プロローグ(後半)
翌日。ボヌールはいつもより1時間早く起床し、ふと横を見ると、両親がいつも使っているベットにリアンが眠っており、不思議に思っていると、リアンも目を覚ましました。
「おはようリアン叔父さん。MèreとPèreは?」
「おはようボヌール。昨夜あの後姉さんに電話したら、祭りの影響でかなり道が混んでたみたいで、ホテルでエクラ義兄さんと急遽一泊して、早めに帰ってくるとは言っていたんだ」
「そうなんだ。昨日結局帰ってこなかったんだね・・・・・・」
ボヌールが悲しそうな顔をしていると、リアンは一つの小さな箱を差し出しました。
「本当は姉さんたちが帰ってきてからの方がいいかなとおもったんだけど、これ叔父さんからの誕生日プレゼント」
「誕生日プレゼント・・・・・・! ねぇ、すぐ開けてもいい?」
「もちろん。気に入ってくれるといいんだけどね」
プレゼントを受け取ってすぐに開封すると、中には青緑のリボンの髪飾りが二つ入っていました。
「わぁ可愛い! リアン叔父さんありがとう! 早速着けてみてもいいかな!」
「もちろん! 叔父さんは先にリビングに行って、朝食の準備してくるから、その間に可愛く着替えておいで」
「うん!」
ボヌールが寝室で着替えている間にリアンはキッチンまで来ると、冷蔵庫からビスコットと牛乳を取り出し、ビスコットを皿に三枚ずつ乗せ、コップに牛乳を注いだ後、テーブルに並べ、その後ソファーに座りながらテレビをつけると、臨時ニュースをしていました。
『昨夜、〇〇ホテルにて爆破テロが起きました。現時点では死者10名、重軽傷者40名を確認しており、警察は遺体の身元など詳しい状況を調べており・・・・・・』
そんなニュースを聞いた瞬間、泊っているホテルの名前を教えてもらっていないこともあり、姉夫婦が巻き込まれていないかとても心配になってとっさに電話をかけ始めました。
姉の元気な声を聴いて早く安心したい一心で電話が出るのを待っていると、予想もしない相手が出ました。
『・・・・・・もしかして、このスマホの持ち主のご家族の方ですか?』
『そうですが・・・・・・まさか!』
『はい、警察です。これから言うことを落ち着いて聞いてください。・・・・・・ざんねんながら、このケータイの持ち主と、一緒に泊まられていた方が爆発に巻き込まれ亡くなりました』
警察と名乗る電話口の相手がそう伝えてき、それを聞いたリアンは一気に血の気が引いていき、着替えてリビングにやってきたボヌールがリアンの様子が変でどうしたのか聞こうとしたその時、外で花火が打ちあがり始めるのと同時に、テレビから両親の名前が、亡くなった人の名前読み上げを聞いてしまい、その瞬間リアンは脱力しながら泣きだし、ボヌールは発狂したように泣き叫び始めました。
二人にとって、1年で一番楽しい日から、1年で一番苦しく悲しい日になった瞬間でした。