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第一章
何も書かずにはいられない。そんな毎日だ。そんな毎日が続いている。世の中にはたくさんの本が出回っている。どれも執筆は素晴らしく、どの年齢にもふさわしい。なのに私ときたらどうだ。どれも不採用、不採用、不採用。もう、まっぴらだ。いろんな会社に応募した。どれも素晴らしい作品のはずだ。なのになんだ。どれも現実味が足りないだって。当たり前だろうが。私が書いているのはフィクションだ。現実味が帯びてたまるか。どうしたらこのような評価が出る。納得いかない。いかない。いかない。世の中は腐っている。誰も私の才能に気づいていない。こんな素晴らしい才能を持ちながら、誰も気づけやしない。周りはしっかり現実を見ているのか。否、見ていないのだろうな。こんな素晴らしい秀才が目の前にいながら気づきもしないのだから。昔からそうだ。誰も私を認めてくれない。誰も、誰も、誰も。誰か一人でも気づいてくれ。頼む。一人だけでいい。少しでも、「素晴らしい」の一言だけでも言ってくれ。寂しい。お願いだ。誰かひとりでも、私を掬ってくれ。独り身の私をどうか…