第2話(その⑤)
「二人とも、パリはどうだった? 確か、ボヌールちゃんは初めて行ったんでよね?」
「はい。昨日Monsieur.リアンとあるお店でアップルパイを食べたんですけど、この辺のお店とはまた違った味がして、美味しかったです」
「そうか。・・・・・・因みに、パリで食べたのと、俺たちが作ったのと、どっちが美味しかった?」
「どちらも美味しかったんですけど、好みとしては、「Ciel Etoile」の人たちが作るアップルパイの方が、私は好きです」
「そうかそうか。それは光栄だな」
ボヌールが微笑みながら質問に答えると、それを聞いた二ナスは嬉しさのあまり、顔が少しニヤけました。
「特別展に展示されている人形たちも、とてもよかったですよ。わざわざチケットを二枚も用意してくれて、ありがとうございます」
「いや、お礼なんていいよ。特別展のこと知った時、是非二人に見に行って欲しいと思ってプレゼントしただけだから」
「いえ、今度お礼に、ボヌールと僕でおもてなしをしますよ」
「ミルフィーユを作ってお出ししようと思っているので、楽しみにしていてくださいね」
「そうか? そこまで言うなら、楽しみにさせてもらうよ」
車内で楽しそうに色々話をしていると、カイゼルスベルク村の入口が見えてきました。