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第11話 引き続き、経過観察。

「お聞きになりましたか?12月の大舞踏会で、ついに、第三王子レインバート様の婚約発表が大々的に行われますよ?詰み、ですかねえ、、、、」

「・・・・・」

「あと3か月、、、、逃げ切れませんでしたね?残念でした。キャンディの詰め合わせセットをお贈りしましょうか?くすくすっ、、、、、」

「・・・・楽しんでるわね?アデル君、、、、逃げる気満々よ?まあ、、、、取り合えず、腹痛?」

「・・・呆れましたねえ、、、何度使いました?その仮病?10月の舞踏会も、またそれで逃げ切る気?」

「・・・・・」

「まだ一度も、まともにエスコートもされていないのでは?」

「・・・・・」




レインはここのところ不調みたいで、さっきも組んでいる子にコテンパンに負けていた。

剣術の時間には、ほんのちょっとアデル君と話せるのが、ことのほか楽しい。



・・・・・あと、3か月かあ、、、、逃げ切れないのかな?地の私は、まさにレインの嫌いなタイプ。これだけさらけ出せば、なにか先方様がアクションを起こしてくるだろう、と思っていたが、、、、駄目だったか?はあああああ、、、、、、


休憩が終わったので、アデル君の手を借りて起き上がる。飴が一つ、握りこんである。今日は、、、、何味かなあ、、、、、こんなささやかな楽しみで、ごまかしごまかしやり過ごしてきたが、、、、もう、本当に、、、、家出でもするか!!!


ささっと飴を口に含んで、包み紙は丁寧に畳んでズボンのポケットに入れる。

・・・・今日は、チョコレート味だわ!!

つい、頬が緩む。


そうかあ、、、レインと結婚したら、もうアデル君は就職しちゃって、、、、もう誰も私に飴をくれたりしないんだわ、、、、


レインが、エミリーと係わってから、随分と性格が変わったらしい、ってキャサリン様は言っていたけど、、、、

まあ、、、、レインとは話してもいないから、私にはわからないけど、、、、


リリーちゃん?と良い仲だという噂も聞いた。まあ、これは、リリーちゃんが流しているんだろうけど。もうよくない?リリーちゃんで??

あそこの家は、商売をやっているので、レインの名前と立場は結構使えるんだろうなあ、、、必要なところに、、差し上げるし?でもなあ、、、、あんまりいい噂聞かないわよね?あの家。


こちらから言うか?もう時間ないし、、、、お父様にはご迷惑をお掛けしてしまうけど、、、それでもだめなら、、、、



*****


休憩が終わって、さあ、打ちあうか!というときに、レイン様の護衛がアデルに近寄り、耳打ちしている。何かあった?


「ああ、、、リーナ様?少し用事が出来たので、僕は席を外します。すみません。うちの護衛は置いていきますから、彼と打ちあいますか?」


と言って、楽しそうに笑っている。でも、、、何かあったわよね?

私も汗かいたから、もういいわあ、、、とか言って、こっそり後をつける。


レインの控室から荷物を持ち出して、どこかに出かけるようだ。

衛兵に指示を出している。10人?随分、物騒ね?場所は、、、郊外にある教会の物置。そこを包囲するように、と。へえ、、、、


「で、、、リーナ様?どちらに行かれるおつもりで?」

「あら、、、ばれてた?相方がいなくなっちゃうから、打ちあえないし、アデル君についていったほうが楽しそうだと思ったのよ?」

「・・・・・」


郊外にある使われていない教会らしい。人はいない。

ため息をつきながら、アデル君が剣を一本渡してきた。真剣だわね。


「リリーちゃんが誘拐されたようですよ?レイン様に来るように。レイン様以外の者が来たら、リリーちゃんの命がないらしいですね。」

「・・・・どっかで聞いた話ね?」


そうそう、この前、キャサリン様が隣国の恋愛小説を紹介してくれた。王子と恋に落ちた身分の低い令嬢が誘拐されて、王子様が助けに来る。で、悪者をやっつけてハッピーエンド。主犯は、王子の婚約者だったけど、、、、私は何もしてないわよ?こんなんで、何か解決できるはずないじゃない?

むしろ、、、、狙われているのは、レイン?


「で、しょうね。」


振り返ると、金髪くりくりの、レインにそっくりなかつらをかぶっているアデル君。

もう少し、背を低くしないとねえ、、、アデル君のほうが、随分背が高いから。


「まあ、そこは、見なかったことで、、、、逆光で入りますよ。いいですか?あなたは、屋根の上にいるやつをお願いします。」


私は、近くにある木の陰に潜む。


アデル君が、太陽を背に、物置のドアを蹴り破る。


「レイン様ああああ、、、、」


という、喜びの悲鳴が聞こえる。だんだんかな?


「きゃああああああ」


ま、、、、だろうね、、、、中にいるのは、多分大したことない。

リリーちゃんの悲鳴に合わせて、屋根に潜んでいた男たちが降りてくる。ざっと、、、6人ぐらいか?もちろん、物置小屋の中にしか注意を払っていない。さくっと、2人。気が付かれたが、不意打ちだったよね?もう二人。残りの二人はアデル君が殺さずに確保した。


「衛兵!!連れていけ!!」


敷地を包囲していた衛兵が、犯人たちを連行する。


物置小屋の中は、、、こりゃまた派手にやったわね?ここまでしなくてもいいのに、、、わざとね?

入ってきた衛兵が、こりゃあ掃除が大変だ、と言いながら、死体を運び出している。


「さあ、リリー、王子様が迎えに来たよ?どうしたの?」


逆光のまま、アデルが、血だらけの手をりりーちゃんに差し伸べる。あら、声も似せているのね?うんうん、感動的なところよね?


「い、、、いやあああ、、、、た、、、、助けてええええ!!!!」


リリーちゃんは、自宅でお茶でも飲んでいるときに誘拐されたのか?余所行きのかわいいドレスをお召だ。今日、学校は?休んだのかな?




「ご協力、ありがとうございました。」


と、言って、アデル君が途中で、可愛いワンピースを買ってくれた。まあ、、、そのまま血の付いた運動着で帰るわけにもいかないけどね。アデル君は、さっさと持ち込んだ着替えに着替えている。かつらも取った。


「さて、、、王城に帰って、調書を書かなければなりません。ご一緒していただけますか?リーナ様。」















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