こえ
「カハッ……」
腹を踏みつけられて強制的に空気を吐き出す。
「この……」
足をどけようと力を込めるが、体制的不利もありビクともしない。
「さすがに分身出せるだけあってこいつは手強かったな」
「うっかり殺すなよ。依頼は生け捕りなんだからよ」
「わーってるよ」
相手は2人。例のごとくアンチスター繊維を着てルィヴィの索敵に引っかからなかった。2対13なのに、ナイフ一本ずつと星座の力なのに、いつの間にか負けた。
「でもよお、他ならともかくこの【双子座】だっけ? こいつならいいんじゃないか?」
「いいわけないだろ。だいたい……」
二人はこっちの事そっちのけで言いあいを始めた。
「(アンチスター繊維のせいでコピーは無理。手持ちはない。残りの体力は……)」
ツヴィリンゲはこんな状況でも解決の一手を探していた。家族は全員地面に転がっている。微かに腹部が上下しているので生きてはいるのはわかる。
「(分身を離れたところに出して死角から攻撃するか? 地面を身体にコピーして土人形でごまかそうか?)」
するとどこからか声が聞こえた。
『何故開かないんだ?』
家族の声かと思ったが、依然として全員気絶しているし、そもそもあれは家族の誰の声でもない。当然腹を踏んでいる奴でも、そいつと言いあっている奴でもない。それにどこかで聞いたことがあるような、しかし、聞いたことがないような声だ。
「(誰だ、お前。一体どこから? それに、開くって、何をだ?)」
今の状況では何も出来ないため声に返答する。
『門に決まってるだろ。お前は星落ち子だろ? じゃあ、さっさと開けてそんな奴ら、ぶっ倒せ』
その言葉で直感した。何かはわからないが、門とやらを開けば間違いなくこの状況を打開できる、と。
「(門はどうすれば開く? 教えろ)」
声がフッと笑った気がした。
『簡単だ。ただ一言こう言えば良い』
声が教えてくれた言葉を一瞬の躊躇いもなく唱えた。
「『開門』」
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