表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

第12話 調書

「そうですねえ、、、日頃から、リリー嬢とレインバート様は大変仲がよろしかったですので、、、リリー嬢に一人で迎えに来てね?ってお願いされたら、行くかもですね、レインバート様。」

「え?学院ではよく、腕を組んで歩いていらっしゃいますよ?生徒会の役員をしている友人に聞きましたが、生徒会室にも入り浸っていたようですし。まあ、、、公認?」

「先日も、10月の舞踏会のエスコートの約束をなさったそうですよ?リリー嬢と。」


王城での取り調べには、正直に、知っていることを述べる。ホントに、正直に。


「ただ、私ではありませんよ?主犯。私はそんなにレインバート様に執着しておりませんので。彼が、リリー嬢を選ぶというなら、全然止めませんけど?」

「え?私をエスコートですか?レインバート様にお誘いを受けたことも、ドレスを贈られたこともございませんけど?」


途中から、、、なんの取り調べなんだ?という内容になってきたなあ、、、


「学院で、婚約者であることを伏せてもらった理由ですか?他のご令嬢からの嫌がらせがひどいから、ですね。レインバート様も御存じでしたよ?突き飛ばされたり、カバンが捨てられたり、、、。オモテになりますからね、レインバート様。」


「とにかく、、、、主犯は私ではありません。焼きもち?気もないお方に焼く餅はございません。事故現場には、たまたま、通りがかっただけです。お手伝いできて良かったです。」


取調室を出ると、アデル君が待っていてくれた。よほど笑ったのだろう、、、目が潤んでいる、、、、まったく、、、


「くすくすっ、、、、、大変でございましたね、、、取り調べ、、、」

「・・・・・なんだか、言いたいこと言って、逆にすっきりしたわ。送ってくれるんでしょ?」

「はいはい。」



アデル君が回してくれた馬車に、手を取ってもらって乗り込む。先ほど買ってもらった淡い緑色のワンピースがふんわりと揺れる。今日は、、、すっきりミント味の飴だった。



*****


「主犯はリリー嬢の父親でしょう。あの子爵家は金回りが良いと評判でしたが、事業が傾いて、大変な負債を抱えていたらしく、今回のことを思いついたみたいですよ?娘がレイン様と良い仲だと聞いて、おびき出して誘拐して身代金を貰い、何食わぬ顔でレイン様を介抱し、娘が傷物にされたと騒いで、結婚。で、持参金も手に入れる。大方、そんな筋書きだったかと。」

「・・・・そんな、、、うまく行くと思っていたのかしら?そのほうが不思議だわ、、、、」

「かなり、親密な仲だと聞かされていたようで、、、」

「はあ、、、、身から出たサビ?」

「くすくすっ、、、、、レイン様も今、別室で取り調べを受けていますよ。もちろん、リリー嬢も。」

「はあああああ、、、、、」

「まあ、リリー嬢は先のことまでは知らされていなかったと思いますが、、、ただでは済まないかと。」

「・・・・・そうねえ、、、、ただの逢引きにしては、失敗したわね、、、、」




*****

しばらくしてから、父と一緒に王城に呼ばれた。心当たりは沢山あるが。

「お父様、私、やはり、レインバート様無理です。すみません。ご迷惑をお掛けしてしまいますが、、、」

「・・・・ああ、、、大丈夫だよ。多分。」


先方様は王妃様とレインバート様。

4人でテーブルを囲み、お茶になる。気まずい、、、、さすがに人払いされているらしく、アデル君も護衛も近くにはいない。はああああ、、、、


「この度は、、、うちのレインのことで、大変ご迷惑をお掛けしてしまって、、、、」

「いえ。何事もなく、良かったです。」

「リリー嬢のご実家は爵位も領地もはく奪になり、娘さんは修道院送りに決まりました。」

「はあ。的確なご判断かと。」

「それでね?リーナちゃん?調書を読ませてもらったんだけど、、、、その、、、レインのこと、、、、」

「・・・・・」

「感謝しているのよ?この子は最近変わったの。自分から周りの人たちに挨拶するようになったし、気遣えるようになったの。」

「・・・・残念ながら、その変化は、私のせいではございません。エミリー嬢の努力のたまものかと。ね?レイン様?」

「・・・・・」

「エミリー嬢?エルノ侯爵家のお嬢さまね?」

「さようでございます。彼女が、一生懸命、レインバート様に歩み寄って下さったおかげです。私は長く婚約者でしたが、彼女のように歩み寄ることが出来ずに、大変申し訳なく思います。」

「・・・・・」


気まずい、、、、父上も何も言わないし、レインも、、、


「・・・謝らなければならないのは、僕のほうです。カタリーナ、今まで本当に申し訳なかった。僕は、自分のことしか考えていなかった。君のことも、周りのことも、何も見ようとしなかったし、聞こうともしなかった。申し訳ない。」

「・・・・・」

「君には本当に申し訳ないが、僕たちのこの婚約は解消させて頂けないだろうか?」

「・・・・・」


よろこんで!!!


「まあ、レイン?これから二人で歩み寄って行けばいいのじゃないの?」

「・・・・・僕は、結婚を申し込みたい人がいます。その人に、、、自分の不誠実さについて、、、諭されました、、、、。きちんと君と婚約を解消し、一からその方に向き合って行きたい。本当に、、、、申し訳ない。」

「・・・・・」


とんでもない!!!ありがとう!!!!


「最初から、、、、お前が変に、レインを遠くに出したくないなどと申すから、、、元のさやに納まっただけではないのか?」

「・・・・陛下!」


元さや?


「なあ、ハートラム卿?君にもカテリーナ嬢にも、迷惑をかけた。

この二人の婚約は、無かったことに。こちら側からの申出であるので、違約金はもちろん払う。それで、、、、お互い元の婚約者に戻す、でよろしいか?」

「・・・まあ、よろしいのでは?」


父上、、、、態度でかくない??


「ハートラムの領は、我が国の西の要だ。カテリーナ嬢、婿殿とよろしく頼むぞ?」

「・・・・・???」

「お任せください。」


父上、、、、、誰のことなんですか?婿、って???え??











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ