第五章
『は?』
『居間に入ったとき、思ったんですよね。埃っぽいって。よく見ると、何年も手を付けていないんじゃないですか?』
『おまえ、何言って…?』
『だから、家事全般やらせてください!これは泊めてくれる代わりのお礼です。』
『いや、いらねー。』
『何が好きですか?やっぱ、あんみつみたいな甘いもの?甘いものを食べた後は、頭がすっきりしますよね。材料はすでに買ってありますので、作りますね。あ、ガスとか電気とかって通っています?』
『え、ああ。多分。って、ちげー!何勝手に始めようとしてるんだ。あと仕切んな。俺が家主だ!』
『いいじゃないですか。どうせ碌なものも食べていないでしょ。あ、お風呂も準備しますね』
『必要ねー。ったく、行っちまった』
…数分後…
『お待たせしました!お風呂の準備ができましたので、ご飯できるまでに入ってきてください。あ、しっかり湯船に浸かるんですよ』
『…はー、やれやれ』
カポーン
『…(なんで俺、こんなにも居心地がいいんだ?…はー、わからねー)』
ガラガラガラ
『あ、いいタイミングですね。夕飯できましたよ。和食が好きかなと思い、焼き魚とみそ汁作りました。あと、デザートはメインと合わないかもしれないけど、あなたの好きなあんみつです!』
『なんで俺があんみつ好きな設定なんだ』
『きらいでしたか?』
『いや、嫌いとは言ってないけど、好きでもな』
『では、問題ないですね。はい、手を合わせて、いただきます!』
『なんでお前も食べるんだ!あとお前は俺の母ちゃんか!』
『?』
『自覚なしかよ…』
こうして私と不思議な青年(小説家)との物語は始まったばかりである。
『キューン』
おっと、そうだ。危ない、危ない。忘れてはいけない。もう一人…いや、もう一匹。
こうして私と不思議な青年(小説家)と可愛い可愛い、チャーミングな狐、綺麗な赤い目をした妖狐の物語は始まったばかりである。
『…(モグモグ)妖狐の説明長くねーか?』
『気のせいでーす。』
妖物語~古風な書店と妖と~
End