プロローグ(前半)
今日は7月13日。明日はボヌール・フォンテーヌが10歳、叔父であるリアン・クレマンは20歳の誕生日です。
ボヌールにとって一年で一番楽しみなそんな日の前日、外では国中が建国記念日のお祭りで盛り上がっている中、リアンと誕生日当日、どう過ごそうか話しながら両親が帰ってくるのを待っていました。
しかし、帰ってくると言っていた時間になっても二人とも返ってこず、気付けば21時になっていたのです。
「もうこんな時間だし、眠くなってきただろう。明日は行きたいと言っていたパレードを見に行ったり、美味しいアップルパイを食べにいくんだろう。それにそなえてそろそろ寝なさい」
「でも・・・・・・まだMèreもPèreも帰ってきてないもん。明日のこと二人にも言わないと・・・・・・」
「大丈夫。姉さんたちが帰ってきたら、僕が代わりに伝えておくから、安心してお眠り」
リアンにそう言われてしまい、眠気も限界に近づいているのもあって、ボヌールはその日はもう寝ることにしました。
「Bonne nuit。リアン叔父さん」
「Bonne nuit。いい夢を」
ボヌールがリビングから寝室に向かったのを確認した後、リアンはボヌールの母であり、自身の姉でもあるルミエールに電話をかけましました。
『もしもし姉さん。ボヌールが「明日どう過ごすかMèreとPèreに話すんだ!」って言って待ってたんだぞ』
『あぁゴメンね。建国記念のお祭りの影響で道が想像以上に混んでいて、用事を済ませられたのはいいんだけど、今日中には帰れそうになくて、急遽エクラと一緒にホテルで一泊して帰ることになったの。ボヌールはまだ起きてる?』
『いや、先程明日に備えて寝るように言って寝室に向かったよ。今日はこのまま姉さんたちの家に泊まらせてもらうな。明日はエクラ義兄さんと一緒に可能な限り早く帰ってきてくれよ。明日すごく楽しみにしていたからな』
『もちろん! それまでボヌールをよろしくね』
『任せて。あ、ベット借りるからね。じゃあ僕もそろそろ寝るから、それじゃあ』
電話を切った後、リアンはシャワーを浴びボヌールが寝ている寝室に向かい、普段ルミエール・エクラ夫婦が使っているベットに入り眠りにつきました。