ずっとユメのなか
ユメのなかで こねこは ねこの国の王さま
ねこの国は とても平和な国です
あらそいごとなんか まったくありません
だから こねこは
ユメのなかでも ずっと ねています
こねこは とても しあわせそうです
「ただいま」
飼い主さんが 帰ってきました
飼い主さんに声をかけられ
こねこは 目がさめてしまいました
「ごめんね ねてていいよ」
こねこは また ねてしまいました
ユメのなかで こねこは 大きな船の船長さん
あたたかい南の島を発見しました
見たことのない きれいな色の鳥がとんでいます
なみの音がきこえています
ぽかぽかしていて とてもすごしやすい島です
だから こねこは
ユメのなかでも ずっと ねています
こねこは とても しあわせそうです
「そろそろ ごはんにしようかな」
飼い主さんに声をかけられ
こねこは また目がさめてしまいました
こねこは 飼い主さんのとなりで ごはんを食べました
ごはんを食べたあと
こねこは また ねてしまいました
ユメのなかで こねこは サッカー選手
今度の試合に勝つため たくさん練習をしています
ドリブル ヘディング シュート
こねこは だれよりも まじめに練習しています
あまりにたくさん練習したので
こねこは つかれて ねてしまいました
たくさん練習したので
きっと試合には勝てるでしょう
こねこは とても しあわせそうです
「おふろ いっしょに入る?」
飼い主さんに声をかけられ
こねこは またまた目がさめてしまいました
こねこは おふろがキライです
首をよこに はげしくふりました
「じゃあ ひとりで入ろうかな」
飼い主さんがいってしまったあと
こねこは また ねてしまいました
ユメのなかで こねこは 消防士さん
みんなとても気をつけているので
火事なんか まったくおこりません
だから こねこは
ユメのなかでも ずっと ねています
いえいえ そんなことではいけません
これからも火事がおこらないように
見まわりをしています
よびかけや ポスターをつくったりもしています
みんなのやくに立てているよろこびで
こねこは とても はりきっています
だから こねこは ユメのなかで
いつも一生懸命 はたらいています
でも 無理しないでね
「そろそろ ねようかな」
飼い主さんに声をかけられ
こねこは またしても目がさめてしまいました
こねこは 飼い主さんのところまでトコトコいきました
そして 飼い主さんといっしょに
おふとんにくるまり ねてしまいました
ユメのなかで こねこは 探検家
けれど けわしい山をのぼっている途中で
道にまよってしまいました
こねこは どうしようかと いろいろ考えました
右にいった方がいいのでしょうか?
それとも 左にいった方がいいのでしょうか?
いやいや もと来た道をひきかえした方が いいのかもしれません
あれこれ考えているうち
こねこは いつのまにか ねてしまいました
なんだかんだで こねこは とても しあわせそうです
「はあ よくねた そろそろ おきる?」
飼い主さんに声をかけられ
こねこは いやいやながらも目をさましました
「いま ごはんにするね」
こねこは 飼い主さんのとなりで あさごはんを食べました
あさごはんを食べたあと
こねこは また ねてしまいました
ユメのなかで こねこは しゃぼんだまの中
そよそよそよ
ふわふわふわ
ぷかりぷかり
風にゆられ 青空にうかんでいます
こねこの体は ちいさいですが
それでも しゃぼんだまは こねこにとって とてもきゅうくつです
しゃぼんだまが パンパンになっています
こねこの顔が ムニーッとなってしまっています
しゃぼんだまが われてしまわないか心配です
それでも しゃぼんだまの中で
こねこは やっぱり ねています
そよそよそよ
ふわふわふわ
ぷかりぷかり
風にふかれ こねこは しゃぼんだまとともに
どこかへいってしまいました
どこへいくのか分かりませんが
それでも こねこは とても しあわせそうです
「じゃあ いってきます」
飼い主さんが 仕事にいくようです
でも 飼い主さんに声をかけられても
こねこは 目をさめしません
「おーい いってきますよぉ」
こねこは ほんのちょっとだけ 目をあけました
とても めんどうくさそうに
そして おおきなあくびをひとつして
また ねてしまいました
「わかった ねてていいよ」
ユメのなかで こねこは……
こんど ユメのなかで
こねこは どんな姿になっているのかな?
どんな姿でも
どんな仕事をしていても
とにかく こねこは
とても しあわせそうです