第14話 経過報告会
「それで?それで?」
今日は、キャサリン様のお部屋で、お泊り会。
10月末の舞踏会も終わり、いろいろとひと段落したあたり。11月になった。
キャサリン様のお屋敷はもちろん、お部屋も豪奢だ。ベットも広い!さすが公爵家!!
キャサリン様は、レース重ねの寝間着にツインテール。化粧していないので、小ざっぱりした顔だ。いつもより少し、幼く見える。
エミリーは、キャサリン様にもらった寝間着。襟もとにレースが施されてカワイイ。
「んでえ、、、レイン様にけ、、、結婚を申し込まれただ、、、いやあ、、、たまげたあ!!」
「うん、うん、それで?」
「僕はまだまだ君のことも、君の領地についても理解を深めたい。だから、時間が掛かるかも知れないが、あなたの手を取りたい、、、、、だど、、、いやあ、、、おらあ、、、リーナ様にご紹介お願いしてたべ?どうすっがなあ、、、ども、思ったんだげども、、、」
「いい、いい、全然かまわない!私も円満婚約解消したし!気にしないでどんどん行って!!」
「はあ、、、リーナ様も婚約解消しただが?レイン様も婚約解消したんだべ?お相手は誰だったんだべが?りりーさん、が?」
「・・・・いや、、、違うと思うけど、気にしなくていいんじゃない?レイン様を御せるのはエミリーちゃんしかいないわよ?持参金も、がっぽがっぽよ??二人で領地改革よ!あの方の知識や力や金の使いどころよ!!」
「リーナ、、、品がないわよ?嬉しいのはわかるけど、、、、」
キャサリン様が、くすくす笑いながらツッコミを入れる。
「そう言う、、、、キャサリン様は、、、いつの間に?政略結婚、嫌がっていましたよね?」
「政略結婚じゃないもの。」
「え?」
「んだか?」
「クリス、、、、クリストファー様が、、、どうしてもって、、、おっしゃるから、、、」
「・・・いったい?どこで知り合ったんですか?そんな、、隣国帰りの大公家嫡男と?お見合いじゃなくて??」
「んだ、んだ」
「貴方たちもお会いしてるのよ?ほら、いつかの教会のバザーに来ていた、、、」
「ああ!あのうさん臭い紳士?隣国語しか話さなかった?」
「う、、、胡散臭い?」
「だって、看板を読んでたでしょ?化粧水あったんだね、って。なのに頑なに隣国語話すって、、、どうなんでしょう?」
「・・・・・まあ、、、、あの方よ。」
「おらあ、うっとりしたあ、、、、キャサリン様は綺麗だべし、お相手の方は背が高くてかっこいいべし、、はあ、、、絵本の挿絵みてえだなあ、、、って。」
「まあ、くすくす、、エミリーもすぐよ。12月の大舞踏会にはレイン様にエスコートしてもらいなさいね?今回は、侍女で見学だったけど。これから、、、社交の勉強は厳しくなるわよ?王妃様が張り切っていたから。」
「・・・・だか、、、、」
「それで?一番意外だったわよね?リーナ?」
「・・・・・」
「んだんだ!」
みんなのおのろけを、枕を抱えて聞いていた。笑いながら。
私は、、今夜はブドウ色のカチューシャ。大好きな色だ。
「え、、、と、、お見合いです。はい。」
「え?そうなの?」
「んだかあ、、、仲いいべにな?」
泣きはらして向かった自宅の客間で、見合いのお相手を待っていた。お相手の方は、同じ年、バード、という方らしい。
・・・・お断りする気満々です。
父と、急遽駆け付けた父の親友は、もうすでにお酒が入って盛り上がっていた。
・・・・娘のお見合い当日に?よ?
お相手の方は、仕事を片づけてから来るらしく、、、少し遅れて現れた。
「ああ、来たか?バード、思ったより早かったな?」
「リーナ、こちらの方が、バード君、、ああ、辺境伯家ご子息のアデルバード君だ。」
ため息を噛み殺しながら、頭を上げると、、、、、?????
「やあ、初めまして、では、ないね?よろしくね、カテリーナ嬢?」
「・・・・????」
「父上たちは、まあ、飲んでいてください。僕らは庭でも散歩してきますから。ね?」
「・・・・・」
お相手の方に手を取られて、庭に出る。
「・・・・目が腫れていますね?どうしましたか?くすっ、、、」
「・・・・・」
「おや?怒っていますか?人の話はきちんと聞かないといけませんね?」
そう言って、上着のポケットの中から、この前と同じ飴を取り出し、口にした。
ふわりと口の中にブドウの味が広がる。最後のキス、ではなかったんだなあ、、、
飴をなめながら、むくれている私と手をつないで歩きながら、
「駆け落ちしなくて済みましたね?リーナ?」
そう言って、アデル君が、楽しそうに笑った。
「・・・・と、言うわけで、、、産まれた時からの許嫁だったみたいなの。いろいろあって、、、、元に戻った?」
「・・・・へえ、、、、」
「んだかあ、、、なんつうだ?縁が繋がってだ、んだべなあ、、、切んにで、、、」
そう、、、、実は、あなたとレイン様もそのようよ?不思議よね?
*****
12月の大舞踏会では、エミリーは、前髪を上げて、はちみつ色の髪が結い上げられていた。かわいい、、、、ブルーのドレスに金糸。ダンスも完璧。
第3王子の婚約者が正式に発表された瞬間だわね。よかったわ!!
レインは王妃様との約束通り、3年間かっきり学院に通うらしい。その後は、エミリーの領地に先に入り、領地について学ぶらしい。そこで、エミリーがアカデミアを卒業するのを待つらしい。あの人がねえ、、、、、変われば変わるもんだわ、、、、
「さあ、リーナ、僕らも踊ってこようか?」
私の手を取るのは、銀髪を緩く縛った、ブドウ色の瞳のアデルバード。
今日の私は薄紫のドレスに銀のネックレス。
私たちは揃って、春になったらアカデミアに行く。
お隣でにこやかにステップを踏むのは、キャサリン様とクリストファー様。
クリス様の隣国への赴任について行って、隣国で薬学の勉強をすることが決まったらしい。春前には、挙式。素敵だわあ、、、、
人生、どこでどうなるか分からないけど、、、あなたのことはリユースなんかしないで、一生大事にするわね?
本編、完です。
番外編が続きます。