第57話 冒険者とは
第2章 曙光と絆の先へ
第1幕 開雲見日
第57話 冒険者とは
すみません、遅くなりました!書き上がったのでお納めください!
ギルドを出ると、ヴァルはやはり待っている間大人しくしていたようだが、私を見るや否や情けない声を上げた。
『やっと戻ってきた!このちっちゃいの何とかしてよミオー!』
見ると、ヴァルの背中にいつの間にやら数人の子供がよじ登っていた。
「ああっ!ちびっ子に囲まれてるアレが君の従魔で良いんだよね!?お~いちびっ子!主人の許可なく従魔には触っちゃダメだって!!大ケガするのは君たちなんだよ!?」
「あっ!チビウサだ!」
「見つかったー!」
「にげろー!」
キリベルカさんが一喝すると、子供たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
「全くもぅ…」
『助かったぁ…』
ヴァルはその場で脱力し、心底疲れ切った様子だ。
「ありがとうございます、キリベルカさん。」
「いいのいいの。むしろこっちこそごめんねぇ?あいつらドラゴンにまで手を出すなんて、怖いもの知らずにもほどがあるよ……」
そう言いながら、彼女は子供たちが消えていった方を眺める。
「さっきの子たちは?」
「あいつらが逃げてった方にある孤児院の子たちだよ。あたしもあそこの出身で、支部長になってから時間に余裕があるときは顔を出してるんだけど……あの三人組は特に生意気でさぁ。あたしの言うこと聞いてくれないんだー。ホント参っちゃうよね。」
面倒くさそうに言う彼女はしかし、その口元は微かに笑っていた。
『ミオ…まだ街の外に出れないの…?』
「あぁごめん。もうちょっと待ってね。今登録する職員の人が来てくれて、それが終わったら出られるからさ。」
「…ん?あれ、この声ってもしかしてドラゴン君がしゃべってるの?」
「そうですよ。ヴァルは念話が使えるんです。」
「へぇ~!あたしの知り合いにも魔物使いが居るんだけどさ、そいつ従魔と相性が良くないみたいなんだよね。きっとそいつが見たら、君の事うらやましがるだろうなぁ。」
「そうですね…確かに念話が無ければ私もヴァルの言いたいことがずっと分からないままだったかもしれません。」
『うぅ~……』
もし念話なしで今のような状況になったとしても、人を嫌がっていることしか分からなかったかもしれない。
…いや、それはむしろほとんど理解できているのか?だがそれも今までの交流あってこそだろうし、言葉が通じなかったらここまで心を通わせることはきっとできていなかっただろうな。うん。
その後、ギネートさんが連れてきた職員に従魔認定を受け、無事登録することができた。
大きくDの文字と名前が刻印された金属製のギルド証と、それによく似た従魔認定証。それから従魔の証明となるタグを受け取って、それはヴァルの龍鞍に着けた。これで私たちは晴れて街への出入りが自由となった。
それにしても、このカードを門で提示するだけで入市税が免除されるというのは破格の待遇だ。
しかもこの免税はこの町だけではなく、ギルド支部があるところでは例外なく徹底されているらしい。
なぜそんなことができるのか。
まず、魔物やその他人類の脅威と対峙することを目的とする職業は二つある。
騎士団と冒険者だ。
この世界における騎士とは、ただ騎乗して戦う者を指した戦士階級ではなく、対魔物を専門とした軍人を指す言葉だ。
対して冒険者は、対魔物を主眼とした傭兵組織―――つまり冒険者ギルドに所属する者を指す。
そもそも冒険者ギルドとは、魔物の脅威に対抗するための小さな自警団から始まった組織だ。それから志を同じくする者たちが現れて、ある時から近隣の街の自警団とも連携して魔物に対抗するようになっていった。
そうして時を経るごとにその規模が拡大していった結果、今のギルドがあるのである。
人類に天敵が存在しなかった前世と違い、この世界では脅威となる生物がそこら中に生息していて、人がこの世界の主役であるとはとても言えないような状況だ。
そんな中で戦う騎士や冒険者たちには、自然と感謝と尊敬が集まる。
特に高ランクの冒険者には英雄的な活躍をする者が多く、お母さんを始めとして、前世のアイドルやタレントなんかに近い人気も獲得するようになった。
「それに、低ランクの冒険者だって普段の魔物の駆除に一役買ってるんだよ?そんな状況で、市民から熱狂的な支持を得る高ランク冒険者たちの連名で迫られちゃったら、貴族たちも無視できないってわけ!」
と、キリベルカさんは語る。
というかこの人何で私についてきてるんだろう。ギネートさんが目を離したどさくさに紛れて仕事から逃げたっぽいけど。
「あの…もう夕暮れですし、ヴァルを街の外に出したら宿取って寝ますよ?」
『ぼくも森に入ったら寝るー。』
「そう?じゃああたしも同じ宿を取るよ。」
「…何でついてくるんです?」
「えぇ~、だって仕事嫌だし…それに私の話をこんなに真剣に聞いてくれる人って、君ぐらいなんだよねぇ。」
「そうですか……」
じきに、夕日が周囲を一色に染め上げる。
旅の疲れはあるが今日はまだ、もう少しだけ休めなさそうだ。
あとがき
私は物語の出てくる設定を自分なりに深堀りするのが好きなのですが、転生モノに出てくる冒険者ってなかなか謎な職業ですよね。
冒険者…名前は冒険家に似てますけど、それとはまたちょっと違うような。
今回は私なりの冒険者に対する解釈を説明する回になってしまいましたが、どうでしょうか?
普段こういう設定ばっかり考えてるので、筆が止まってしまったりするんですが…(-_-;)
次回、主人公が依頼を受けて魔物の討伐に出かけます!




