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第13話 一難去ってまた一難?

「父上?あの、、、、婿って?」

「あ?ああ、お前には生まれた時から約束してある婿がいてなあ、、、俺の親友の息子なんだ。婚約の申請を出していたんだが、ほら、王妃様が渋って、ごねて、延び延びになって、、、、お前とレインバート様の婚約になってしまったんだ。」

「・・・・・」

「先方さんも、まだ決まった方がいないというし、むふふ、、、今度の日曜日に見合いだ。収まるところに収まって良かった!な?」

「・・・・・」


な、、、、って、、、、まあ、、、、レインと結婚するよりは、、、、いいのか?でも、また、そんな知らない人と?一から?いい人とも限らないじゃない?また?

父上は妙に嬉しそうだ。

えーーーー


「お父様、実は私、好きな方がいて、、、地方伯の三男坊なんですが、、、え、、と、、」


父上は、王城の廊下を爆速で歩いていたが、立ち止まって私を見た。

引き続き、楽しそうな顔だ。

「へえええ、、、まあ、それはそれとして、見合いは見合いだ。いいな?」」

「・・・・・」


流石に婚約破棄2回じゃな、、、、

見合いかあ、、、、阻止できないかなあ、、、、どうせなら、、、自分の好きな人と結婚したかったなあ、、、、、




*****


「おや?念願の婚約破棄の割には、浮かない顔ですね?剣にも出てましたよ?」


10月の中旬も過ぎると、風がさわやかだ。


縛った銀髪が風に揺れてるねえ、、、相変わらず意地悪っぽくアデル君が言う。

剣術の休憩時間に、木陰で休む。このところ、レイン様は学院に来ていない。

いろいろと後始末があるんだろう。


「今度の日曜日は見合いなのよ、、、一難去ってまた一難?」

「おやおや?でも、良い人かもしれないでしょう?お会いしてみないと解りませんよ?」

「・・・・まあ、、、ね?そうなんでしょうけど、、、、結局、自分で決められることなんか、何にもないんだなあ、、、って。」

「へえええ、、、自分で、、、どうしたかったんですか?」

「・・・・・す、、、、好きな人と、結婚するとかよ!」

「へえええ、、、どなたか?」

「・・・・あなたよ!!!ねえ、私と駆け落ちしない?アデル君?」

「・・・・・」


寝転がっていたアデル君が、さすがにびっくり眼で起き上がる。


「・・・・・」

「顔が真っ赤ですよ?ふふっ、、、」

「な、、、、」


アデル君は、ポケットから何時ものように、何も聞かなかったかのように、普通に、、、飴を取り出した。包み紙は銀色。中の飴は、、、ブドウかしら?きれいな紫、、、

アデル君の瞳の色と同じだわね?

何でこの人はいつも、こう、、、余裕があるんだろう、、、


「いい人だといいですね?」


当然のように私にくれるんだろうと思ったそれを、アデル君が口にする。え?

ふわりと、ブドウの香りがした。


口の中で、ブドウ味を感じながら、多分、最初で最後のアデル君からのキスに、涙が止まらない。タオルに顔を埋めて、泣いているのがばれないように、、、


言ってすぐ、、、、失恋かよ?



ああ、そうか、、、アデル君も、、、もうレインの婚約者でもない私と、かかわることもなくなるんだなあ、、、、



まあ、、、、世の中、努力だけでどうにかできることには限界があるんだろうなあ、、、、





*****


「は?そだごど、聞いでいらんねえ。おら、仕事あんだ。どいでくろ?」


女中と一緒に客間の清掃をしていたエミリーを、やっと捕まえる。

「お願いだ、少し、話を聞いてくれないか?」


カタリーナにもキャサリンにもきちんと謝ったこと。リリーは、、、リリーのことは身から出た錆なのであまり言いたくなかったが、正直に言う。それと、自分の婚約は解消したこと。


「・・・そうだが、、、ちゃんと謝ったんだべ?んで、許してもらっただが?」

「・・・ああ。」

「んがあ、よがったなあ。おめさま、ちゃんと人さあだま下げれる人間になっで。」

「・・・ああ。」

「リリーちゃんのごどは、おめえさまが、悪いべなあ?したども、暴力で解決はでぎねえがらなあ、、、、もっと話せばいがったんでねえが?なあ?」

「・・・・ああ。」

「婚約者の人さは、愛想つかされたんだべ、、、、おめさまの婚約者の人も、大変だったべなあ、、、、」

「・・・・ああ。」

「したげっじょ、、、ちゃーーーんと話し合ってきたんだべ?んじゃ、よがったな。おめさまも、お相手の人も、これがら、まだ、あだらしい人生だべなあ。」


エミリーが、蹲っていた僕の頭を、ぽんぽんと撫でてくれ、バケツを抱えて出て行った。そうだな、、、、新しい人生、、、、


僕は、、、少し泣いた。





*****


最初に会ったのは、教会のバザー。


お友達と楽しそうにクッキーを売っていたが、君が焼いたの?と聞いた僕に、なんだかキレていた。面白い子。隣国語上手だ。少し調べてみた。


二度目に、またいるかなあ、と思って出かけたバザーに、またいた。

かぶれやすい友人のために、安全で安い化粧水を作ったらしい。へえ、、、

クッキーも美味しかったけど、化粧水にも、君にも、興味あるなあ、、、、

家にある在庫分を届けてくれる、というので、家の住所を書いて渡す。うふふっ、楽しみだね?


次の日曜に、予定通り現れた君は、薄いブルーのワンピースに、ツインテール。

縦ロールよりかわいいなあ、僕的に。

案内した客室で、妹と化粧水について話し込んでいる。楽しそうだ。

化粧品の勉強をするために、隣国に留学したいんだってね?まあ、調べてあるけど。


お茶の時間には、僕の両親も同席した。にこにこだね。


そう、父上、母上、この方が、キャサリン嬢です。





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