第1話(その⑥)
人形展内にはフランス人形が多く展示されており、中には曰くつきの人形や、伝承がある特別な人形など目を奪われる展示品が沢山ありました。
「少し怖い話がある人形もあるみたいだけど、展示されている人形たちはとても愛されてきた子たちなんだろうな」
「そうだね。だからこそ目を奪われる子が多いんだろうね・・・・・・」
そんな話をしながらゆっくり展示されている人形を見ていると、大きなガラスケースが見えてきました。
近くまで行くと、目を閉じた男女が入っていました。
ボヌールとリアンはその姿に驚いたものの、よく見てみると、見た目10代後半くらいの等身大の人形でした。
「凄いな・・・・・・。てっきり人間がガラスケースの中に入っているかと思ったよ」
「うん・・・・・・そうだね・・・・・・」
等身大の人形を間近で見たボヌールは、ポストカードを見た時以上に心がモヤっとする感覚が強く感じていると、二体の人形が目を開きました。
しかし、リアン含め周りの人たちは、そのことに何故か気付いていません。
「ねぇ、Monsieur.リアン。今、あの人形たちの目が・・・・・・」
そう言った次の瞬間、等身大の人形が入っていたガラスケースが突然壊れ、周りがパニックの中、ボヌールは驚いてその場に座り込んでしまい、動けなくなってしまいました。
パニックで周りの人が遠くに逃げていく中、壊れたガラスケースの中から人形が動き出し、更に現場周辺はパニックになり、叫び声が沢山聞こえる状況の中、ボヌールは耳を抑え泣きそうになっていました。