表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣剣の魔女  作者: Dy02-SK
第2章 曙光と絆の先へ
57/65

第56話 「一難去ってまた一難」by副支部長

第2章 曙光と絆の先へ

第1幕 開雲見日

第56話 「一難去ってまた一難」by副支部長

「君、もしかして”氷星”とミラの弟子!?」


 キリベルカさんの甲高い驚きの声が、応接室に反響する。


「えっ……どうしてキリベルカさんが知ってるんですか?」

「そりゃ知ってるよ!ミラと私はライバルだったんだから!」


 彼女は得意げに胸を張った。


「Aランクまではお互いに競い合いながら昇格していったんだ。私が引退させられた後はしばらく音信不通だったんだけど、彼女がSランクに上がったのをきっかけに交流が復活してね。君の事を聞いたのは確か2年くらい前だったかなぁ?『近い将来、白狐の弟子がアムヌーで冒険者になるからよろしく』って。改めて見れば一目瞭然だよね!だって持ってる剣がミラと同じだもん!」


 そんなところで繋がっていたのか…

 …ん?でもミラ師匠は私には何も言ってない―――ってことはミラ師匠は、私が積極的にキリベルカさんを頼るのではなく、キリベルカさんが陰ながら見守るような構図をイメージしていたのでは…?


 私が色々と考えていると、ギネートさんが言った。


「支部長のライバルと言うと、”森の剣聖”リュドミラ・クロムウェルですか?そして、彼女がその弟子だと?」

「そ。それに―――」


 キリベルカさんが私の目を見る。


「”氷星の魔女”の弟子でもある。」

「はい?ちょっと待ってください。それってまさか、”三傑”の?」

「それ以外に誰が居るって言うの?”氷星の魔女”なんて呼ばれるのは、アリステラ・フロライン一人だけでしょ。」


 ギネートさんは納得したように低く息を吐いた。


「はぁ……なるほど。そういうことでしたか。」

「?」


 腑に落ちたような彼の表情に、今度はキリベルカさんが置いていかれているようだ。


「支部長、私がなぜ彼女を応接室に呼んだか、お分かりですか?」

「んー?そりゃ彼女が中位の魔物の討伐経験を申告したから……じゃ、ないの?」

「ええ、それも理由の一つです。ですが、私が最も注視したのはそこではありませんでした。」


 そう言い、彼はクリップボードをキリベルカさんに手渡す。


「特に変わったところは無いと思うけど…」

「ミオさん、支部長に名乗っていただけますか?」


 名前と聞いたキリベルカさんがクリップボードの上部に目を走らせるのと、私が声を上げたのは同時だった。


「はい。私はミオ・フロラインです。ご存じの通りリュドミラ・クロムウェルは私の剣の師匠で、アリステラ・フロラインは魔法の師匠であると同時に、義理の母でもあります。」

「あぁ~っ!なるほどね!」


 キリベルカさんは勢いよく顔を上げた。


「ギネート、詐称を疑ったんでしょ?この子が”フロライン”姓を名乗ってたから。」

「はい。しかし、それは私の杞憂でした。」


 ギネートさんは私に向き直る。


「正式に確認できましたので、今度こそ本当に登録手続きは完了しました。大変お手数をお掛けしました。」

「ごめんねミオちゃん。でもね、”氷星の魔女”って、私たち冒険者にとっては生ける伝説なの。ある種の信仰対象みたいな?だから、今回のことも大目に見てくれると嬉しいな。」


 生ける伝説、か……でも、もう……


 忍び寄る暗い感情を振り払い、私は努めて普段通りに答えた。


「……はい、大丈夫です。ギルド証の方は、どこで受け取れば―――」

「あのっ!すみませんっ!」


 突然の声に、部屋の空気が切り裂かれた。

 開きっぱなしの入り口の向こうに、軽装の鎧を着た騎士が立っていた。


「私はアムヌー騎士団第三小隊所属のカムートであります!副騎士団長より伝言を預かって参りました!先ほど、ドラゴンを連れた白髪の狐族の少女、が……」


 彼と私の目がかち合うと、はきはきとしていた彼の声は尻すぼみになって行った。


「街への立ち入りを許可され、今日中に従魔登録をするために冒険者ギルドに来ると…」

「…一足遅かったようですね。彼女はすでに冒険者ギルドで対応中です。他に用件が無ければ、お引き取り下さい。」

「は、はいっ!失礼いたします!」


 慌てて踵を返した彼は、ぎこちない靴音を響かせて帰って行った。


 ギルドって騎士団から連絡が来たりするんだ…騎士団は公機関、ギルドは民間のイメージだったから勝手に仲が悪いもんだと思ってた。


 彼の背中を見送ったギネートさんが、険しい顔で振り返る。


「…しかしミオさん、ドラゴンの従魔とは?」

「2年くらい前に、卵を瀕死の母龍に託されまして。私はその母親代わりですね。今ではもう親子というよりは友達とか、相棒みたいなものです。」

「ドラゴンの卵…!それはまた、すっごいお宝だね……!」

「それは今、どこに―――」

「ギルドの前で待たせています。街に入るときに馬宿以外には入るなと言われたのですが、人目に晒されるのが苦手みたいなので、できれば早く従魔登録を―――」


 私が言い終える前に、彼の顔ははっきりと青ざめた。


「それを早く言ってください!2歳のドラゴンなど、暴れ出したら―――!」

「だいじょーぶだよ、ギネート。」


 そう言うキリベルカさんは、にこにこと余裕の表情だ。


「もし暴れるような子なら、そもそも騎士団が街に入れてないでしょ。」

「万が一ということがあるでしょう!?ミオさん、今すぐにそのドラゴンのところに戻ってください。すぐに登録担当の職員を連れて行きます。支部長はミオさんについて行って下さい。この支部で暴れ龍を止められる可能性があるとすればあなただけですっ!」


 早口にまくしたてた彼は、言い終えると同時に階下へと駆け下りていった。


「そんなに焦らなくてもいいのにねぇ?」

「え、ええ。まぁ……」


 視線にうんざりしている可能性はあるけど、暴れてるようなことは無いんじゃないかなぁ……なにせヴァルが暴れたら、魔法無しでもギルドの建物が無事で済むはずがないし。


 ギネートさんの心配は、それが徒労に終わるという一種のフラグなのかもしれない。

あとがき


えっ、ギルドに入って無事登録完了するまでに3話も使ったんですか!?

とまぁ、長引きましたがこれで主人公も冒険者の仲間入りです。はてさてこの先どんな依頼が待っているのやら。

っていうか、それよりギルドの前で待っているヴァルがかわいそう!


次回、まだ話が固まっておらず書いてみないとどうなるか分からないのでお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ