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獣剣の魔女  作者: Dy02-SK
第1章 永遠と須臾の煌めき
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第41話 第二の家

第1章 永遠と須臾の煌めき

第3幕 桑狐蓬矢

第41話 第二の家

 朝のまどろみに響き渡る鳥の囀りが、私を優しく揺り起こす。体は藁のベッドに沈み、瞼はくっついて離れようとしない。それを鋼の意思で起き上がり、もみほぐして目を開くとそこは―――見覚えのない部屋だった。

 一瞬何が起きているのかと思ったが、すぐ横で眠るヴァルを見てすぐに昨日の出来事を思い出す。


 ラージボアの解体に端を発した即席の祭りは、私を含めた子供が眠りについてもなお夜更けまで続き、それはもう歌えや踊れのどんちゃん騒ぎで村中の大人たちが夜通し呑み明かした。

 それでは眠ったはずの私がなぜ夜中まで続いたことを知っているのかと言えば、それは窓の外を見れば一目瞭然である。

 広場に限らずそこかしこに転がっている、酔いつぶれて倒れ伏した男たちの群れが居るのだ。さすがに女性は自制し、自宅に戻ったようなので一人も見当たらないが。


「あら、おはようミオさん。」

「おはようございます、ネモさん。」

「キュァ」

「ふふふ、ヴァルちゃんも挨拶できてえらいわね……はぁ、全く。ごめんなさいねぇうちの男どもが。二人ともはしゃぎ過ぎて酔い潰れてしまったみたいなの。ほんと、いくつになっても子供みたいで参っちゃうわ。」


 レザフさんの奥さんである彼女がヴァルを抱いて部屋から起き出した私に、床に転がる亭主一名と息子一名をみて一言。童顔で繊細そうな見た目にそぐわず、その言葉遣いはかなり肝っ玉母ちゃん寄りだ。


「いえ、せっかくのお祭りでしたし、手土産も満足していただけたようで何よりです。」

「大きな器をお持ちなのねぇ…ねぇ、もし興味があったうちのルート貰ってくれないかしら?」

「いやぁそんなこt―――はい?」


 ルートを、貰う?それはつまり私に彼と結婚してほしいということか?

 ……普通に嫌だが?


 確かに私は女だ。それは否定しない。

 だがそれ以前に中身は男であり、性的嗜好は世間一般と同様…つまり女性愛者である。

 前世ではその手の縁には恵まれなかったので、家族以外の女子とは必要最低限の会話しか経験が無いが、だからと言ってここに来て男と結婚というのはいくら何でも倒錯しすぎだろう。


 突然投下された爆弾に頭がショート寸前まで加速していく。

 しかも聞き返して以降一言も発しない私に対しネモさんがさらに情報を投げ込んできた。


「あの子、もう19になるのよ?それなのに村のどの娘ともいい話が無くて。このままじゃ私、孫が見られないじゃない?」

「お袋ぉ、よりにもよって…ミオさんにそんな話しないでくれよ。」


 未だ思考のるつぼから抜け出せないミオの代わりに口を挟んだのは、テーブルに手をかけて立ち上がろうとするルートであった。


「あら起きてたの。どこまで聞いてたのかしら?」

「最初から起きてはいた…ただ気分が悪いから、寝てただけ。はあぁ~~~……俺もう二度と酒飲まねぇ。」

「そんなこと言って、どうせ三日後には楽しく飲んでるくせに。」


 その後立て続けにレザフさんも目を覚まし、結局ルートをもらう云々の話はうやむやとなって消えていった。今考えればあれは、近所のママさんの冗談のようなものだったのだろう。そう思っておくことにする。



***



「じゃあ、そろそろ帰ります。しばらくしたらまた来ますね。」

「おーう……あんたなら、はぁ…いつでも歓迎だ。」

「あ、な、た?見送りで溜息なんていくら何でもあんまりだと思うの。」

「うっ、すまんな嬢ちゃん。まだ、酒が抜けきってなくてよ。」


 村長一家の厚意に甘え、朝食をいただいたのちに私は家へ帰ることにした。

 これが初めてではないが、無断で外泊しておいてあまり帰りが遅くなってはお母さんが心配するだろうからな。


「おねーちゃん、また来る?」

「うん。絶対来るよ。」

「また来てねぇ」

「今度は聖騎士ごっこしよーな!」


 村長一家に加え、昨日仲良くなった子供たちも見送りに来てくれたので結構な人数が見送りに来てくれた。こういうことは初めてで、少々こそばゆい。


「あの、おねえちゃん!その…ばる、触ってもいい?」

「あ、そうだね。今日は落ち着いてるみたいだし、最後に撫でてみる?」

「わぁ、カッコいい…!」

「キュッ、キューア!」

「こーら威嚇しないの。」


 籠から取り出されたヴァルはティミー君がのばす手を怖がっていたが、私が指先で喉を撫でればたちまち猫のようにゴロゴロと満足げな音を出して気を逸らした。野生を生きるドラゴンとしては「生存本能よ仕事しろ」と言いたいところだが、これはこれでかわいいので良いのだ。


「ごつごつしてる…」

「生まれたての頃は沸騰する鍋の湯気みたいにアツアツで、鱗も柔らかかったんだよ。」

「へぇ~…!」


 本人から聞いた話によればティミー君は魔物に対して興味があるらしく、昨日も事あるごとにヴァルを触れないかと聞いてきていたのだが、新天地ゆえに興奮していたり眠っていたりで触れ合わせてあげられなかったので、最後にできてよかった。

 その後もせがむ子供たち全員(ルート君も含む)にヴァルの臨時ふれあいイベントが開催されたが、いつまでたっても終わる気配が見えないので、ちびっ子4人組が2周し終わったところで切り上げる。


「それじゃあ今度こそ帰ります。お世話になりました。」

「また来てなー…」

「「「「ばいばーい!!」」」」

「ぐぁ…」「ぐおっ、チビ共もちっと声量押さえやがれ…!こちとら二日酔いで―――」

「自業自得でしょう。」


「…ふふっ。」


 少しずつ遠のく賑やかな会話を背に受け心が温かくなって思わず笑みがこぼれた。

 近いうちに、また来よう。今度はどんな手土産を持っていこうか?


あとがき


何の予告もなく投稿を忘れてしまい、昨日は本っ当にすみませんでしたッ!!

特に理由は無いのです。ただどう書いたものかとあまりに悩んだので、気分転換にゲームでもしようと思ったのです。

…気が付いたら寝落ちしておりました。

もう本当にそれだけなんです……もうダメだぁ…おしまいだぁ…

今後は締め切りを脳内に刻み込んで執筆にあたらせていただきます…


次回、幼きオパールが種を守り、やがて時間が芽吹かせる。

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