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38 イードルの寝室

「ドリーのことはこちらの失態には違いないが我々も準備はしてあるので任せてほしい」


 ヨンバルディの真剣な表情に三人は納得せざるを得なし、ドリーティアもそれを踏まえて行動したと推察された。


「そこまで本気なのでしたら我々が手を出すべきではありませんね」


 騎士団団長家のシアゼが代表して同意し、バラティナは唇の端を噛んだ。


「ですが、その捕り物が失敗した場合は我々も容赦しませんよ。バーリドア王国として動けずともドリーティア様の友人としての怒りが収まるわけではないのですから」


「ああ。そのときにはどうぞ。こちらもそれを見て見ぬふりにするくらいは容易いです」


「こっほん!!」


 ニヤリと笑ったヨンバルディに釘を刺すようにギイドがわざと咳払いをする。


「僕も仮とはいえ僕の恋人に危害を加えたことを赦すつもりはありませんよ」


 目をギラつかせたヨンバルディに三人は任せられると判断した。


「そろそろお二階のお支度も整ったと思いますのでドリーティア様をお移しいたします。皆様もお部屋へご案内いたします」


 レライが目配せすると扉にいる護衛が頷きメイドが呼ばれて各自部屋へ入ることになった。


 そして夜闇が深まった頃階下で音があちらこちらで響いたのを聞いた三人はベッドで身を起こしたがご令嬢であれ刺客であれ本当に『殿下の部屋』へ来た者がいるのだと呆れて大きく息を吐きそのついでにあくびを一つして再び寝具に潜った。


『この音でルディ様の本気度がわかるわ。王族の本気なら大丈夫でしょう』


 リアフィアはドリーティアの寝顔を思い浮かべた。


『朝にはお薬が抜けているといいけれど。スージーに美味しいお茶を用意してもらいましょう』


 早起きすることを決め再び眠りに落ちる。


 翌朝メイドに指示を出しドリーティアの部屋を訪れたがドリーティアはまだ寝ており王宮医が脇で脈を見ていた。


「ここまでお気を張られていたこともあると存じます。それもあり深くお眠りになられているご様子です。脈も安定しておりますし息も荒らげておりませんしお熱もございません」


 リアフィアを安心させるため優しく笑顔を見せた王宮医の言葉にホッと息を吐いたリアフィアは王宮医とは反対側のドリーティアの手を取った。


「今日はこのままお休みいただいてもいいわね。ルディ様にお願いしてみるわ」


 リアフィアはドリーティアの髪をそっと手で梳いて部屋を出た。

 朝食の席でヨンバルディに相談をすると容易に了承を得られた。


「明るくなったからこれから本格的な家宅捜索なんだよ。僕がいなくとも大丈夫なのだけど気になってはいたのだ。見に行けることは嬉しい。

だが、三人はここから出られぬが大丈夫か?」


 本館周りにはドリーティアたちの事情を知らぬ文官たちが沢山来ているので散歩もままならない。


「私たちは問題ありませんわ。私はレライに指導を受けますわ」


「サバラル。たまには男に戻り俺と剣の鍛錬でもしよう。サバラルはイードル様の隠れた護衛でもあるのだから」


「午前中はそれでよろしいかと思います。ダンスレッスン室がございましたからそちらをお使いになるとよろしいかと」


 お茶を運びながらレライも賛成した。


「わたくしはドリーティア様のお側にいたいと思いますわ」


 リアフィアは一旦部屋に戻り本を持参してドリーティアの部屋へ行きベッドの脇の椅子に腰を下ろした。ワンピース姿でゆったりと背もたれに寄りかかり本を広げる。

 それを確認したスージーとエイミは席を外した。ドリーティアが寝ているので扉も閉められたが訝しむような者はいない。


 リアフィアは時折寝ているドリーティアに話しかけ時にはドリーティアの口に吸い飲みを充てがい水を含ませたりしながらゆったりとした時間を過ごした。

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