表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

第10話 経過観察

「・・・・って、かまして、去っていきましたよ、エミリーさん。くくっ、、、」


剣術の休憩時間に、組んでいたアデル君と並んで話す。タオルに顔を埋めて、笑いをこらえている。

・・・・こりゃ、、、派手にかましたわねえ、、、、


「あれは、、、自分のことより、あなた方のことをそしられたのが、、、我慢できなかったんでしょうね?いい子ですよねえ、、、、くっ、、、、」


「で?レインは?」

「しばらーーーーく放心状態でしたが、、、何か考え込んでいたようで、おとなしく寝ましたね。くくっ、、、」

「・・・・・」

「それからというもの、おとなしいですねえ、、、この前は、みんなにおはよう、とか言って、引かれてましたから、、、、くくっ、、、、あの人が、、おはよう、、、」

「・・・・・」

「あとはですねえ、、、一年生の教室の前をうろうろしていますよ?」

「・・・・・」


「で?アデル君は?」

「え?僕ですか?僕はもう、16になったときに王城の事務官の登用試験に通っているんです。レイン様が婿に入られたら、事務官ですよ?僕は、、、僕の知識と剣術は、、取り合えず、自分を守るために使いますから、、、、あの方も、そう言えばよかったんですよね?自分のプライドを守るために使っているって。それを、、、、、」


同じ匂いのする奴だとは思っていたが、、、、成績も、剣術も、、、


「まあ、、、リーナ様にだから言いますが、その自分のプライドがお粗末だったことにやっと気が付かれた?だといいなと、思いますよ?」


笑い過ぎたのか、涙を拭きながら、アデル君は私に手を差し伸べた。


「さ、残りの時間もよろしくお願いいたしますね?リユースしなくても、使い物になるかもですよ?」

「!?・・・・・私には御しきれないわ、、、、、」



くくっ、、と、アデル君が楽しそうに笑う。



*****


「この住所にやって頂戴ね。」


馬車に乗り込んで、御者に住所の書かれたメモを渡す。


「お嬢様?ええと、、、、そのお洋服でよろしいので?」

「?え?いいわよ?お届け物に行くだけだから。」

「・・・・さようで、、、、」


妹さん用の化粧水を届けがてら、隣国へ留学するにあたって、いろいろと聞けたらいいなあ、と、のんびり考えていた。隣国の商人かなんかだろう。着ていた物はシンプルだけど、物は良かった。化粧水はとりあえず3本用意した。妹さんを大事にしてそうな感じだったから、、、、なるべくカワイイ瓶にしてみた。


今日はお届け物が終わったら、本屋さんに頼んであった本を取りに行って、、、と、思っているので、ワンピース姿だ。動きやすくていい。お気に入りの手提げバック。


門で、御者が番人と話している。あら、、、うちの紋章まで見せてるわ?どこ?ここ?


門を入って、馬車寄せまで、、、、あら、、、随分遠いわね?


「ねえ?どこに向かっているのかしら?」

窓を開けて聞いてみる。

「え?お嬢様の言われた住所なのですが、、、、大公家のお屋敷の住所でございますよ?」

「は?」


御者がドアを開けてくれたタイミングで、先日の紳士が走って来て、手を貸してくれた。えーと、、、大公家にお勤めの方かしら?


「いらっしゃい。キャサリン嬢。お待ち申し上げておりました。」

あら、、、、隣国語じゃなくて?

「僕の家族もあなたがいらっしゃるのを楽しみに待っていましたよ。さあ。」

「??」


・・・・ああ、妹さん、が、、、、ね?



*****


「あ、、、あの、、、エミリー、、、さん?」

「・・・はい。何か?」

「あ、、、あの、、、怒っていらっしゃいますよね?」

「・・・・はい?いえ、呆れてはおりますが?、、、、何か?」

「・・・・・」


避けに避けられて、、、、やっとのことで、エミリーを捕まえた。

屋敷の中でも絶妙に避けられている、、、、


「私、この後、生徒会室の掃除を仰せつかっておりますので、失礼しても?」

「・・・・あの、、、、」

「あら、リリー様!レイン様がお探しの様ですよ?」


きゃあーーとはしゃぎながら、教室から出てきたリリーがまとわりつく。

「まあ、わざわざこんなところまで探しに来てくださったんですかあ?リリーは嬉しいです!!」

正面に立ちふさがれて、おろおろと言い訳を探しているうちに、エミリーは行ってしまった。俺は、、、、あの子に謝りかっただけなのに!!!!


「・・・・それでえ、、、私、言ってあげたんです。貴女みたいな田舎者はレイン様には似合わないわよって。あんまり、まとわりつくのはおやめなさい、ご迷惑よお、って、、、ふふっ、、、」

「・・・・」

「ね?レイン様?」

「え?、、、、、ああ、、、、」


正直、、、誰かに謝るなんてことしたことがあっただろうか?どうしたらいいんだろう?


「・・・・でしょ、、、、それでえ、、、10月の舞踏会なんですけどお、、、リリーはレイン様にエスコートして欲しいなあ、、、、ね?レイン様はいつもおひとりで出席されてるでしょ?ドレスはぁ、、、レイン様の瞳のブルーに、金糸が入った奴がいいですう、、、それでえ、、、、」


なんだろう、、、このまま、エミリーと話せないのか?呆れられたまま、、、、

俺、、、、、今まで、どうしてたんだっけ?


腕にぶら下がるリリー、、、


「ああ、、、すまない、リリー嬢、、俺は、婚約者がいるんだ。」

「そんなのお、どうせ家同士の政略的なやつでしょう?愛なんかないんでしょ?レイン様がエスコートしないくらいなもんなんでしょ?ここには、、私たちには真実の愛があるんですもの、、、、」


真実の?愛?、、、、、、って、なんだ?













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ