かいけつ
そこらへんから木の枝を拾ってきて地面にポンプ座を描く。
そっちのほうが体力の消費が少なくなるからだ。鎮火にどれだけかかるかわからない今は少しの消費も抑えたい。
ヴィスイーとヴェルソー以外一人一個ずつ、ツヴィリンゲは五つ、全部で十六台を一斉に稼働させる。
いくら地下水源が巨大だとしてもこの勢いで汲みだしたらすぐに涸れてしまうだろうが、汲みだされている量を見るに全くその様子がない。今までポンプ座は地下水を汲みだす程度の力だと思っていたが、もしかしたら水自体を生みだしているかもしれない。
「く……、この……」「う……く……」
ヴィスイーとヴェルソーは眉間に皺を寄せて力んでいる。大粒の汗もかいているところをみるとかなり消費が激しいようだ。
当然だがこの作戦で一番負担が大きいのはヴィスイーとヴェルソーだ。
「何か二人の負担が減る方法が……あ」
ツヴィリンゲはレッグとの戦闘前に聞こえた声のことを思い出した。
「ヴィスイー! ヴェルソー! 開門しろ。『開門』というだけで良い! 俺と同じ星落ち子なら出来るはずだ!」
その言葉に疑問を持ちつつも何かを察したのか、二人は同タイミングで言った。
「「『開門』」」
直後二人の瞳に♒と♎が現れる。『開門』して楽になったのか眉間の皺も消えた。
「これならいける」「いける!」
ヴィスイーとヴェルソーとは少し距離があったので大声で話しかけていた。ゆえに全員聞いていたので次々と『開門』する。
一人当たり五台までポンプを増やし、その全てから水が溢れ出す。
やはりポンプ座は水を生みだす力がありそうだ。
溢れた水はヴェルソーが複数個の水球にし、ヴィスイーが空に放った。
上空の盾座に当たる音がする。水が滴ってくるので各々盾座を傘代わりにする。
「みんな! もうひと踏ん張りだよ!」
ルィヴィが声を張り上げる。
『開門』している今は何もかも手に取るようにわかるのだろう。
体感五分もするとルィヴィが鎮火したと述べた。
「ハアー」と全員息を吐き、星座を解除した。
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