第1話(その⑧)
ボヌールとリアンは警備員に事務室に案内され、さっきの出来事のことを聞かれていました。
「・・・・・・それじゃあ、突然目が開いて、それに気が付いた瞬間突然ガラスケースが壊れて、中に入っていた人形が動きだしたってことであってるかな?」
「はい・・・・・・信じてもらえないと思いますが」
「普通なら信じられないが、監視カメラを確認してみたら、確かにガラスケースが割れてから自らの意思で動きだしたように見えるな」
警備員がそう言いながら、ボヌールとリアンにも先程の騒動の監視カメラの映像を見せてくれました。
「そういえば、聞き間違いじゃなければ、あの人形たちはボヌールのことを『主人』って呼んでいたけど、一体どうしてそう呼んだんだろう・・・・・・?」
「あの人形のことは詳しくはないのですが、発見された時、服にタグのようなモノが付いていたらしく、少女の方には『Roman・Marionnette』、少年の方には『Rève・Marionnette』と書かれていたそうなんです。お嬢さん。あの人形について、何か知っているかい?」
「いえ、今日初めて見たので・・・・・・」
「そっか。大変な目にあったのに、おじさんに話してくれてありがとうね。Monsieur.リアンでしたっけ、この後のご予定は?」
「美術館を出た後は、徒歩で駅へ向かい、そのまま自宅へ帰宅しようと思っていますが、何か問題が・・・・・・?」
「いえ、何も問題はないのですが、念の為駅までお送りしますね」
「えっ、悪いですよ!」
「いえ、先程のこともありますし、万が一また件の人形がお嬢さんに接触しようとするかもしれないので、複数の大人で鉄道に乗車までだけども護衛した方がいいと思いますよ」
「そうですね、それでは、お願いします」
「お任せください。確かロッカーに荷物を預けているんでしたよね。まずは、それをお持ちしますので、預けたロッカーの番号を教えていただけますか?」