第1話(その⑩)
「・・・・・・それにしても、二年連続で大変な目にあうなんて・・・・・・」
「そうだな・・・・・・でも、ボヌールが無事でよかったよ」
「でも、あの騒動のせいで、Monsieur.アルベールにお礼の品を買い忘れちゃったね」
「特別展のチケットのお礼に、美術館内のお土産屋さんでお礼の品を買う予定だったもんな。代わりに、Monsieur.アルベールが一番好きなミルフィーユを作って渡すのはどうかな?」
「そうだね。この前買ったローズティーと合わせて出して、おもてなししたいな・・・・・・」
そんな話をしながらリアンはふとスマホを確認すると、二ナスからメッセージが送られていることに気が付きました。
『二人とも無事か! 今何処にいるんだ!』とメッセージが送られていたのに気が付きました。
『今、TGVに乗車している所です。ボヌールも隣に座っていますよ。一体どうしたんですか?』
『無事ならよかった。この前渡したチケットの会場で、突然人形が動き出して、パニックになって大騒ぎになっていると、今ニュース速報でやっていたんだ』
『そうなんですね。僕もボヌールも幸い怪我をしてません』
『怪我がなくて安心したよ。コルマール駅まで迎えに行くから、着いたらまた連絡してくれ』
『わざわざありがとうございます。そうさせてもらいますね』
「・・・・・・誰からのメッセージだったの?」
「二ナスさんからだよ。美術館での事件がニュース速報でやっていたのを見て、心配で連絡してくれたみたいで、駅まで迎えに来てくれるそうなんだ」
「そうなんだね」
ボヌールはリアンへそう返すと、小さなあくびをしました。
「疲れているんだろう。降りる駅に近づいたら起こすから、寝てていいよ」
「うん・・・・・・。そうさせてもらうね」
そう言った後、ボヌールはリアンの肩によりかかると目を閉じ、しばらくすると眠りました。
リアンは、眠ったボヌールの頭を優しく撫でながら、いつ二ナスにお礼のおもてなしをしようか考えていると、その姿を遠目から謎の男女二人が見ていました。
今回で第1話は完結です。
次回から第2話に入ります。