第2話 それで?
今日の飴はイチゴ味。
早速、口に入れて、気分転換。包み紙は大事に持って帰る。
公爵令嬢のキャサリン様は、お隣のクラス。取り巻きのほとんども、お隣クラス。
この学院は成績順なので、まあ、例えばですよ?レインと同じクラスになりたあーい!と思ったら、、、、勉強すればいいんですよ?私のことを突き飛ばしても、なんともなりません。家名とかで分かれているクラスじゃないんで。みなさん、中等部から来てるんだもん、知っていますよね?
レインと彼の侍従のアデルと私は、同じクラスです。
レインは、、、、学年トップの成績です。剣術クラスでもAクラス。金髪碧眼。身長は、、、、成長中らしいけど、まあ、非の打ち所のない王子様、って感じです。
憧れる子は中等部でも多かったなあ、、、、
・・・・この人が、10歳からの私の婚約者なんだがな、、、学院でも知っているのはキャサリン様くらいか?私に何かと絡んでくるのも、キャサリン様がらみが多い。
「何を一人でぶつぶつ言っていらっしゃるの?」
放課後、いつものように図書館に向かっていると、回廊の柱の陰から、見慣れた金ぴか縦ロール。
「・・・・・」
まあ、まだ、本人対決のほうが、会話が成立するかなあ、、、
「私、もう、我慢が出来ませんわ!何なの?カタリーナ様??」
何がでしょう?
「あなた!あの方の婚約者としての自覚はあるの?何なの?そのもっさい着こなし、もっさい髪型!あんな素敵な方の隣に並び立てるというのに!」
「・・・・はあ、、、、」
「私は小さい頃から、レイン様が大好きでしたの!それなのに、それなのに、それなのに!!なぜ私ではなく、あなたなの??」
「・・・・・」
縦ロールは今日もぴかぴか。化粧もばっちり。制服なのに、オートクチュールの匂い、、、、今日もお綺麗ですねえ、キャサリン様。
「・・・・御言葉ではございますが、別に私が望んで、レイン様の婚約者になったわけではございません。まあ、、、家同士?の話し合い、というか、、、先方様が高位な場合は断れませんよね?申し入れ。」
「まあ、それは、、、、そうね。」
「それでは、、、、例えば、キャサリン様とレイン様が恋に落ちて、この婚約が解消されました場合。」
「・・・まあ、、、、」
キャサリン様の頬が染まる。意外と素直な人だな。
「何を、生業にして、生活なさるので?」
「は?」
「公爵家はキャサリン様のお兄様が継いでいらっしゃいます。婿入りは出来ませんね。」
「・・・・こ、、、、公務とか、、、」
「第2王子がもう着任していらっしゃいます。あの方は、国外情勢に強い方ですから。」
「・・・・ど、、どっかに新しく領を貰うとか?」
「新しい領?どなたかの位をはく奪してまで??」
「・・・・軍とか、、、」
「・・・そもそも、、、、何で侯爵位の我が家にこんな話が来たか、、、、現王のご兄弟も大変多かったからですね、、、国内外、婿入りできるところには婿入りさせ、軍や近衛に新しい役職まで作り、、、、そしたら、、、、」
「そしたら?」
「今の、レインバート様、第3王子の婿入り先がなかったんです。跡取りがいるところを無理やり廃嫡させて婿入りなんかさせたら、、、信用問題ですしねえ、、」
「・・・・・」
「まあ、、、それでも、キャサリン様が愛を貫くというのであれば、御止めはしません。どうぞ、頑張ってみてください!!」
にっこりと笑う私を見て、固まっている。
「・・・本当に、小さい頃から好きだったのよ、、、わかってるわよ、、どうせ私だってそのうち、どっかに嫁に出されるんだわ。学院にいる間位、夢見たっていいでしょ?」
縦ロールがしおしおしている。
ちょっと可哀そうかな、、、、、
「それでは、キャサリン様?提案なのですが、、、」
「・・・・?」
「2年時からの生徒会役員は、成績と家名で決まります。まあ、生徒会長はレインバート様に決まりでしょう。そこで、、、勉強しませんか?」
「は?」
「いいですか?キャサリン様が、物凄く頑張って成績を上げれば、副会長になれます。そしたら、、、あこがれのレイン様となんと!1年間一緒にいれますよ?一緒にいさえすれば、、、、愛も通じやすいかと?」
「まあ、、、、あなたは?それでもよろしくって?」
「ええ。所詮、政略的婚約者ですから。」
それから、、、、キャサリン様の勉強が始まった。正確には、、私が徹底的にキャサリン様に勉強をさせた。昼休みも、放課後も、かかりきりで。
彼女は変に素直で、負けず嫌い。しかも、、、自頭はかなり良かった。使っていなかっただけで。空きスペースがたんまりあった感じ?
夏休みまでに、中等部3年分の復習を終え、前期分の授業もおさらいさせた。もちろん、私のクラスでの授業分なので、かなりなもんだったが、、、、付いてきたんだなあ、、、愛って、、、凄いね??