながらどういうつもりかナイフを腕に押し当てた。血が出ていないとこをみると刃はつぶれているようだ。

「そんなナマクラでどうしようってんだ?」

「確かにこれはナマクラ。ナマクラだけど……」

ラークがナイフを下から上に切り上げるとキンッと甲高い音がして隊員が持っていた銃が切れた。

「しょ、所詮は刃物ありきの能力だろ! それに俺たちは防刃ベストを着ている。何も恐れることはない!」

「刃物ありき、それは勘違い。個体は当然、液体・気体でさえ物を切ることができる。例えば紙や水。紙は摩擦、水は高い圧力を加えるとモノを切ることが出来る。僕は、僕の能力はその条件を無視することができる」

ラークがまた切り上げると、隊員の一人の右腰から左肩にかけて傷ができた。

「真空で何もない所ならまだ僕に勝てる可能性があった、かも?」


「お前は個体名【射手座】だな。能力は射撃制度向上」

「ただのバフ要員が一人になって大丈夫か?」

一人が嗤笑した。

「確かに私はバフ要員です。ですが、そのバフは自分にもかけられるんですよ。それに」

シュッテェはゆっくりと構えた。

何かを握っているような左手は伸ばし、右手は何かをつまんでいるようで、耳の横にある。

右手を放すとヒュンッと音がしてどこから飛んできたのか、嗤った奴の頬を掠めて後ろの木に矢が刺さっていた。

「矢座を使えば私だけで戦えるんですよ。私を甘くみないでいただきたいですね」


「お前は個体名【双子座】だな。能力は分身」

ツヴィリンゲと対峙した隊員達は落胆した表情をしている。

「確かに俺の能力は分身だ。腕を増やしたり」

まるで今まで隠していたかのように腕が増える。

「耳や目を増やして死角をなくしたり」

後頭部に現れた目がまばたきをし、耳はまるで蝶のようだ。

隊員達の顔には不快の二文字が書かれている。

「でもまあ、身体のパーツを増やしたところであんま意味ないんだが」

増やしたパーツを戻し目の前の隊員に近づいて銃に手をかける。

離せ、と突き飛ばされたツヴィリンゲの手には隊員と同じ銃が握られていた。

「マガジンはぁ、ここか」

外されたマガジンは二つに増えて一つはズボンのポケットに、一つは再度銃にセットされた。

「本当はシュッテェに渡したいんだけど。ま、こんな状況なら仕方ないか。さあて、誰から蜂の巣になりたい?」



「ルィヴィ、調子はどう?」

シュティーアはルィヴィに水を渡すついでに訊いた。

「ありがとうございます。いつも通りです。三手に別れて戦いながら合流。あ、今合流しました」

「いい加減、諦めて欲しいよねえ」

シュティーアのみならず何人かはかなり辟易していた。

「諦めるのはないとおもいますよ。だって私達……」

「星落ち子だもんねえ」

「ていうか何で三手に別れるんですか? 結局すぐに合流するのに」

「さあ?」


「こんのクソガキ共ぉ!」

やけになった隊員が銃を乱射する。

「やば!」

ツヴィリンゲは素早く線を描くと半透明な盾が現れ弾を防いだ。

「っぶない、ホント。殺す気か」

「ならこれだ!」

投げつけられたのは手榴弾3つ。

「返すぞ」

ツヴィリンゲは難なくキャッチして投げた。あちらは再度投げるには時間が足りず間近で爆発する。

「ツヴィさん、一人残せって話は?」

シュッテェは敵の心配をしている。

「だいじょぶだいじょぶ、威力調整したからだいぶ火傷したぐらいだよ」

土煙が晴れると左半身を火傷した隊長が転がっていた。

隊長に向かって線を描くと、シュンッと姿が消えた。

「お疲れ様です、ツヴィさん、ラーク、シュッテェ」

「お迎えサンキュ、トラゴス」

「俺はまだうまいこと戦闘に利用できないので、このくらいはどうってことないです」

「練習すればそのうち使えるようになるさ。俺も付き合うし」

会話をしながらツヴィリンゲの背中に線を描く。

「ラーク、おぶるから来い」

「シュッテェはこちらに」

ツヴィリンゲはラークを、トラゴスはシュッテェをおぶった。

「じゃ、帰りますかね」

二人はまるでアクセルを踏みこんだ車のようにすごい勢いで走り出した。

「やっぱダッシュは付与に限るな」

「脚増やしてみたらどうですか?」

「考えたしやってみたけど、もつれるし見た目がキモイんだよなあ」


その頃、洞窟ではーー

「すっごい火傷。これでよく気絶しないね」

シュティーアは線の鎖で拘束した隊長と対峙していた。

「【牡牛座】め……」

「顔こわーい。「レーヴェ、ユング」

「はーい」と声がして奥から男女の子供が出てきた。

「何も話さんぞ。【獅子座】【乙女座】」

「私たちのことは知ってるでしょ?」

女の方が言った。

「すぐに話したくなりますよ」

男も言葉を続けた。

「二人ともお願いね。必要ならアラクランにも手伝ってもらって」

「「はーい」」

お読みいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします

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