第2話(その④)
二ナスを探していると、見覚えのある車のすぐそばに人だかりができていました。
ボヌールとリアンが何だろうと不思議に思ってよく見てみると、二ナスが複数の女性に囲まれていました。
「二ナス・テ=アルベールですよね! 私、ずっとお話してみたかったんです! 是非、近くでお茶でも・・・・・・」
「いや、私とお茶を!」
「ちょっと、抜け駆けするんじゃないわよ!」
「いや、俺は迎えにここにきた訳でお茶をする気は・・・・・・」
二ナスが複数の女性にお茶のお誘いで困って周りを見回していると、リアンと手を繋いでいるボヌールがこちらを見て固まっている姿を見つけました。
「おーい、リアン、ボヌールちゃん。こっちこっち! すいません、お茶を一緒には無理ですが、よければ今度「Ciel Etoile」へお越しください。その時はおもてなしさせていただきます」
「「「はい!」」」
そう返事すると、女性たちは何処かへ行ってしまいました。
「はぁ。大変な目にあった・・・・・・」
「相変わらず、女性人気が凄いですね」
「いやいや、見つけたなら、早く声かけてよ、リアン! そう言えば、さっきからボヌールちゃんが固まっているけど、大丈夫?」
「あ、大丈夫です。初めて見た光景で、驚いただけなので・・・・・・」
「そっか。驚いただけならよかったけど。それじゃあ、リアンと一緒にトランクにキャリーケースを乗せるから、ボヌールちゃんは先に車に乗っててくれるかな?」
「わかりました。それじゃあ、失礼します・・・・・・」
そう言いながらボヌールは先に車に乗り込み、キャリーケースを乗せトランクを閉めた後、リアンは助手席に乗り、周りを確認した後、二ナスは車を発進させました。