第1話(その②)
ボヌールは受け取ったワンピースや靴は紙袋の上に乗せてベットに一旦並べ、見つめながら少し悩んだ末、両親が自分のために選んでくれたんだからと、ワンピースを着用し、タイツとパンプスも履き、髪をくしで軽く整えた後、最後に去年リアンから貰ったリボンを左右に留めました。
「Monsieur.リアン。着替え終わったよ・・・・・・」
そう言いながら扉を開け、ボヌールが着替えた姿を見たリアンは、亡くなった姉のルミエールと重なって見え、目を離せなくなりました。
「Monsieur.リアン・・・・・・? どうかしたの?」
「あっ、いや、凄く似合っていて、見惚れちゃってたんだ・・・・・・」
「・・・・・・? 似合っているなら、よかった」
「じゃあ、今度は僕が寝室で着替えるから、その間に顔を洗っておいで。その後にビュッフェを食べに行こうか」
そう言いながらリアンは寝室の扉を閉めました。
今までボヌールとルミエールはよく似ているなと思ったことがあっても、まさか姉と姪の姿が重なって見えるとは思わず、リアンはとても困惑しました。
「自分で思っているより姉さんたちの死を引きずっているのかな。だとしても、まさか姉さんとボヌールを重ねて見てしまうなんて・・・・・・。ボヌールには絶対言えないな・・・・・・」
一人きりの部屋でリアンはそう呟きました。